■奥運来了(オリンピックがやってくる)! 2007.9.18 update

中国語でオリンピックは「奥林匹克運動会(アオリンピークユンドンフイ)」、略して「奥運(アオユン)」といいます。8月8日午後8時、北京では、あと1年に迫ったオリンピックのための記念行事が開催されました。午後7時59分50秒からカウントダウンが始まり、ちょうど8時に、北京の天安門広場に花火が上がり、特設ステージでは歌やダンスなどが披露されたのでした。

念願かなっての招致成功でしたが、中国でのオリンピック開催に不安の声があるため、当局も躍起になって改善に努めているようです。まず、心配されている食べ物の安全を確保するため、選手の口に入るものはすべて特定の業者の生産物が指定されています。また、その流通経路も、生産日時から出荷日時、出荷したトラックのナンバーから運転手の身分証明番号まで、すべて追跡できるシステムがとられるということです。その製品に関われるのは健康診断を受けて合格した人ばかりという徹底ぶりです。

競技会場の周りからは、小規模な飲食店が立ち退かされたという話も聞いています。当局が認めた、設備のきちんとしたレストランだけが経営を許されるのだそうです。

また、「空気汚染」には、車の通行量を減らすことから何とかしようと試みられています。先日はじめて、ナンバープレートの末番が奇数の車と偶数の車に分け、一日交替で市内での通行を制限しました。当然ですが、車は半分に減り、渋滞は緩和され、空気の汚染度も多少は軽くなったようです。北京市内では、できるだけ公共交通機関を使おうと呼びかけられています。

テレビでは毎日「オリンピック開催まであと○日!」とカウントを取り、中央テレビでは繰り返しオリンピックに関する番組を放送しています。公共広告では、市民にモラルを守り、相手に声援を送る寛大な応援を呼びかけるものもあります。これは、数年前のサッカーの試合での苦い経験があるからだと思われます。こうして、あと一年を切ったオリンピック開催へ向けて気運を高めていこうとしているところなのですが、実のところ、一般市民はそれほど関心はないようです。開会式が8月8日午後8時であることを知らない北京の人もいたと、以前新聞に取り上げられていました。

上海では今年10月、オリンピックに先駆けてスペシャルオリンピックスが行われます。こちらは、オリンピックほど大掛かりなイベントではありませんが、それでも世界各地からの選手やお客さんを迎えて行われるので、やはり「上海のいいところ」をアピールしなくてはなりません。

そういうわけで、あちこちにモラルを守ろうというスローガンが掲げられています。2010年には上海万博も開催されるので、それが決まったころから「並んで待ちましょう」、「降りる人が先、乗る人はあと(地下鉄で)」、「標準中国語を話しましょう」、「汚いののしり言葉は使わないように」、「ゴミはゴミ箱へ」、「道にツバを吐かないように」、「公共トイレは美しく使いましょう」などの文字が、人の集まるところで見られるようになりました。それからもう何年か経ち、万博まであと2年、スペシャルオリンピックスまであと一ヶ月あまりとなりましたが、改善されているかと言われると、まだまだ返事に困ります。

もちろん、以前に比べれば、街そのもののハード面でまず大きな変化がありました。美しく保てるところは、本当にぴかぴかで、その周辺を行き来する人々も「文明的」に見えます。しかし、そこから一歩離れると、やはり以前と変わらぬ人々の生活があり、その生活の中に「非文明的」な一部分が根深く残っていることは否めません。「人」というソフトを換えるのは相当難しいのです。

人の多いところにいけば必ず小競り合いがあり、地下鉄に乗り込むには、後ろから座席をめがけて走る人に押されないように足を踏ん張らなくてはなりません。車を運転すれば、方向指示器も出さずに車線をあちこち変更しながら猛スピードで走る車にひやひやし、道の真ん中であろうと反対車線であろうと、止まりたい所に停車する車に腹が立ちます。

中国が世界から注目されるイベントが、これから立て続けに開催されます。後進国といわれた中国が大きく羽ばたいているところを見てもらうには、ハードだけでなくソフトの改革が大きな課題となってくると私は思います。ただ、いろいろな不安や批判が集まる中で思うのは、多くの先進国も昔は同じ道をたどっているのだということです。日本も昔は、欧米の国々から見ればとても遅れた国だっただろうと思います。各国から中国に対していろいろな注文がついてくるのは、それだけ注目されているということなのです。そのことを市民ももっと理解して、昔々「文明と礼節の国」のリーダーであったころの威厳を発揮してほしいなと思います。

画像上:北京オリンピックのマスコット、福娃(フーワー)。左から縁起物の魚の貝貝(ベイベイ)、パンダの晶晶(ジンジン)、オリンピック聖火の歓歓(フアンフアン)、チベットカモシカの迎迎(インイン)、縁起物のツバメのni-ni(ニーニー)。マスコットの愛称をつなぎ合わせると、ベイ・ジン・フアン・イン・ニィ(北京歓迎ni)で「北京へようこそ!」となります。
画像中下:8月8日のイベントは、中央テレビで生中継されました。


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