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先月は、成都のパンダ基地についてお伝えしましたが、今月は楽山大仏についてです。
楽山大仏のある楽山市は、成都から車で約一時間半ほどのところにあります。岷江、青衣江、大渡という三つの大きな川が合流する場所に位置し、昔はこの川の氾濫に悩まされていたそうです。大仏は、川を鎮め、人々に安寧をもたらすようにと、唐の玄宗皇帝の時代西暦713年に、楽山にある凌雲寺の僧侶・海通によって造りはじめられました。凌雲山の山肌を削って造られた大仏はとても大きく、完成までに90年もの月日がかけられたそうです。もともとは、大仏がすっぽり入る13階建ての楼閣も建てられていたそうですが、火事などですでに形はなく、今は絶壁に柱や梁の穴が残っているだけです。
大仏は世界で最も大きいといわれており、1996年にはユネスコの世界文化遺産にも指定されました。高さは71メートルあり、いすに座ったような姿勢をしています。肩幅約25メートル、顔の長さ約15メートル、耳の長さ約7メートル、足の甲には人が100人くらい乗れると書けば、その大きさが分かるかと思います。この大きさでご利益があったのか、不思議なことに大仏が造られてから川の氾濫は一度もないそうです。
四川には文化遺産に指定された遺跡がいくつかあります。以前、重慶にいたときに訪れた大足石窟もそのひとつです。そのときのイメージが、観光客が少なく閑散とした寂しいものだったので、今回もそういうものだと思っていったのですが、観光シーズンの日曜日だったせいでしょうか、楽山大仏は黒山の人だかりでした。
入場料を払って凌雲山に登ると、山頂で大仏様の頭と同じ高さになるのですが、大仏様の右手横の山肌に、足元まで降りられるよう細い階段が設けられていて、それを下りるために人々が並んでいたのでした。階段はたぶん、人が一人やっと降りられるくらいなのだと思います。おまけに急なので、事故が起こらないように係の人が人数を制限していました。
足元まで下りて大仏様を拝むには、1時間から2時間くらい並ばなくてはならないような雰囲気だったので、私たちは並ぶことはあきらめ、山の上からお顔を拝み、写真を撮りました。ちょうどお顔の真横が広場のようになっているので、そこで観光客の人は手を宙に上げて大仏様のお顔に触っているようなポーズを取って写真を撮っていました。耳にはちゃんと穴があるのですが、その穴もかなり大きく、横になって入れそうでした。
ガイドブックによると、大仏様の全体を写真に撮るには、川の向こう岸に渡るか船に乗って川から眺めるかとのことだったので、私たちは山を下り船に乗りました。川の上からようやく全体像を見ることができましたが、横の階段を下りている人たちが、まるでアリの行列のように見え、改めてその大きさを実感したのでした。
楽山は小さな町で、大仏による観光で成り立っているようなところです。凌雲山付近には個人経営のレストランや駐車場、みやげ物屋などがあり、それぞれ客引きに必死でした。私たちは成都からタクシーをチャーターして行ったのですが、外地ナンバーの車を見るとバイクで人が追いかけてきます。そのうち車のすぐ前を、まるで誘導するように走り出すのです。そして「大仏への入り口はこっちだ」と、山のほうへ上がる細い道を案内してきました。幸い運転手さんがよく分かっている人で「これは本当の入り口じゃない」といって引き返してくれたのですが、分からないままついていくと、法外な案内料を取られたり、みやげ物屋に連れて行かれたり、トラブルに巻き込まれてしまう可能性があります。
正規の入り口の人や地元の警察とも、どうもつるんでいるような感じです。なぜなら、山頂には確かに行けるようだったのです。正規の入り口以外の「裏口」を黙認しているように感じました。ほかに産業がなくお互いに持ちつ持たれつでやっているのかもしれませんが、外から来た者にはいい印象はありません。文字通り「世界の遺産」「世界の宝」なのですから、もう少し自覚を持って整備してほしいものだと思いました。大仏様を商売に利用して罰が当たらないのかとも思いましたが、庶民を守るための仏様なのだから、とてもとても慈悲深くてお叱りにならないのかもしれません。
画像上:とても千年以上前に造られたとは思えないほどきれいな仏像です。
画像中:ここで、下に下りる階段の順番を待っています。ちょうど大仏様と同じ目の高さで川の景色を眺めることができます。
画像下:船から見た大仏様。スケールの大きさがお分かりいただけるでしょうか。画像左手の階段を下りる人がアリのようです。
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