■時間の価値 2005.4.18 update

上海もずいぶん暖かくなって、お天気だと汗ばむほどの陽気が続いています。雨だと外に出るのは億劫ですが、お天気がいいとついつい外出してしまう私です。

私が住んでいるのは、この数年にどんどん大きくなってきた上海郊外のニュータウンともいえるところなのですが、市内の中心部に出るときの「足」はバスと地下鉄です。地下鉄は市内の主要な部分を通っているのでとても便利で、乗ってしまえば1時間半以内には市のいちばん遠くのほうでも到着できます。また、町の中心や古くから人がたくさん住んでいるところはバスの路線も多く、比較的便利で利用しやすくなっています。

ただ、私の居住区のようなところはまだまだこれから・・・というところが多く、バスは路線も少なく、また本数もずいぶん少ないので、慣れないとなかなか大変です。そのため、近所の団地(こちらでは「小区」といいます)の多くは、住民専用のバスを走らせています。朝夕のラッシュ時には15分に一本くらい、そのあとは1時間に一本くらい、最寄の地下鉄駅まで送り迎えをしてくれるのです。

そういうサービスは確かにありがたいのですが、時間があまり私向きでなく、家事が一段落して出かけたい10時過ぎには、うちのバスはお昼過ぎまでなくなってしまいます。それで公共バスのバス停に行くのですが、公共バスもどういうわけか10時以降は極端に少なくなり、30分以上も待たなければならないことがあるのでした。

諦めて別の路線に乗れば、今度は目的地の「最寄り」で降りてそこから延々歩かなくてはならないこともあります。「最寄り」の感覚は日本よりもずっと広く、大陸ならではです。一生懸命歩いて徒歩20分くらいでも近いうちに入ってしまうので疲れます。

そのほかにも、最近やたらと増えてきた大型スーパーマーケットの無料バスがあり、それに乗って少し便利なところまで出るという方法もありますが、これも本数が少なく、その時間を逃すと公共バスを待たなければならないのです。待つのがいやならばタクシーに乗らなければなりません。たとえば待ち時間と路線であわせて20分かかるところ、タクシーならば5分でいけます。値段は5〜8倍です。お金に困っているわけではないのですが、お金と時間、どちらを優先するのか、私はここでいつも迷ってしまうのです。

それから、乗り物に乗ると「不思議」があります。最寄りの駅は始発駅なのですが、近年のニュータウン化で、始発でもほとんど座席が埋まってしまうようになりました。日本の感覚なら、たいてい出かけるときは時間の決まりがあって、目的地にだいたい何時ごろ着こうという目標を持って出かけるものです。ですから、たとえ座れなくても今来た電車に乗る人が大部分ではないかと思います。でもこちらでは、やっと来た電車の座席に座れないことがわかると、あっさりと降りて次の電車を待つ人が多いのです。もちろん地下鉄でもバスでも同じで、始発駅では必ず、いったん乗ったはずの多くの人が乗り物から降りて見送るのです。

横断歩道の青信号が待てない車はびゅんびゅん飛ばす・・・そんなところなのに、なぜ乗り物に乗ることになるとこうも鷹揚に構えていられるのか、私にはとても不思議です。時間を優先するならば、はじめからタクシーを選択するのが一番ロスが少なくてすみます。でもタクシーに乗らず、どんなに待っても公共交通だけを利用する人、もしくは自転車を愛用する人が地元では多いです。

私もできるだけ中国式生活を心がけたいのですが、心はなかなか変えられません。スーパーの無料バスの時間を待てずにタクシーで家に帰ることがよくあります。「タクシー料金でファストフードのセットが買えるのに・・・」と思いながら。

需要と供給の原理でしょうか。中国では「時間の価値」をお金に換算するととても高いような気がします。高いお金を払って得る時間は私には貴重ですが、そんなお金を払わなくたって時間はいっぱい持ってるという人の割合が多いのだと思います。そういう意味では、日本は時間とお金の価値が比較的平等なのではないかなと思うのです。


画像右上:地下鉄に設置されているテレビ。コマーシャルの横に、あと何分何秒で次の列車が来るかが表示されます。
画像左上:列車が来ると、みんながドアぎりぎりまで近づき、そして席取りのためにダッシュします。
画像右中:始発駅を出発したところ。座席はみんな埋まっています。
画像左下:繁華街のバスの停留所。たくさんの路線がありますが、うちの近くへ走るものは残念ながらありません。途中で乗り換えるか、地下鉄で帰ります。
画像右下:時間に正確なのは、案外、自転車のほうかもしれません。雨にも負けず、風にも負けず、上海の自転車は健在です。


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