■重慶モノレール 2004.12.13 update

11月24日、試運転の重慶モノレールに乗せていただく機会に恵まれました。このモノレール(中国語では「軽軌」)は、正式には「重慶高架軽軌道交通システム」といい、中国政府が力を入れている西部大開発10大重点プロジェクトのひとつとして日本のODA(政府開発援助)約270億円を活用して建設されています。中国初の「跨座(こざ)式モノレール」として、日本の技術を最大限活かしつつ、吉林省の工場で初めて中国国産の車両も作られました。跨座式というのは、一本のコンクリートレールの上にまたがる形のものだそうです。

2000年から建設が始まり、第一期工事の「較場口〜動物園」までの13.5kmがほぼ完成しました。先日から、この区間の真ん中に当たる「大坪駅」から「動物園駅」までが試運転を兼ねた「観光路線」としてオープンし、週末に運転されています。

私が乗せていただいたのは、初めて関係者に公開された全区間運行の日でした。試運転なのと、途中まだ完成していない駅もいくつかあったので、停車してホームに下りてみられたのは途中二駅だけでしたが、転落防止のためホームにもドアがつけられていたり、電光表示があったりと、重慶では今まで見ることのできなかったものがいろいろあり、とても興味深かったです。途中外を眺めていると、下から人々がモノレールをものめずらしそうに、あるいは誇らしそうに、仰ぎ見ているのが印象に残りました。

また、モノレールではあるのですが、市の中心部にある始発の「較場口駅」とその次の「臨江門駅」は地下になっていて、「臨江門駅」を過ぎるとぱっと目の前が開けて長江と嘉陵江を望むことができます。そこからしばらくは嘉陵江に沿って走るので、いかにも重慶らしい風景を楽しめるのです。重慶は丘陵地帯なので、日本のモノレールよりもずっと起伏に富んでいて、レールが坂道になっています。いちばん前の車両に乗ると、そのレールの起伏を感じることができるようでした。

重慶は最近車が増え、渋滞や排気ガスが大きな問題になっています。モノレールが正式に開通すれば、今までバスで一時間近くかかっていた距離が半分ですむようになる上、今後全線が開通した場合のピーク時には、一時間当たり3万人もの人員輸送能力を発揮できるようになるそうです。終点が市の中心部であるため、今後多くの人々が利用することになるので、バスの路線もだんだんに減って渋滞や空気の汚染も少しずつ緩和されていくかもしれません。

ただ、まだ公共のマナーというのはまだないに等しい土地柄なので、モノレールが庶民の足になったとき、たとえばドアに挟まれる人がいたり、高いところにある駅から下にごみを投げ捨てる人がいたり、竹の棒で荷物を運ぶことを生業としている人たちが大量の荷物を持ち込む可能性があったり、そのほか、思いがけないようなことが起こるかもしれないそうです。そういうことも含めて、今まだ日中双方の関係者の方々が日々試行錯誤しておられます。

ここまで来るのに、仕事の考え方ややり方の違い、文化や習慣の違いなどで多くのご苦労があったと聞いています。重慶は、この夏のサッカーの試合の際に日本人にあまりいい印象を与えることができませんでした。日本も政治上の問題で中国側に理解されにくい状況にあります。日中間は最近微妙な関係で、決して明るい話題ばかりではありません。でも、こうして両国が一緒にひとつのことを形作ることを積み重ねていければ、もっとお互いをよく知り合うことができずっと友好的な関係を保っていけるのではないかなと思いました。


画像右上:進行中のモノレール。この画像は関係者の方からご提供いただきました。
画像左上:モノレールの中。この日はかなりたくさんの人が招待されて乗っていたのでまるで通常運転のようでした。みんな、なんだか嬉しそうです。
画像右中:「大渓溝」という、嘉陵江に面した駅。ホームからの眺めもなかなかです。
画像右下:あいにくこの日は雨が振りそうなお天気でしたが、霧のない日だと嘉陵江と対岸の地区を望むことができます。
画像左下:始発の「較場口駅」。車両が到着するとホームのガラスのドアが開きます。


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