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9月半ばになって、重慶はすっかり秋になりました。ぎらぎら照りつける太陽は影を潜め、曇りや雨の日が長くなってきました。気温も、曇っていると25℃前後までしか上がらず、ひんやりしています。
それでもこの季節は旅行にうってつけです。重慶でも毎年「旅遊節(観光まつり)」というイベントが行われます。市内の中心部の解放碑では、各地の観光協会などがブースを出してパンフレットを配ったりビデオを流したり、またあるところはその地方のお祭り行列を再現するデモンストレーションをしたりします。
重慶の市内には、残念ながら外国人が見て面白いと思うほどの観光名所は多くありません。でも、郊外にはまだまだ多くの見所があります。森林や渓谷、温泉、鍾乳洞など、自然が作り上げた美しい風景が数多くあるのです。ただし、広い重慶のことなので、どこに行くのにも車で数時間はかかります。旅行社のツアーで行くのがいちばん手軽なようです。
さて、外国人観光客も時間があれば訪れるのが「大足石窟」です。重慶市から西に、車で2時間半ほどのところにある岩肌に彫られた仏像などの彫刻群です。1999年にユネスコの世界遺産に登録されました。このあたりには同じような石窟が点在しているそうですが、大足のは規模が大きく、また比較的保存状態がよいのだそうです。
この大足石窟もいくつかの場所に散らばっているのですが、代表的なところは宝頂山と北山です。宝頂山は、南宋の時代(正確には1179年)に趙智鳳という高僧が開き、その後70年の年数を掛けて造られました。仏像だけでなく、仏教世界を現すさまざまなレリーフが施されていてとても面白いです。中でも私が興味を持ったのは地獄絵図です。山の壁面に地獄の様子が描かれているのですが、なかなかリアルで生々しいものです。
仏教の教えでは、お酒はご法度、親不孝、異性と戯れることなどもいけないことなのだそうですが、上部には前世で悪いことをしている様子、そしてその下には地獄で刑を受けている様が描かれています。車輪にしかれる「車輪地獄」、「寒さ地獄」、「飢餓地獄」などのほかにも釜ゆでにされている人や、鬼に足を切られている人など、サスペンスやホラー映画を見慣れた現代人でもちょっとぞっとするような光景なのでした。昔の人々はこれを見て「悪いことはするまいぞ」と思ったのでしょうか。そして、その後に続く千手観音や涅槃像に教えを守る決意を念じたのでしょうか。
もうひとつの北山のほうは、唐の時代に開かれ、南宋のころまで、約一万体もの仏像が作り続けられたそうです。宝頂山のほうが、どちらかというと人間により近い俗っぽい雰囲気があるのに比べ、北山のは厳かな感じがします。唐の時代のものは、特に優雅で顔も柔らかい感じです。
ほかの場所の彫刻も、私はぜひ見てみたいのですが、本屋さんなどで探しても写真の載っている案内書がみつかりませんでした。きっと山の中で、いまだに道らしい道もないところが多く、普通の人が行くのは難しいのだろうと思われます。もし私が学生時代にここへ来ていたら、地元の人に聞きながら石窟を見に出かけただろうなと思うのです。もし、皆さんが重慶においでになることがあれば、ぜひ大足へもお出かけください。
画像上:宝頂山。山肌にこのような大きな彫刻が施されています。
画像中:画像上部には、鬼に髪の毛を引っ張られている人が見えます。中央は釜茹で、右下は車輪地獄。
画像下:地獄の上の部分。ここで審判が下されます。死後の世界でもまだ死に切れず、まさに「地獄の苦しみ」を味わうのです。悪いことはできません。
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