■坐月子(ヅオ・ユエズ)の過ごし方 2004.4.19 update

前々回、そして前回と妊娠出産シリーズでお伝えしましたが、今月はその最終回「坐月子(ヅオ・ユエズ)」についてです。「坐月子」というのは、「産褥期を過ごす」ということで、赤ちゃんが「満月(マンユエ=満1ヶ月)」を迎えるまでの1ヶ月のお母さんの過ごし方をご紹介します。

出産というのは、お母さんの体に大きな負担がかかるので、中国ではその体が回復する1ヶ月をとても重要視します。アメリカのように出産二日目には自分で車を運転して家へ帰るのも普通というところもありますが、日本でも3週間目に「床上げ」というくらいなので、やはり大事にしなければならない時期なのでしょう。中国でも、今ではずいぶん簡略化されているようですが、厳密な過ごし方は次のようなものです。

この期間、お母さんはひたすら体を休めることが第一とされます。秋から春にかけては窓を閉めきり、風が体にあたらないようにし、水を触ることも許されません。お風呂にも入れないので、髪や体も拭くだけです。歯磨きも水を使うのと、歯ブラシはよくないというので、ガーゼで歯を拭く人もあるようです。産後は目も弱っているので、カーテンを閉め、テレビや本も読まず目を休めます。また、骨盤がもとに戻る大事な時期でもあるので、長時間座ったり、立って歩き回ったりせず、仰向けにきちんと寝ることが大事だといわれます。横向けに寝ると、体がゆがんでしまうのでよくないそうです。赤ちゃんの世話は、実母や姑などの親類、もしくはベビーシッターがします。抱っこをしてあやすのも、おむつの交換もお母さんはしてはいけません。お母さんが動いていいのは、おっぱいをあげるときと、トイレに行くとき、そして食事のときだけです。

食事は、栄養価の高い鶏肉のスープやゆで卵を食べさせられることが多いようです。日本では、油の多いものは母乳の出を悪くするといわれ、小豆やお餅などの穀類がいいようですが、中国の場合は日本の常識と正反対です。どちらかというとこってりとした食べ物が「滋養にいい」と、たくさん準備されます。ちゃんと「坐月子」をすると、出産後さらに太ってしまう人もいるようです。そして、満一ヶ月になると、赤ちゃんのお披露目をかねて、お母さんも外の空気に触れることができるようになるのです。

今では、このような過ごし方をする人は多くないと思います。それでも、中国で出産した日本人女性の友達から「パソコン使ったらお姑さんにしかられるからちょっとだけ」と、産後すぐ、こっそり赤ちゃんの写真を送ってもらったりしたこともあるので、「目を使わないように」ということや、「なるべくちゃんと寝ているように」というのは、しっかりと守られているようです。

また、この産褥期以降も、家事と育児は別の仕事に数えられるので、日本のようにお母さんが家の中のこと一切を切り盛りしなければならないということはありません。働いていないお母さんでも、育児は自分の担当、家事はほかの人に任せるということは普通です。共働き家庭なら、子どもの世話はおばあちゃん、家事はおじいちゃん、もしくはお手伝いさんということも多いのです。なんでも一人きりで抱え込まなくてもいいので、中国は子育てがしやすいところだと私は思います。

もっとも、私自身の場合は、実母に手伝ってはもらいましたが、出産後からごそごそ動き回り、子どもを抱っこしたりおむつを洗うのにしゃがみこんだりしていました。そして重慶に来るまでお手伝いさんもお願いせずに、日本式に育児も家事も自分でしていました。小さい私が大きい子どもを抱っこして買い物に出ると、近所の人からは「日本人女性はすごい、なんでも自分でやってしまう」と、私たちにとっては当たり前のことで感心され、ほめられ、ちょっぴり得意でした。でも、たまに姑がいるときに持病の腰痛が出たりすると、「ほらごらん、坐月子しなかったから骨盤がゆがんでいるんだよ」と指摘され続けています。

画像上:重慶動物園内の広場;重慶の人はトランプやマージャンが大好きで、公園では机を持ち出してゲームに興じる人がたくさんいます。
画像中、下:南山公園;4月3日に撮影しました。チューリップ祭りをしていてとてもきれいでした。桜は、ソメイヨシノはもうすっかり葉桜でしたが八重桜がまだ咲いていました。この気持ちのいい時期に坐月子するのは、ちょっと辛いかもしれません。

【短信】重慶はすっかり初夏の陽気です。前述の南山公園では、早くも蝉が鳴いていました。(4/5)


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