■帰国中に思ったこと 2003.8.18 update

梅雨も明け、一斉にセミが鳴きだしました。今年の日本は例年になく涼しい夏ですが、上海や重慶ではいつもと変わらない暑さになっているようです。夏の初めにはどちらの街もすでに40度に手が届きそうな酷暑となっているそうです。私と息子も長かった実家での生活にピリオドを打ち、お盆前にはボイラーと化した重慶へ戻ることにしています。

さて、この三ヶ月余り、久しぶりに日本でゆっくりと新聞に目を通し、ニュースを見てきましたが、毎日のように報道されるあまりにもむごい事件や考えられないような出来事に胸が痛みました。中国で暮らすようになって5年半になろうとしていますが、帰ってくるたびに「日本は変わってきているな」と感じます。良い方の変化ではなく、悪い方です。

繁華街を歩いていても活気がありません。若い人のファッションはみな統一したように似ていますが、個人個人は全くまとまりがなく、他人にも無関心な人が増えてきているようです。大きな事件が起こるたび様々な番組や雑誌で取り上げられますがどれも興味本位で、その後の対策を取るなど、自分自身のこととして考える気風がなくなってきているように思えます。前回、「日本は便利だ」と書きましたが、現在の社会はこういった便利さに流されて、大切なことを見失っている風潮があるのかもしれません。

同じことが中国にも言えるかもしれません。先日テレビで、中国のある大都市でのひったくり犯罪のビデオ映像を見ましたが、手口もやり方もそれは荒っぽいものでした。もともとお金などに執着強い中国人ですが、ここ数年の経済発展で裕福な人と貧しい人との差はますます広がってきています。国が大きく人口も多いため、社会の制度は違うといえども統制が取りにくくなっていることは否めません。

中国の人は、どちらかというと、「公よりも個を大事にする」傾向があるようです。身内にはとても親切ですが、他人には無関心であることが多いと思います。一人一人が自分を大切にし自分を主張できることは長所でもありますし、特に日本人にはあまりない部分だけに見習うべきところだと思います。でも、今の日本のように便利な生活が保障され、メディアに振り回され、子供たちはテレビゲームに夢中になり、拝金主義がますます加速されていくと、これからどうなっていくのだろうととても心配です。

中国の発展振りには本当に目を見張るものがあります。日本が30〜40年かかって築いてきたものを、そのお手本があるがゆえに一足飛びで、数年で完成させてしまいます。今日本では、物質的に豊かになった代償を払わなければならない時期に来ているのかもしれませんが、中国の大都市ではその結果を見る前に日本に追いついてしまっているのです。

中国も日本も、昔々は礼節を重んじ、人を大切にする民族だったはずです。生活が便利になるのは本当にありがたいことではありますが、命や心までもが「お手軽」にならないように大人は頑張らなければならないなと思います。


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