■保育事情の違い 2003.6.16 update

日本に戻ってきて二ヶ月が経ちました。うちには3歳半の息子がいるのですが、実家に戻ってからはずっと誰か大人が彼の相手をしていました。初めのうちは買い物に行ったり近所の公園をはしごしたりしていましたが、長期になってくるといつまでもそういうわけには行きません。探してみると児童館などはあるものの、ほとんどが2歳くらいまでのお子さんで、3歳児さんはやはり多くは幼稚園か保育園に入っているようでした。

ただ、幼稚園は入園費用や制服代がかさみますし、うちの場合はたった数ヶ月のことなのでもったいないと思い、なんとか保育園に入れていただけないか福祉事務所に相談に行きました。最寄りの保育園に空きがあるのを確認してから行ったのですが、福祉事務所のほうでは、私が働いていないため、保育園の申請資格がないという回答でした。「まず就職、そのうえ児童が祖父母と同居の場合は、祖父母が育児を出来ない理由が必要」という厳しいものです。中国にいるときから、同じ年頃のお子さんをお持ちの日本のお母さんから、保育園への入園はかなり難しいということを聞いていましたが、こういう条件があるとは知らなかったのです。確かに、働くお母さんが多く待機児童がたくさんいる現状を考えると、私のような気楽さで保育園入園を希望するのは非常識だったのかもしれません。

さいわい、うちは一時預かりの制度を利用して毎日預かってくださる保育園が見つかったので、そこへ入れることができました。保育料は、福祉事務所を通して決定されるのではないので割高ですが、それでも入園費や賛助金なども要りませんので助かりました。先生方も一般の園児さんと同じように接してくださり、息子も毎日楽しく通園しています。

日本の場合は幼稚園と保育園は国の管理するところが違うので、その関係は私から見るとかなり複雑です。でも、どちらも、本来目指すところは同じなのではないでしょうか。むかしは、幼稚園は「勉強(教育)するところ」、保育園は「お母さんが働いている子どもを預かるところ」というような感覚がありましたが、今では保育園も制服があり、いろいろユニークな学習方法がとられ、園によってはパソコンあり、英語あり、水泳あり、とその内容は幼稚園と変わらなくなってきています。ただ、保育時間が長い子も受け入れられるという違いだけのような気がします。どちらにしても、子ども達が楽しく健やかに成長するための場所であることには変わりません。

中国では、小さな子どもは基本的におじいちゃんやおばあちゃんが見るという前提はありますが、一応託児所もありますし、幼稚園も多くが2歳くらいから入れます。上海辺りではライフスタイルの変化のせいもあると思いますが、日本と同じように3時から4時の間に終わる幼稚園が多いようです。でも重慶はほとんどの幼稚園では朝7時半頃から夕方5時半までです。そして3食全部幼稚園で摂ります。まだまだ共働きが多い土地なのでこのようになっているのだと思います。生まれてしばらくはおじいちゃんやおばあちゃんが見て、手が足りなくなればベビーシッターさんを雇い、そして2歳頃から園に行き始めることが可能なのです。働くお母さんにとってはこの上ない環境です。私などはのんびり家にいますので、重慶の幼稚園ライフが始まった当初は手持ち無沙汰で申し訳ないくらいでした。

日本でも、もう少し行政が本腰を入れて、すべての子どもに保育園の門戸を開けるようにできればいいのにと思います。昔のベビーブーム時代の人数を思えば、子どもはぐっと減ってきているのですからなんとかなりそうな気がするのですが。老人ホームの入所を待つお年寄りや保育園に入れない児童が本当に多いのだということを、今回帰ってきて初めて実感しました。

だらしのない国会議員を養ったり、情けない銀行を手助けしたりするよりも、福祉を充実させて一般国民がいきいき暮らせる環境を整えてもらうことの方がずっと大事なことだと思います。日本に戻ってから、物騒なニュースや暗い事件をいやな気持ちで聞いていたのですが、保育園に行って子どもたちの明るく屈託のない笑い声やおしゃべりを聞いていると、大人が頑張れば未来は明るいぞと元気が湧いてくるのです。


<<もどる