■辛いものの街 2003.4.21 update

重慶はずいぶん暖かくなりました。一時期は、3月なのに気温が30度を超え、夜ゆるくクーラーをかけて眠ったりもしました。4月になってまた気温は落ち着いていますが、先日の暑さのお陰で、街は新緑に包まれすっかり初夏の風情です。

重慶といえば「火鍋(フオグオ)」が有名です。スープが真っ赤な色をしている、火を噴きそうに辛いお鍋で、こちらの人は寒いときばかりでなく暑いときも火鍋を食べるそうです。寒いときは辛いもので体がぽかぽかし、暑いときは汗を大量にかいて体中をリフレッシュさせる効果があるようです。また、火鍋でなくても、こちらの料理は皆辛いのです。いわゆる四川料理の地なので、唐辛子や花椒(フアジャオ)などがふんだんに使われていて、ぴりぴり辛い中にも深みのある味わいがします。

私は辛いものがきらいではありません。でも、あまりにぴりぴりとするものはほんの少しで充分でした。ところが、重慶で外食すると、辛くないものを探すのが結構大変なのです。「これは辛くないですよ」と言われて頼んだのに、やっぱりピリッとした味がしたということは数え切れないくらいあります。ファストフードでポテトを頼むと、唐辛子の調味料の粉をくれたりもするのです。

でも、おなじみの麻婆豆腐は、上海のレストランで食べたり家で作ったりしたときは、ただ唐辛子の辛さが強調されているだけだったのですが、こちらに来てから食べるものは、前述の花椒(フアジャオ)やほかの香辛料がたくさん入っていて、辛いだけではない良い味がします。花椒は山椒の仲間だと思うのですが、独特の辛味と舌がしびれるような味がします。しびれることを中国語で「麻(マー)」というのですが、まさにここの麻婆豆腐は「麻」なのです。「麻」に舌が慣れると、ただ辛いだけの料理はなにか物足りなく感じるようになります。

家でなぜ四川の味付けができるかというと、市販のラー醤(ラージャン=「ラー」は「辛い」という中国語)や豆板醤を使うからです。上海のスーパーで売っていた数倍の種類があり、どれも微妙に味が違います。中身は油、唐辛子、花椒などのほかにピーナツやゴマ、ザーサイなどが入っているものがあり、辛さの度合いもさまざまです。

地元の人に聞くと、家でも辛いものが中心で、小さな子供もだんだんに辛いものに慣れていくそうです。先日自家製の豆板醤をいただいたのですが、その辛いことといったら!夫はとても辛いものが好きで、ご飯に直接豆板醤をかけて食べるような人なのですが、その彼でさえも「すごく辛い!!」とびっくりしていたほどです。市販のものと同じ量を使って料理をすると、辛すぎて汗が吹き出ました。その豆板醤を下さった方は、ほとんど毎日料理に使っているそうです。

外食しようと出かけても、上海のように和食・洋食・各地の中華がよりどりみどりというところではありません。まだ一般のレストランのほとんどが、こうした火鍋か四川料理のお店です。そして家でも辛いものを食べる土地柄のせいか、あまり太った人を見かけません。南方なので、全体にみな背丈は低いのですが、それなりに均整の取れた体つきをしているように思います。

でも一方で、性質はとても激しいようです。はじめは、まだなんとなくのんびりしているなと思っていたのですが、街に出かけるとたびたび横断歩道脇で、交通整理のおばさんと違反横断をした人が言い争ったり取っ組み合いをしているのを目にします。タクシーの運転手は、一時停止やほんの少しの渋滞でも回り道をしようとしたり舌打ちしたりし運転もとても荒いのです。息子の幼稚園に迎えに行くと、門が開くのが数分遅いだけでお迎えのおばあちゃんたちが怒り出したりもします。

そのことを知り合いの重慶人に話すと、「そりゃ、辛い物をいっぱい食べてるからね。特に重慶女はコワイよ〜」と言われました。少ししか食べられなかった辛いものが今ではずいぶん食べられるようになってきた私も、そのうち火を噴くような女になってしまうのでしょうか。

画像上:スーパーで買ったレトルト食品。「麻婆豆腐」と「宮爆豆腐」です。盛り付け例(丸囲み写真)の右上に唐辛子のイラストがありますが、これは辛さの度合いを示しているものです。この「麻婆豆腐」はかなり辛かったです。「宮爆豆腐」は辛味が抑えられているので、唐辛子マークはひとつです。
画像下:左は市販のもの。右はいただき物の自家製ラー醤、見るからに辛そうな赤色です。


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