■夏の楽しみ 2003.7.14 update

ベッカム騒ぎも一段落したようです。たまたま移籍の発表が極東への自分の商売のプロモーション旅行の出発日だったので一躍日本に焦点が当たり、その上に日本の狂乱振りが輪をかけてしまいこちらのメディアにもBeckham-samaなどという単語まで報道される羽目になりました。こちらではそれをSir.Beckhamと訳しておりましたが如何なものでしょうか。彼等夫妻は先月アメリカへも同様のプロモーションに出かけましたが、「もう二度と来るな」等という新聞記事が出るほどの不評に終わっていたため、日本は宝の山に見えてるにちがいありません。

こちらでも確かに有名人で彼本人に対する選手としての評価は良いものですが、フットボール以外のイベントで何であのように騒がれるのかがこちらでは不思議なようです。こちらの日本語放送のニュース(NHKとFNN)でも大分時間を割いていたようですが、旦那に言わせると「若い女の子ならまだしも何で子連れの中年女性が、いつも女房と手をつないでる男を追っかけまわすのか全然分からん」とのことです。彼等がヒースロー空港へ帰国する場面迄日本のニュース番組が追いかけていましたが、もう何をか言わんやというところですね。

さて6月からは野外の催し物が続きます。スポーツだけではなく音楽や演劇いろいろな催し物が週末には目白押しです。BBCを中心にテレビでかなり中継されますので、わざわざ出かけるより家でのんびり楽しむという人口が多いようです。まずダービー、これはダービー州で行われるのではなく私共の住んでるサリー州のエプソン競馬場で行われます。続いてロイヤルアスコット競馬場でのレイディーズデイ。かのマイフェアレディーあのままの情景が5日間繰り広げられます。英国中の金持ちの暇人男女が男性はトップハットにモーニング、女性はとにかく色とりどりに趣向を凝らしめかしこんでやってきます。そのリーダー格である女王も、毎日隣村のウィンザー城から馬車行列を引き連れてやってきます。中継放送を眺めておりますと、ドクターヒギンズやイライザが今日もそこに来てるのではないかと思わせる程に時が停止しております。競馬場は社交場でもあり、特にアスコットは人気が高くビジネスにも使われます。

私達も普段の土曜日でしたが一度ご招待に預かった事がありました。正装で出かけ、個室でシャンペンから始まりコース料理を楽しみバルコニーでワイングラスを傾けながらレースを見物したり、予想屋を冷やかしたりして小使い程度に散財したりとなかなか楽しいものでした。女王様もことのほか馬がお好きで、ご自分でも所有されてレースにも出されてます。乗馬も人気があり田舎道をドライブしてますと良く出会いますし、馬車もたまに見かけます。この国では「馬刺し」という言葉はご法度です。

5月にはかなり晴れ渡っていた天気がやや下り坂になるとウインブルドンの全英オープンテニスです。ウインブルドンはロンドンの西方の瀟洒な町で、鉄道でも地下鉄でも行けます。トーナメントの前の週には必ずニュース番組で雨が降り出した時にコートにすばやくシートを被せる練習風景を中継します。「ウインブルドン効果」という例えのとおり英国選手の活躍は目立たなくなりましたが、英国に落ちるお金は大変なものだそうです。BBCが第一、第二放送を駆使してかなりの試合を中継します。ここ数年はあのマッケンローがコメンテーターとして参加しておりまして、今回のイギリス選手の悪口雑言事件では若きマッケンローが審判に噛み付いている昔の勇姿が同時に流されていました。今年も二週目に入って天候が崩れだしました。こちらでは局地的なにわか雨が多く、我が家とウインブルドンは10km位の距離ですがTVの画面で雨が降り出すと5分位で我が家に降りだしたり、或いはその逆もあったり、或いは向こうは晴れでこちらは土砂降り等と面白いものです。

スポーツでは更にフットボール、クリケットそしてフォーミュラー1などに人気が集まります。フットボールは何処でも人気が凄く、皆さんご存知のとおりです。最近面白かったニュースのひとつ。英国のフットボールのサポーターの一部に試合の前後に暴動を起こすフーリガンと呼ばれるグループがいて、国内はもとより欧州各国に遠征しいろいろ揉め事を起こし顰蹙を買っております。先日のTV番組でこれが話題になり、ある出席者が「フーリガン自体が悪いのではない欧州の各民族にはフーリガンをきっかけに暴動を起こす気質があるのが問題なのだ、なぜなら昨年の日本のFAカップでは何等問題が起こらなかったではないか」と首をかしげるコメントをしておりました。

クリケットは旧英連邦のみで人気のある球技です。同時にこの地域ではベースボールにはまるきり興味を示しません。ベースボールの原型とよくいわれますが、むしろラウンダース(Rounders)と呼ばれる女子の球技がよりそれに近いと思われます。この国でもクリケットというとジョークで「訳の分からぬもの」の代名詞に使われる程ですが、なんせ2チームが5日間毎日攻守を繰り返し、その合間には昼食やお茶の時間まであるというなんとものんびりしたゲームです。尚、ボールを投げる人をボウラーと呼びますが、これはベースボールのピッチャーと違いpitch(肘を使って投げる)とbowl(腕全体をまわして投げる)の差から来ています。打者はバッツマン(複数形)です。

クリケットの試合にも一度御招待を受けました。その際にイングランド・チームの主将をしている選手に紹介されました。日本で言えば私達の年代では長嶋選手に紹介されたようなものらしいのですが、残念ながら私達にとっては「猫に小判」でした。大きな円周のグラウンドの周りが観客席で、例によって食事やワインを楽しみながら眺めるのですが、私達には試合が何時始まってどうなってるのか説明を聞いても分からず、そのうちに旦那が酔ってきて途中で失礼しました。回りにも試合そっちのけでワイワイガヤガヤやってる人が多かったような気がしました。会社の同僚がクリケットを嗜んでおりまして、旦那がバットとボールを貰ってきました。バットはベッドの下に護身用として用意してあります。

画像上:イギリス最大の駅、ウォータールー(Waterloo)駅。アスコットに来るのに、多くの人はこの駅から電車に乗る。ユーロスターもこの駅から発着。
画像中:ロイヤルアスコット競馬場の観客たち。男性はトップハットにモーニング、女性は色とりどりに趣向を凝らし、とにかくめかし込んでいる。
画像下:クリケットのボール(縫い目は異なるが硬式野球のボールと同様の作りで非常に固い)と、バット(柳の木を使用)


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