■年末年始 2003.1.20 update

11月の末から近所でもチラホラとクリスマスの飾りつけが目につくようになります。飾りつけは家や地域で千差万別なようですが、我家の近隣は程々といったところでしょうか。玄関や壁に電球やネオンをつけたり前庭の木々に小さな電球を絡めて点滅させたり、家の中も適当に外からも見えるようにするので夕方薄暗くなってから散歩するとなかなか楽しいものです。この飾りつけはクリスマスを中心にその前後12月初旬から1月の上旬まで続きます。

英国のクリスマスは日本の正月にあたります。故郷や親元あるいは旅行先で親しい家族と共にこれを過ごすというのが一般的です。教会に行く人も多いんですが、宗教的色彩はあまりありません。暦では12月25,26日及び1月1日が休日で、25日が日本の元旦にあたります。多くの人々はこの間1,2週間の休暇をとります。12月に入ると商店街はクリスマスの準備や贈り物の買い物客で混み合い、商店やスーパーにとっては一年で一番の掻き入れ時となります。友達に改めて‘貴女にとってクリスマスとは何?と聞いてみたら、返事は一言‘ファミリーよ’でした。もう子供も成長してしまった彼女にとっては子供達が集まってくるという事がやはり一年で一番の楽しみのようです、何処も同じですね。彼女の娘夫婦は最近結婚したばかりなのですが、どちらの親に何時行くかという事に結構気を使ってるような点もあるようです。

旦那が勤めていた頃は12月に入ると取引先や同僚とのランチのスケジュールで手帳が一杯でした、つまり個人的或いは小規模忘年会です。オフィスがシティと呼ばれるロンドンの金融街にあり、そこは沢山の会社が狭い地域に密集しておりますのでレストランがこの時期混み合います。特にクリスマスの前の週は直前の予約はまず無理という状況です。午前中に仕事は片付けて一時頃からレストランに入り三時か四時頃一応オフィスへ帰るそうですが、当然仕事にならずお茶を飲んでそのまま帰宅するというケースが多かったようです。若い人達はそのあと友達との夜のお付き合いに繰り出すそうですが、体力的に付き合いきれないと気の弱い事を言ってました、昔は率先してやってた方なんですが。日本の忘年会と変わらないようですが、決定的な違いはそれがこちらでは昼間から行われるという事です。会社主催のパーティ等ははさすがに夜になりますが、一昔前旦那がこちらの会社に勤め始めた最初のクリスマスに、その年からはクリスマス前の社内での飲酒は控えめにするようお達しが回ってきたと嬉しそうに驚いておりました。さすがに最近は変わりましたが。

24日は普通どおりですが、大抵の人は仕事を早めに切り上げ帰宅します。旦那も例年フォートナムメイソン(ロンドンの有名な紅茶の販売店で、ワインや食料品も良い物を置いてあります)のスモークトサーモンを抱えて、午後早くに帰宅するのが常でした。メインイヴェントは25日の各家庭でのクリスマスランチです。25日は公共の交通機関は停止、商店は完全に閉まります。英国に来て初めての年末に25日に盛り場の華やかさを期待して車でロンドンの市内に出てきたのですが、人っ子一人おらずまるでゴーストタウンといった状況に唖然とした覚えがあります。午前中は親族の家に向かう車で交通量はほどほどですが、昼過ぎには幹線道路さえもひっそりします。午後には各家庭共に来るべき人達が揃い、プレゼントを交換し、食卓を囲んでワイワイガヤガヤが始まります。これが延々と深夜迄続くことになります。

クリスマスランチはやはり七面鳥です。何故七面鳥なのか?答えは、昔はお殿様やお金持ちはクリスマスには鵞鳥(Goose)を食べました。庶民は鵞鳥なんて手が出ず、鶏(これも昔は大変貴重品でした)を楽しみにしてたのですが、いかんせん小さくて大家族には不向きです。そこで七面鳥に白羽の矢が当たったとの事です。七面鳥にもランクがあり、養殖物は一羽4000円位、オーガニック(有機飼育)物で6000円、フリーレンジ(放し飼い)物は8000円と大分差があります。養殖物は外見でも色がかなり白く、明らかに違いはあります。中にソーセージ、べーコン等の詰め物をしてローストします。では女王様は何を召し上がるのかとの質問に、かの友達は舌なめずりしながら‘多分ね、鶉の中に詰め物をいれてね、そしてそれを鳩に入れてね、それを今度は雉に入れてそれを最後に鵞鳥に入れてローストした物だと思うわ’。旦那が傍で聞いていて急に目を輝かし‘昔なんかの童話で読んだ覚えがあるけどホントなんだな、どんな味なんだろなァ’と呟いてましたが、暇にあかして自分でやってみようという気にならないか期待してみたいものです。ところで肝心の七面鳥のお味なのですが、私にはどうも淡白でパサついてる肉をグレーヴィソースの味で補うという印象が強くあまり感動出来る代物ではありません。きっと私は養殖物しか経験してないんだろうと思いますが、旦那も同じ意見です。

忘れてならないのがクリスマスプディングです。所謂お袋の味です。小麦粉をベースに各種木の実、洋酒に漬けた果物、ミルク、卵を混ぜ合わせ、それにラム酒とブランデイをたっぷり入れて寝かせた黒い塊と言って良い代物です。クランべリーソースやブランデーバター、そして生クリームをかけて食べますが、この為に英国の歯医者の存在意義があるという程の甘さです。旦那はこの国で初めてクリスマスデイナーでこれを勧められて以来二度と口にしません。前出の友達も母親から受け継いだレシピを元に毎年腕によりをかけますが、最近は売れ行きが悪く去年のがまだ冷凍庫に残ってるといってました。これも昔甘い物が貴重だった頃の名残でしょうか。

25日には女王の慣例のスピーチがBBCから放映されます。年々視聴率が落ちているため今年から内容を前もって発表しましたが、そのせいなのか視聴率は持ち直したとのことでした。まだまだ引退などせず頑張るとおしゃってました。26日はBoxing Day と呼ばれます。これは昔、使用人にプレゼントをこの日に贈ったことから始まったとの事です。交通機関は日曜日のダイヤです、という事は殆ど頼りになりません。スーパーや町の日用商店街も休みですが、一部ではセールが始まります。家具店やPCショップは凄い混みようです。スポーツファンは早速フットボールの観戦に出かけます。27日から31日迄は一応カレンダーは平常なのですが、前にも述べましたとおり休暇をとる人が多く、開店休業のオフィスが多いようです。以前、27日に旦那にくっついてオフィスへ行ったんですが人はまばらでのどかなものでした。

31日は宵から若い人達を中心に各地各々の慣例の場所に集まり、騒ぎながら元旦の午前0時のカウントダウンを待ちます。時報と同時に花火が上がります。我家の近所も最近は華やかに花火があがるようになりその光景が楽しめます。今年はテロ警戒の為例年大騒ぎがあるロンドンのトラファルガー広場が閉鎖されたとニュースで流れてました。楽しみにしていた若者が多かったと思いますが。元旦はなんとなく過ぎて二日からは皆さん勤めに戻ります、新年の挨拶回りも新年会もなくさっぱりしたものでいきなり平常生活に戻ります。但し今年は2日と3日もなんとなくのんびりして6日から平常に戻ったようです。

我家のクリスマスは娘の彼が今年から加わり、クリスマスランチは旦那と二人で大きなローストビーフに挑戦しました。肉が3kg強あり、この大きさは彼らにも初めてで二人でだいぶ真剣に検討していましたが結果はまずまずでした。180度で1時間40分オーブンに入れ、そのあと取り出して20分寝かせるというのが今回のレシピです(尚、この成功に気をよくした二人は今後は定期的にこれを行うと宣言しておりました)。26日は直前に鮪のトロのいいのが手に入りましたので私が寿司を握り、27日は近所の中華料理店で出来立てのローストダックを手に入れ北京ダックで楽しむと、和洋中折衷で三日三晩大変盛り上がりました。いつもの倍は用意した酒壜も綺麗に片付きました。娘達が帰ったあとの大晦日は、例年どおりに活ヒラメ(こちらではTurbotと呼び、日本のものより円形ですが味は大変よろしい。生きてるのが手に入ります)を旦那の趣味を活かして薄造り、肝あえ、煮付け等にします。これに樽酒があれば極楽なんですがそれはないものねだり、代わりにちょっと張り込んでPouilly-Fuisse(ブルゴーニュ産の白ワイン)を開けます。食堂ではなく居間のカーペットに座り込んでチビチビやりながら年を越すというのはやはりいいものですね。何処に住んでても日本人に生まれて良かったと思う瞬間です。

今年も皆様に良い年でありますように。

画像上:近所の風景、子供のいる家庭は外もそれなりに飾り付けます。
画像中:台所の流しで、まだ暴れてるヒラメ
画像下:生きているヒラメを薄造りに!南無阿弥陀仏


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