| ■秋の地の味覚 |
2002.10.16 update |
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英国南部のサリー州に我が家はあります。ロンドンから電車で30分ほどの近郊で、緑に恵まれた地域です。この辺りの至るところに野生している植物があります。我が家の庭の垣根にもしっかり頑張っているんですが、棘だらけの枝というか蔓のようなのが他の草木に混じっていて、一寸油断するとすぐ蔓延ってしまいます。庭仕事の大敵なので見つけ次第鋏を持ち出しますが、切ったあとでさえ切端を他の引き抜いた雑草と別にしておかないとうっかり掴んで大変なことになります。
ところがこの嫌われ者が九月の末になると素晴らしい贈り物を持ってきてくれるんです。ブラックべリーです。我が家では毎年この時期になるとお握りを作ってブラブラーとドライブにでかけます。家から30分も走るともう畑か牧場で、点々とした林の合間にたまに農家が見える程度の緑一色の平野がひろがってきます。幹道から田舎道に入り、おもむろに狙いをつけて道端に車を停め回りをながめます。アノ嫌な枝が目印です。黒いポツポツが緑の間に見えたら当り、摘み取り作業の開始です。ほとんどの場合が畑か牧場の区切りの垣根に混じっております。
別に誰に断ることもありません。そもそも人がいません。英国七不思議のひとつではありませんが、ドライブをしていても農家の仕事振りを見る機会が非常に少なく、たまに遠くの方にトラクターが停まっているのを見るだけ、牧場の場合は牛か馬か羊がチラホラと遠くに見えるだけ。時には道路沿いにハイキング或いは、散歩者用のPublic Footpathと書かれた標識が立っており、牧場の入り口は木の柵で閉められていても散歩者用に、跨いで中に入れるように木のステップがとりつけてあります。遠くの道路の車の走行音がたまに入ってくるだけの世界です。最初の頃は摘み終わって車に戻ると、きっと秤を持ったお婆さんが待ってるに違いないなんて言ってたんですがまるきりの見当違いでした。今は遠慮なく入らせていただいてます。
今年の九月はイングランド南部ではほとんど雨が降らず太陽にも恵まれたので、楽しみにこの時期を待っておりました。
九月最後の週の週日に三日ほど収穫作業に行きました。作業上で注意することがあります。まずこの植物自身が前述のとおり、丁度バラの枝を軟らかくした様なもので棘がしっかりついてるのに加え、タンポポを大きくしたような植物が何故か必ず一緒に守るように生えてます。これが曲者で、葉先一面に小さなトゲトゲがあり毒を持ってるようで一寸皮膚に触れただけでも丁度クラゲに触った感じでぴりぴりします。この棘が刺さると大変、結構な痛さです。ですから庭作業用の皮の手袋を左手にはめて草木を掻き分けながら右手で摘むという算段ですが、実が小さいので右手は手袋無し、だから注意しててもつい夢中になって災難に会う羽目になってしまいます。一ヶ月前にはまだ若く赤かった実がこの頃になると黒くなるんですが、直径1cm程の大きさになって、一寸触って枝からポロっと離れるくらいが一番、甘い甘い味が楽しめます。私が取り易い場所を攻め、旦那が高い所や奥のほうに手を入れて格闘します。時々悲鳴が聞こえてきます。旦那のいつもの科白、ここでだけは転びたくないなァ。
一休みにその辺の草むらに座ってお握りを食べたり、寝転んだりして遠くの牛の鳴声を聞いているとアルファ波が沢山出てくるのを感じます。
今年は全部で10kgほど採れました。例年はジャムにしたり、リカーに漬けたりして楽しんでおりましたが、今年はワインに挑戦してみます。特に作り方は知りませんが、とりあえず全部潰してみました。旦那が毎日朝に夕にかき回しています。もうアルコールの匂いが部屋中にぷんぷん漂ってます。さてどんな結果になるやら。
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