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今年、日本の夏は猛暑と聞いた。ハノイも6〜9月の間は猛暑の日々が続く。こんなときは食欲も落ちがちだが、ベトナム人からは「夏バテ」という言葉を聞いたことがない。ただ、熱を下げる食べ物、上げる食べ物というのがあって、暑いときは熱を下げる食べ物をとるよう気を配っている人が多い。それは日本のように「冷たい料理」とか「あっさりした料理」ではなく、素材そのものを「陰」と「陽」に分ける考え方だ。
たとえば冬瓜は熱を下げるらしいので夏の食卓にはスープとしてよく登場する。また、ベトナム通の方々には知られている、珍味である孵化前のアヒルの卵をゆでたもの(南部ではホビロン、北部ではチュンビッロンという)は料理自体は熱いのだが、体温を下げると言われているので冬場に冷え性の女性は食べない方がいいと言われている。
さて、夏バテに負けない料理といえば、ハノイでは「野生もの」が知られている。山鳩は市場で気軽に売られており(一羽150円くらい)、購入すればその場で毛をむしって内臓を処理してもらえる。料理の仕方は油で揚げて、レモン塩をつけて食べるのが一般的である。味はしっかりしていて、鶏よりもうまみがあるように思う。私の好物のひとつである。
ハノイ郊外にいけば蛇料理を専門とするレストランが集まっているところがあり、蛇づくし料理(血のお酒からはじまり、蛇の皮のから揚げ、肉をいためたもの、蛇の脂で炊いたおこわなど15品ほど)を食べることができる(コース1人前800円くらい)。私が行ったレストランはとてもおいしく、鶏肉よりおいしい!と感動したほどだが、別の友人は別のレストランで「あんなにまずいものは食べたことがない」とひどい目にあったそうだ。へび肉は料理の仕方で大きく変わるらしいのでご注意を。
山の方に行けば、アルマジロやイタチ、山猫、モモンガ、イノシシ、猿、珍しい野鳥など天然記念物級の動物を食べることが出来る。私はイタチを食べたが、肉の臭みを消すために多量のしょうがを使っており、味がわからなかったのでおいしいとは思えなかった。個人的には野鳥ぐらいがいちばんクセがなく、おいしいのではないかと思う。猿やくま(もっぱら胆液を酒に混ぜて飲む)は金持ちのおじさん連中が好むらしいが、私はそこまでの勇気はまだない。だって、食用の動物は店の入り口の檻の中におり、店員が「さて、どれにしましょう?」と決断を迫るからだ。アルマジロ級になるとお値段も高く、1キロ4〜5000円くらいするらしく、ほとんどのベトナム人は食べる機会はない。
ハノイのおじさんたちが大好きなのは犬肉である。犬肉は気軽に食べることができて、精がつくのだそうだ。犬肉屋といえばおっさんが溜まっているところ、と言いきってしまっても言い過ぎではない。生後6ヶ月くらいまでの子犬を食べるのだが、肉はもちろん、腸詰なんかもおいしい。私も何回か食べに行ったことがある。肉は炒めてあり、えびの塩辛のソースをつけて、ハーブと米の麺とともに食べる。おいしいのだが、遠くから犬の鳴き声が聞こえてきたりすると、気分が暗くなり、何か悪いことをしたような気分になるので、自分から行こうという気にはならない。
このほか、やぎ肉屋などスタミナをつける専門店は数知れずある。南部の人にやぎ肉や孵化前の卵を食べたいなどと言うと意味ありげにニヤニヤする人が多いが、ハノイの人たちはあっけからんと元気をつけるため、健康のため、とまじめに食べに行っているように見える。ハノイは中国から近いからか、いわゆるゲテモノ系にも抵抗がないようにみえる。
日本の芸能人が罰ゲームで食べさせられて絶叫している野生ものであるが、食べてみると案外おいしいものもある。日本では高くて手がでないが、ハノイであれば、口にあわなくてもあきらめられる金額で楽しめる。興味がある方はハノイ食ツアーをされてみてはいかがだろうか?
画像上:イタチを料理したもの
画像下:野鳥をさばく
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