■ワールドカップに燃えるベトナム 2002.7.1 update

1年でいちばん暑いハノイの6月がやってきた。ハノイの夏の期間は5月下旬から10月くらいまでと長いのだが、6月は夏がはじまったばかりで体が急激な暑さに慣れていず、とても暑く感じるのだ。当然体調も崩しやすい。1年でいちばんしんどいときである(日本のみなさん、ハノイ観光は6〜9月は避けたほうが無難です)。そんな憂鬱なときであるはずなのだが、ベトナム人は今年はやけに元気だ。そう、4年にいちどのワールドカップが始まったからだ。日本や韓国の予想外の快進撃にベトナム人は毎日大熱狂である。

このことを日本の友人にメールで報告すると「自国が出場してないのにそこまで楽しんでいるとはすごいねぇ」と言われる。サッカー(ベトナム語ではBong Da=ボンダー)はベトナムでいちばん人気のあるスポーツ。一般家庭でもヨーロッパの衛星放送がタダで受信できるので普段から外国のサッカー中継をよく観ており、外国の選手についても詳しい。ちなみにいちばん人気はイギリスのマンチェスターユナイテッドだ。

どれだけベトナム人がサッカー好きかというと、去年、行われたタイガーカップという東南アジアの国が参加したサッカーのマッチでのことだ。ベトナムが試合に勝った晩、街の中心ではベトナムの国旗をふりかざしたバイクが100台くらいの群れになって占拠し、大混乱であった。まさに暴走族の集会である。ただ日本の暴走族と違う点は、バイクに乗っているのは日本ではヤンキーだけだが、こちらでは老いも若きも赤ちゃんもみんな家族でバイクに乗っているところだ。なんでもこのときは在住日本人に「タイガーカップのベトナム戦の後は外出しないように!」とのおふれがでたらしい。それにくらべれば、ワールドカップは自国がでてない分、まだましかもしれない。ただ、試合が平日の昼からあったりするので、みんなテレビに張り付いて仕事にならない。

さて、私はさしてサッカーに興味はないのだが、今回の原稿のための取材をかねて韓国vsスペイン戦を観戦する人を“観戦”しようと思い、近所のビアガーデンに出かけた。ベトナム人は外でみんなで騒ぎながら観戦するのが大好きなのである。試合が始まる時間になると、カフェやレストランは臨時テレビをおき、客はその前に陣取る。画面が大きければ大きいほど客の入りは多い。

試合が始まると選手の一挙一動に大騒ぎ。シュートをすれば両手を挙げて立ち上がって「ウオー!」と叫ぶ。何十人がいっせいに叫ぶので耳が痛い。どちらかというとみんな韓国ひいきみたいだが、両国の選手のリアクションどちらにもすごい反応をするのでいまいちわからない。これはトトカルチョのせいでもある。勝敗だけでなく、スコアもあてないと賞金がでないのだ。携帯電話の会社もこれをやっており、試合前はみんな携帯でせっせと予想を送信している。なので韓国を応援していても予想スコアが2対1なんかだとスペインにも1点いれてもらわければいけない、という複雑な?心境なのである。

試合は韓国の勝利に終わり、韓国人客はベトナム人客たちに胴揚げをされるわ、机の上で踊り出すお姉ちゃんはいるわ、たいへんな騒ぎであった。その中でおばちゃんが、笑い止まらずといった感じで仲間から札束をぶんどっているのをみた。仲間内でも賭けていたようだ。

このサッカーへの熱狂ぶりはベトナムという若くてエネルギッシュな国を象徴している姿でもあると思う。節操がなくて混乱しているけどとにかく、パワフル。不景気、高齢化社会と閉塞感が覆っている日本という国からきた私は、彼等のいきいきしたパワーを身近に接することができて今日は少し得した気分であった。

<フンチ(30・女性)さんからのお便り>
ベトナム(ホーチミン)に行ったとき、シンガポール、タイ、ベトナム、ラオス、カンボジアでタイガーカップっていうサッカーの試合をテレビでやってて、町じゅうの人みんなで(老若男女問わず)異様なほど盛り上がってて、その日ちょうどベトナムが勝ち、そうしたら町じゅうの人が暴走族みたいになり、スパーカブにまたがり、国旗を振り回していました。それが朝まで延々と続き、とても静かに寝かせてもらえませんでした。まるでベトナム風フーリガン?でした。数日後、ニャチャンというところに移動したのですが、そこもやはり同じでした。


<<もどる