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キリスト教について詳しくはなくても、「ルルド(Lourdes)の奇跡」については耳に挟んだことのある方は多いのではないでしょうか。
1858年、スペインとの国境沿いにあるフランスのピレネー山麓地方の小さな村ルルドに、聖母マリアが出現しました。病弱な少女ベルナデットが姉たちと薪拾いに出かけた際、1人でいたベルナデットに聖母マリアが姿を現し、その後合計18回に渡ってベルナデットのもとにやって来たといいます。マリアが現れたその時に少女に飲むように指定した泉が、現在もルルドの泉と言われ、世界各地から多くの巡礼者を集めています。
当時はこの出来事があった後、村議会によって洞窟への立ち入りを禁じられていましたが、4年後、1862年、教会によってマリア出現が真正なる事実であることが承認されました。マリアが現れた洞窟の上にはマリア像が建てられ、岩壁の上には、最初は小さな聖堂だったものが現在は大聖堂となり、ガーブ河を見下ろしています。
この洞窟から湧き出る泉の水は、枯れることなく滾々(こんこん)と湧き続け、またその水には難病を治す力があると言われ、今までにも数え切れないほどの奇跡の報告が教会に寄せられているそうです。そのうちカトリック教会が正式に奇跡と発表したのは67件。この67番目の栄誉を受けたイタリア女性は、リューマチから来る重度の心臓病で歩くことも出来なかったのが、1952年ルルドに連れて来られ泉の水に浸かったところ、治ってしまい自分の足で帰ってきたということです。この女性に起きた「ルルドの奇跡」が医者による調査などの結果、教会によって認められたのはなんと53年後の2005年、彼女は元気に93歳になっていました。
そのルルドに訪れてみると、聖なる巡礼地というひっそりしたイメージとは大違いでした。到る所にホテルが所狭しとずらり立ち並び(230軒ものホテルがあるそうです!)、修道女として生きたベルナデットの生涯を描いた映画も上映され、マリア像やルルド水、ベルナデットゆかりのおみやげもの屋が軒を並べています。その雰囲気はまるで、伊豆熱海の温泉街のようです。フランスでここまで観光名物的な場所はあまり見たことがありません。さすが毎年500万人もの巡礼者や観光客が世界各地から集まるスポットへと変身したルルド。最も人が多いのが、カトリックで聖母月と言われている5月と、聖母マリア被昇天の祝日がある8月だそうです。
ガーブ河のほとり、大聖堂の敷地内には、あふれるばかりの人でした。車椅子の方やボランティアの団体も多く、インドから、アメリカから、アフリカから、韓国から・・・人種を問わず救いを求め、祈りを秘め、マリア像に頭を垂れ、列をなしていました。ちょうど、洞窟内でミサが行われていました。大勢の人にも関わらず静けさを保ち、奇跡を悲願する無言の声が洞窟の中にこだましているように感じられました。ミサの間も洞窟を一周することができます。洞窟の壁はヒンヤリとしていて、地下を湧き出る水をガラスの窓から垣間見ることができました。
水は管を通じて沢山の蛇口から好きなだけ汲み取ることができます。空き瓶や空きペットボトルに詰めている人の姿が後を絶ちません。この水は遠隔地の方には無料で配られてもいるそうです(送料はかかるそうですが)。
来年2008年は、マリア出現から150年の記念年になるそうです。
画像上右:ガーブ河の流れに建つ大聖堂。前に行列している白い人影は巡礼者の列。
画像上左:各地から奇跡を願って訪れる人たち。
画像中右:洞窟と右上に立つマリア像。
画像中左:ルルドの水を入れるマリア姿のプラスチックボトル。おみやげ物屋さんで売っています。
画像下右:泉の水を持ち帰る人々。
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