■地球にやさしい電気の使い方は辛抱強く 2007.4.3 update

ピーーーッ!ピーーーーッ!! 夜8時を過ぎた頃、のどかに食卓を囲む我が家に突然甲高い警報が鳴り響き出しました。全員の動きが一瞬止まります。警報は一度止んだあともまた数回繰り返して、念を押すように家の中を鳴り巡ります。ドロボウか? 煙探知機器か? はたまた消防署の防災訓練か? 我が家のメンバーに緊張が走る瞬間です。この警笛が鳴るとついに観念しなくてはなりません。全員が肝に銘じるのです、「明日は『赤の日』だ・・・」と。

フランス電力会社は各家庭とのいろいろなタイプの契約の中に、「テンポ」というオプションを設けています。これは一年365日を赤の日、白の日、青の日と3色に分けたものです。どういう意味があるかといいますと、それぞれの日で電気料金が違うのです。青の日が一番安く、一年のうち300日あります。白の日は青の日の約2倍の料金で、一年のうち43日やってきます。週末の家事を助けるためか、土曜にやってくることはあっても、日曜になることはありません。

そして一番恐れられているのが、赤の日。これはなんと青の日の10倍もの電気料金です。ですがこれもお上のお情けで、土日祝日は情状酌量となっています。一年のうちたった22日ですが、11月1日から3月31日の間・・・つまり暖房を必要とする冬季と決められていますので、短い期間に集中してやってくることになるわけです。不幸中(?)の幸いで、連続5日以上に及ぶことはありません。また同じ1日の中でも午後10時から翌朝6時まではそれぞれに夜間割引料金になっています。

現在の家に越してきたとき、前の住人がこの契約を行っていたため、それを引き継いだのですが、赤の日にはオーブン、電気暖房、食器洗い機、掃除機、洗濯機など、電気の消費が高いものは使わないようにね」とご丁寧に前住人の奥様に教えていただきました。確かに、10倍の電気料金なのですから、赤の日にケーキを1つ焼いたとすると、同じ電気料金で青の日には10個分焼けるのですから、超高級菓子になってしまいます。

なるべく使わないように・・・と思っても、電化製品様様で助けられている現代の家事。5日以上連続でやって来ることはないと言っても、3日続けば相当キツイものがあります。たまる一方の洗濯物や食器洗いにもじっと我慢。また赤の日は、電気暖房は極力控え、薪暖房をぼうぼうに燃やすようにしています。

毎日が何色かは前もって決まっていません。翌日が何色になるか、前日の夜8時を過ぎてからわかるのです(電力会社のサイトでは前日の午後4時過ぎ頃からわかるようになっています)。それを知らせるために、「テンポ」を契約している家庭には小さなランプのついた小型の装置が配布されます(右上の画像)。「今日」と「明日」の部分に分かれていて、明日の青のところにランプがついたら、明日は青、白にランプがついたら白、そして赤のときだけ、ランプだけでなく同時に警報が鳴るのです。初めて警報を聞いたときには、何事か!とあたりを見回してしまいました。

大抵、天気予報にあわせて色を選んでいるのでしょう、赤の日は全国的に寒波がやってきているときと重なります。暖房電力を抑えるためなのでしょう。このやり方は、青の電気料金がお得なので消費者側には電気料金の節約にもなりますし、電力にとっては無駄な消費を全国的に抑えるのに役立っているのでしょう。しかし、使いたくてもグッと我慢をしている身としては、やはり3月31日を過ぎて赤の日が当分来なくなる日が待ち遠しいです。

少し前の話になりますが、2月1日、環境団体の呼びかけで地球温暖化をふせぐために、フランス全国で午後7時55分から8時までの5分間の消灯が提案され、実施されました。パリのエッフェル塔をはじめ、いくつかの公共の建物も停電に応じました。明かりを消すだけでなく、電化製品の電源を切ることも大切ということでした。各家庭も含め、約3百万人のフランス人がこれに協力したそうで、その結果、フランス電力の1パーセントの節電になったそうです。

エッフェル塔のイルミネーションを消すなんて、かなり思い切ったことだったと思いますが、電気が消えても省エネの素晴らしい広告塔になるのは、さすがみんなに愛されるエッフェル塔ですね。


画像上:今日は「白」、明日は「青」の日とランプが教えてくれる小型の装置。
画像下:2月1日、我が家もろうそくを立てて5分間の消灯をしました。ろうそくの灯りもよいものです。フランスの家庭ではインテリアのひとつとして人気があります。


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