■トラムで街づくり 2006.11.7 update

フランスの各都市で現在注目を浴びている都市計画があります。それはトラム(トラムウエイ)。日本では古くは路面電車と呼ばれたものですが、現在ではLRT(Light Rail Transit/ライトレール)と呼ばれているもので、高速性、定時性、輸送力ともに現代に対応する高機能の乗り物です。これを次々と各都市が導入しているのです。

フランスでは戦前にすでに路面電車が走っていましたが、戦後それらは時代遅れの乗り物として撤去され、新時代の寵児「自動車」に受け渡されました。レールを取り除く工事をして道路を舗装し直し、車道を中心とした街づくりをしたのです。人々も、自家用車を持つことが当然になってきました。ところが近年の都市部では、ひどい交通渋滞から路上麻痺が頻発し、環境汚染にも警笛がならされていることに気がつきました。また人々は都市部だけでなく、郊外に移り住み始めましたので、職場への通勤に使われる車の数は増える一方。その結果、これらの悪弊は広範囲に拡張していきました。

そこで再び見直されたのがトラムというわけです。トラムが1台走るだけで、バスにすれば3台分の人数、クルマにすれば177台分の人数を乗せることが出来るそうです。つまり、トラムが1台走れば、177台分の排気ガスを減らすことが出来るのです。といっても、ただ最新路面電車をクルマの代わりに走らせるだけではありません。トラムが走ることによって、より快適で市民全体に貢献できる街づくりをしようというのが、都市の計画なのです。

中心部へのクルマの乗り入れを制限する街設計にし、歩行者が安心して歩ける歩道を増やします。駅などでは無料レンタサイクルを設け、超エコロジーなこの乗り物での移動も増やす予定です。そして、街の中心へはトラムが走ることになるのです。トラムが市民のための乗り物として存在するためには、身体の不自由な方、小さな赤ちゃんや幼児をバギーに乗せて押している方などもホームからの段差がなく、スムーズに乗れなくてはなりません。収入の高低にかかわらず、貧しい人も乗れる値段でなくてはなりません。環境にやさしい上に利用者にもやさしい、それがトラムのコンセプトなのです。これらのことを考慮して導入しているのが、現在のフランスです。戦後最初に導入したのがナント市で、次がグルノーブル市でした。

画像左:グルノーブル市のトラム。
画像中:車内は虹色の座席。明るい雰囲気です。
画像右:車椅子や自転車を持った人もそのままスムーズに乗り入れできます。利用者で一杯です。
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私の住むオーヴェルニュ地方(フランス中南部)のクレルモン・フェラン市は、過去に遡ること116年前、1890年にフランスで最初に路面電車を入れた町でした。ところが1956年に時代の波に乗って撤廃してしまったのでした。それが姿を新しくしてトラムとして再登場。約4年に渡る大工事(総費用約300億ユーロ!)の末、10月14日に開業式典が行われました。

まだ運行はしばらく行われませんが、当地に本社を構えるミシュラン社があるため、トラムのタイヤはゴムタイヤ。車体の色は、火山帯である地方の特色を取り入れて溶岩の色(深い赤)です。走り出したら、私も乗りに行ってみようと思っています。みなさんも是非、機会がありましたら、フランス各地の、その土地の特色を出しているトラムに乗って街を散策してみて下さい。

画像左:トラム軌道敷設工事中のクレルモン・フェラン市中央広場。
画像中:工事終了後はこのようになりました。
画像右:街のイメージと合わせて選ばれた溶岩色(深い赤)の車体。


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