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新学期の季節がやってきました。日本で新年度の4月にあたるのがこちらの9月です。夏のバカンスを満喫した後は、気持ちを入れ換えて新しいスタートです。私の子供たちもそれぞれのクラスが始まりましたので、彼らが通っている公立の小学校の様子をお伝えしましょう。
新しく入学されるお子さんをお持ちの親御さん、入学式には何を着ていきましょうか。子供たち、ランドセルや制服の用意はできましたか? ランドセルの中には新しい匂いのする文房具と教科書、ノートでいっぱいですね。
・・・ちょっと待って下さい。フランスの新学期のお話をするんでしたよね。上の文章には間違いがいくつかあります。フランスの新学期には「ない」ものが書いてあります。さて何でしょう。
「入学式」「ランドセル」「制服」・・・これらは全くないものでした。ついでに「始業式」「卒業式」というものもありません。授業参観もなければ、家族参加で行う運動会もありません。そしてウチの子の学校では「教科書」もないのです。
入学式はないのですから、親御さんも普段着や仕事着のまま、朝、いつも通り門のところまで子供たちを送りに来るだけです。新しいクラスの担任の先生は、新学期が始まって少しすると、父兄会を開きます。その時に初めて先生と父兄の顔合わせとなるのです。なお、こちらの学校では親の送り迎えは必須。小学生の生徒が1人で電車に乗って通学するということは考えられないことです。終業時刻に迎えに行くときですら、親(または代理者)の確認がなされなければ生徒は校門を出ないのが原則です。
ランドセルのように形も色も統一されたカバンはありません。逆に、色も形も好きなものを選んでいいのです。8月になるとデパートやスーパーでは大きな新年度コーナーが催されて「カルターブル」と呼ばれるカバンがズラリと並びます。手提げタイプのものから、リュックサックタイプ、旅行用のキャリーケースみたいにキャスター付きのタイプ、と形からして実に様々。デザインの傾向としては女の子のものはディズニーのお姫様キャラクターやディードルという人気マスコットのもの、かわいらしい系のものが多いのに対し、男の子のはスーパーマンやスポーツ柄で渋めです。
似たような地域で似たようなお店に行くわけですから、同じカルターブルがかち合ってもおかしくはありませんが、クラスの子たちが同じカルターブルを持つ確率は極めて低いのが毎年不思議なくらいです。それだけ子供たちの好みもひとりひとり違うということなのでしょうね。
さてカルターブルは個性豊かに別々ですが、文房具はウチの子供たちの小学校では(他の学校では違うかもしれませんが)統一されています。鉛筆から糊、ノートに到るまで全部学校側で用意されますので、各家庭では一切用意する必要がないのです。どの子供も学校から配られた同じものを使うのです。各家庭の収入のレベルが違っていても子供は同じ条件で勉強する、そういう教育側の配慮が感じられるような気がします。
もうひとつないもの、それは「いわゆる教科書」。「全国的または県や地域単位の学校で使われている同じ教科書」というものがないのです。担任の先生には「その学年を終えた時点で身につけていなければならない学習レベル」まで子供たちを指導していく義務と、各教科の時間の枠組みが課されていますが、そのための方法や教材、時間割は先生の自由に任されているからです。
ですので、ウチの子供たちはいわゆる文部科学省認定で決められた教科書は使っておらず、先生が選んできたテキストをコピーしたものを、順次自分で切ってノートに貼り付けたものが、教科書になっていくという仕組みです。
長男が小学一年生になった時の国語の時間は、「マリーはがっこうにいきます」とか「あひるはがぁがぁとなきました」などというテキストをイメージしていた親たちを裏切って、先生の趣味でいきなり「ギリシャ神話」でした。オルフェウス(妻を取り戻すために冥界に入った)だの、ケルベロス(冥界の番犬)などという舌を噛みそうな単語がフランス語でぞろぞろ出てきて、宿題を見る母(私)を泣かせたものでした。が、長男は物語に対する興味からあっという間に魔物のような単語たちを覚えていきました。
そうそう、一年生のときから宿題は毎日出ます。1日20分くらいの宿題ですが、朝は9時から午後4時まで学校で勉強した後、さらに宿題をやらされるのですから、フランスの子供たちもなかなかハードな1日です。
公立の小学校のルポルタージュ映画で、フランスで人気を博した「ぼくの好きな先生」(ニコラ・フィリベール監督)は、なにげない田舎の学校の日常が伝わってきて、しっとりと心が暖まります。まだご覧になっていない方は是非一度目を通してみて下さい。
画像右上:教室の風景。昔ながらの木の机と椅子。
画像左上:授業で使う文房具のひとつにB5サイズの黒板があります。生徒ひとりひとりに配られて、これで問題を解いたり、書き方の練習をするのです。この小黒板は毎年使いまわされるもので、側でみると年季が入っています(笑)
画像右中:本文で説明した手作り教科書。
画像左下:カルターブル(かばん)男の子用。
画像右下:カルターブル、女の子用。
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