■消えゆくスーパーのレジ袋 2006.8.1 update

去年(2005年)の秋、南仏に旅行したときのこと。旅という魔術はフシギなもので、よく行くチェーン店のごく普通のスーパーだって、そこでは違って見えるもの。リッチな観光地域でもあるその辺りは外国の旅行者も多く、フランス語と同じくらい英語が飛び交っていました。何やらエキゾチックな気分・・・と、地元と同じ系列のハイパースーパーでうきうきと買い物をしてレジを通った時、違っているのは気分だけでなく、実際にもう1つあることに気がつきました。

「あらっ?今どきまだこんなモノがあったの?しかもこんなにジャンジャン使ってる! いいのか?」。もうレジからは姿を消したと思っていたものがそこにあったのですからびっくりしました。急にタイムマシンに乗って昔に逆行したような気持ち。昔、といってもその時からわずか1、2年くらい前のことになるのでしょうが。でも、久しく見ていない光景でした。

どんな光景って、レジの女性が清算を終えた後でビニールのレジ袋をどっさりと買い物客に渡しているのです!てっきりフランス全国的に廃止になったものと思い込んでいたら、残念ながら井の中の蛙だったというわけでした。私の住んでいるところでも数軒の大きなチェーンのハイパースーパーがありますが、もうかなり前からレジ袋が一斉に消えたのです。2005前半の調査ではフランス人の83%がレジ袋廃止に賛成とのこと。というわけで、地方によってまちまちな状況ですが、今回はフランスのレジ袋のお話です。

レジのビニール袋は一般に高密度ポリエチレンを原料としています。製造にかかる時間はわずか1秒、平均寿命(使用される時間)20分という刹那的な存在でいながら、自然分解にはなんと400年もかかるそうです!400年先といったら、私たちの子孫は、環境は、どうなっているのでしょう?生存している?、自然と共存している?、人間らしい生活を送っている?、それともますます破壊的になっている紫外線から身を守るために地下で暮らしている・・・? 想像するだけで気が遠くなるような年月です。そして、海の中にいたっては1,200年もかかるそう。レジ袋をクラゲやイカだと思って間違って食べて死んでしまう海の生き物たちが後を絶たないそうです。

フランスでは毎年150億枚ものレジ袋が生み出されているそうで、重さにして8万3千トン。レジの袋がなくなれば、これだけの無駄なゴミが減るわけです。ちなみにフランス人1人が毎年捨てるゴミの量は360kg、1日にして1kg。

レジの袋を止めようとフランスで最初に動き出したのは、チェーンストアのハイパースーパーの1つ「ルクレール」(E.Leclerc)の社長さんでした。1995年のことです。それをきっかけに今では他のチェーンストアも15%から25%のレジ袋の削除を推し進めるようになったとのこと。当初はレジ袋廃止のための広告費のほうが、生産コストよりもかかってしまったそうですが、今では顧客の90%以上が満足しているそうです。

この広告のひとつに、白いレジ袋を「白旗」に見立てているものがあります。「あなたの協力がなければ、自然環境はこのまま降伏します」というキャッチコピーの入った写真は印象的。まさにその通りでしょう。

従来のレジ袋に取って代わったのが、何度も利用できるマイバッグ。低密度ポリエチレンで作られている大きなビニール袋で、各スーパー独自のデザインで売られています。レジにはどの客もこれらの袋を持参するようになりました。値段は5サンチームから30サンチーム(約7円〜43円くらい)。もちろん別のスーパーのロゴが入っていたって他のスーパーで利用しても、誰も文句はいいませんから安心して下さい。袋のほかに、折りたたみ式のかさばらないケースも人気です。私はこの他に、余り布で縫った自家製袋も利用しています。市販のものより大きく作れるし、惜しげなく洗えて便利。

国民議会は2010年までにバイオ生分解できないビニール袋を禁止する法令を可決しました。上記マイバッグに加えて、トウモロコシやジャガイモの澱粉質、小麦などを原料にした袋の普及も進んでいます。これらは「ビオ(バイオのフランス語発音)バッグ」「エコロバッグ」と呼ばれています。さまざまな商店で従来のプラスチック袋(レジ袋)に代わって商品の受け渡しに利用されるようになりました。形は同じですが手触りがずっと柔らか。

でもちょっとした買い物なら・・・やっぱり伝統的なマルシェのお供、「籠」はエコロジー、かつ見た目も美しくて素敵ですよね。自然にやさしいお気に入りの籠やバッグは、日常に追われた買い物の一場面でも、環境を考え生活を愛するアイテムになってくれます。

□ルクレール社のホームページ(フランス語)
http://www.e-leclerc.com/c2k/portail/decouvrir/environnement_sac04.asp

画像右上:ルクレールのマイバッグ。「みんなで環境を保護しましょう」と書いてあります。
画像左上:その他スーパーのマイバッグの1つ。パンダのマークでおなじみのNGO組織WWF(世界自然保護基金)のロゴが入っています。
画像右下:色違いもあります。
画像左下:マルシェ(市場)の買い物で活躍する籠、いろいろ。

【短信】フランス人を沸き立たせたサッカーのワールドカップが終わりましたが、その後もジダンの頭突きがジョークの画像になったり、もじった歌が一躍流行ったり、メディアで余波は続いています。(7/17)


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