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フランス語の数の表し方には、日本人の私たちが「なぜ?」と首をかしげるようなものがあります。例えば「70」。10の位が7だから「ななじゅう」、これでいいはずなのに、彼らは「ろくじゅう(足す)じゅう」と言うのです。
では「80」はそれに則って「60+20」と言うかというと、これまた違います。「よん (掛ける)にじゅう」と言うのです! では「90」は?・・・次のうちのどれでしょう? 「3×30」、「4×20+10」、「5×20-10」(答えは最後の行に書きますね)。まったく素直じゃない…と閉口させられてしまいますが、そう疑問を抱くフランス人にまだ会ったことがありません。ひょっとしたらそのせいなのでしょうか、運転の際、数字に対する感覚がすこしばかり違っているのは?!
街中の制限速度時速が50キロとあれば、70キロで走るのが常識です。時速90キロ制限の道は、当然、110〜130キロで飛ばしています。高速道路は最高速度時速130キロと繰り返し標識が現れますが、160キロで走るのはごく普通のこと。以前、日本人の団体さんをフランス人の運転(運転手が職業ではない人)で案内した時に、2回目からは怖がって誰も助手席に座らなくなりました。速度計に表示された数字を見て「時速170キロ?…きっとメーターが壊れてるに違いないよ」と自分達に言い聞かせるように、後ろでヒソヒソ話しているのを耳にしながら、「いえレンタルしたばかりの新車ですから、壊れているはずはありません。現在、この車は正真正銘時速170キロで走っております。フランス遊園地へようこそ!」と説明したいのをグッとこらえました。今は標識こそ存在しますが、二昔前は標識などというものも稀で、各自好きなスピードで走っていたというのですから、考えるだけで怖ろしいくらいです。
「運転には本性が現れる」と言いますが、フランス人にはスピード好きの血が沸々とたぎっている様です。加えて、揃いも揃って「抜かれ嫌い」。後ろの車に追い越されようものなら、血圧が一気に200mmHg に跳ねあがり、追い抜きリベンジのチャンスを狙うことで頭がいっぱい。ハエの交尾のようにピッタリと2台が前後にくっついたまま、長い距離を走っていくのを頻繁に見かけますが、これは追い越し車線に入るやいなや後ろの車が前の車を追い越そうと狙っているわけです。どうやらここでは「車間距離を取る」ということは「前の車体にギリギリで触れないようくっ付く」という意味らしいです。バックミラーをのぞくと、後方車の運転手の顔が手に取れるように映っています。その後ろには一台もいない時ですら。
ところが最近になって、このフランス人気質に大きな「待った」がかかりました。交通事故の多さを深刻に受け止め、政府が取締り強化に乗り出したのです。路上ではスピード違反を検挙する警官やカメラが増え、ほんの少しオーバーしただけでも一万円から二万円相当(最高で約十万円まで)の罰金と違反点数が待ち構えています。持ち点数は12点満点ですが、交通違反や事故があるたびに累積点数が持ち点から引かれていくことになります。1点失うと取り戻すためには、3年間の無事故無違反が必要です。例えば時速19キロまでを超えるスピード違反は1点減点です。
取締りが急に厳しくなり、あちこちから憤懣やるかたなしの悲鳴が聞こえてくるようになりました。「制限速度時速50キロのところを52キロで走っていて6千円取られた!」、「80キロのところを86キロで走っていて1ポイントと1万円払わされた!」と後を絶ちません。これは飲酒運転の取締りにおいても同じですが、今度はうって変わって重箱の隅をつつくような検挙の仕方。従来通り走っていると大変なことになります。
2006年1月発表の統計によると、2005年度の人身事故の数は約8万2千件、死亡者は約5千人、傷者数は10万人を越えています。日本の死亡者数は約7千人だそうですが、国土は日本の1.5倍、人口は約半分という人口密度を比べると、いかに多いかということがわかります。それでも前年よりも3%〜4%の減少で、厳しい検挙の効果が上がっているそうです。
効果を最も物語っているのはなんといっても罰金の額でしょう。取締りカメラの増設によって徴収された2005年度のスピード違反罰金は、なんと200ミリオンユーロ(約280億円)を上回り、前年の2倍にうなぎのぼり! フランス人のスピード好き、これこそ国家に寄与する大事な収入源ですね。庶民のふところには痛い話ですし、人命のためにもそろそろ年貢(罰金)ならぬ「スピードの納め時」としてほしいものです。
さて「90」の正解は「4×20+10」(カトル・ヴァン・ディス)でした。
画像右上:車の後ろに貼ってあるステッカーの1つ。子供を乗せている、というマークではありません。免許を持っている成人に横に同乗してもらい、最低でも1年間3千km以上走行した後に免許の実技試験を受ける「La conduite accompagnee(同伴運転)」というシステムがフランスにはあるのです。これを実行中の車ということです。このシステムで運転するのは、まだ免許を取得する年齢資格のない16歳から出来ます。
画像左上:車の後ろに貼ってあるステッカー2。これがフランスの「若葉マーク」で、初心者を意味します。
画像右中:赤と黒の車が2台横に並んでいる上の標識は「追い越し禁止」という意味です。
画像左下:ロータリーに入るところ。交差点の代わりにロータリーが好きな国で、よく出くわします。ロータリー内を走っている車が優先です。
画像右下:ロータリーの手前にある標識です。左折する車はロータリーに入る前からウインカーを左に出してロータリーに入り内側を走ります。右折する車と正面に行く車は外側を走ります。
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