2月に入って寒い日が続き、アルプスやピレネー、中央山岳地帯(ミネラルウォーターのヴォルヴィックが湧く地方です)などでは大雪に見舞われています。あちこちで道路が封鎖され、せっかくのバカンスなのにスキー場に辿り着くのも一苦労、といった状態のフランスです。
先日は、普段は雪などとは無縁のニースでも雪が降り、ビーチの雪景色がニュースでも放映されていました。薄らと雪化粧で並ぶ椰子の木というのは、なかなか不思議な光景でした(そこで寒中水泳をしている人もいたのは、更に驚きました)。
そんな2月も終わる頃、パリでは "Salon de l'Agriculture(サロン・ド・ラグリキュルチュール/農業見本市" が開催されます。これはパリで数多く催されるサロンのなかでも格別に人気のあるもので、「フランス1の大農場」というのがキャッチフレーズです。
9日間の入場者総数が75万人を超えるサロンというのは他にはないのではないでしょうか。オープニングには大統領がやってきますし、期間中、顔の知られた政治家が「農業に理解のある親しみやすい庶民の味方」というイメージを与えるべく何人も訪れます。テレビのニュースでは毎日会場からの生中継があり、この見本市の人気の高さをうかがうことができます。
ここでは農業に関するありとあらゆるものが出展され、フランスが農業大国であることを改めて感じることができます。農業関係の企業の商談の場でもあるこの見本市ですが、一般の人々に人気があるのは、まず何と言っても4000頭を超える動物達。牛が550頭、羊が580頭、ヤギが70頭、馬やロバが120頭、豚が60頭、ニワトリやウサギ、ハトなどの家禽類が2500匹と、まさにフランス1の大農場の名に相応しい数の動物が集まるのです。
この見本市では動物のコンクールが行われるので、どの動物たちも素晴らしく、それぞれの品種のトップクラスばかり。コンクール当日の朝にはきちんとシャワーで洗い、部分的に毛を刈り込んだり、念入りにブラッシングして毛並みを整えます。動物達は迷惑そうな顔をしていますが、飼い主は真剣そのもの。このコンクールで入賞すれば、愛牛、愛馬、愛豚(!)の価値が跳ね上がり、飼育家としての名声も上がるのですから真剣になるのも当然でしょう。
ただ、普段は牧場でのんびりと暮らしている動物達にとって、満員御礼のソルド会場のまん中に放り込まれたような状態になるサロンはストレスが大きいのが気の毒なところ。1トンを超えるような牛のなかには80キロ近くも体重が落ちてしまうものもいるそうです。
動物達の次に人気なのは、各地の名産品のスタンドが集まったホールです。フランス各地のうまいもの市といったところで、生産者と直に話をしながら試食や試飲をして、気に入ったものを買う事ができるのは、以前ご紹介した "Salon des saveurs" とよく似ています。
たまたま一緒のスタンドに居合わせた人や、場内のレストランで隣のテーブルになった人々と気軽にお喋りしたりできるのも、この見本市の賑やかな雰囲気のためでしょうか。そういう意味では、見本市、というよりもむしろ「農業祭り」と言った方がこのサロンには相応しい気がします。
画像右上:養鶏業者のスタンドでは、卵から孵るヒヨコを観察することもできます。
画像左上:この頃から、牛や羊の出産シーズンが始まります。この双子の小羊も見本市開催中に生まれたそうで、母羊と共に別の柵に入れられていました。
画像右下:人の群れに疲れてしまったような雄牛。
画像左下:巨大な雄牛が並ぶコーナー。一番体重の重い雄牛は、何と1.7トンもあったそうです。
【短信】2月23日、関東地方では春一番が吹いたそうですが、パリでは朝方冷え込んで雪が降り、市内でも3cmほど積もりました。冬休み中の子供達は大喜びでしたが、パリに車で通勤する人々は大渋滞に悩まされました。午前9時にはパリ周辺で、トータルで300km以上の渋滞になっていたということです。(2/25)
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