■CHATEAU AMBULANT 2005.2.7 update

1月としては記録に近い15〜16℃にまで上がった気温が、翌週には2〜3℃にまで急降下するという、まことに過ごしづらい今年の冬です。暖かいと思えばしとしとと雨が降り、湿気が上がってバイ菌が繁殖しやすくなるので、学校では胃腸風邪が大流行り。かなり気温が下がっても、湿度が低いカラリとした寒さならば、きっちりと防寒しているとそれほど風邪をひかない、とフランス人は考えているようです。でも今年は寒暖の差があまりにも激しいため、インフルエンザにかかってしまう大人が多いと、先日のニュースで話題になっていました。

さて、今回の題名ですが「シャトー・アンビュラン」と読み、シャトーは城、アンビュランは動き回るという意味です。先ごろフランスで封切になったある日本映画のフランス語タイトルで、ご想像のとおり「ハウルの動く城」です。

1月12日に公開されてから1週間の観客動員数は30万人を超え、同時に公開されたフランス映画をおさえてトップの位置に立ちました。宮崎監督の映画は、北野監督の映画とともにフランスで高く評価されています。アニメーションというと、こちらでも子供向けと考えられていますが、宮崎監督の映画は画像の美しさが絶賛されるのはもちろん、「哲学がある」「子供向けアニメーションと考えてはいけない」「社会にむけたメッセージが幾重にも折り込まれている」等々、創造的で大人に訴えるロマンがあり、自然との共存を考えつつノスタルジーを誘うといった点がフランス人にうける理由のようです。

辛口で知られる雑誌などで日本の映画の評価が高いのは、他人事ながら読んでいて嬉しい気分になるものです。フランスでは外国映画は吹き替えが多いのですが(最近は字幕も多くなりました)、「ハウルの動く城」はオリジナルバージョンを字幕で上映している映画館が多いのが特徴です。

料金はパリの場合、だいたい7〜10ユーロです。シネマコンプレックスになっているのが普通で、立地条件(シャンゼリゼの映画館などは高め)、上映するホールとスクリーンの大きさ、音響システムのレベル、座席シートのゆったり感(新しい映画館は総じてよいシートを入れています)などによって値段が上下します。

最近こちらでも「映画は好きなんだけど、高くてねぇ」という声を聞きます。日本とくらべると随分安いのですが、平均賃金の差などを考えると、やはり高いと感じられるのでしょう。映画離れを防ぐため、月曜日や午前中の最初の上映を半額にしたり、割安チケットや年間パスを導入したり、映画館や映画会社はいろいろ工夫しているようです。でも、最近はロードショーからDVD/ビデオ販売開始の期間が短くなっていますし、ここ2〜3年多く目にするようになったDVD/ビデオレンタル店の繁盛ぶりを見ると、映画館の経営はどんどん難しくなっていくのかもしれません。

【参考】パリの Musee de la Monnaie(貨幣博物館)では、3月13日まで、特別展として"Miyazaki, Moebius"と題し、宮崎監督とフランスの巨匠の原画やストーリーボードを展示しています。ジブリ美術館(東京・三鷹)でも公開されたことのない、デッサンなども観られるということですので、この時期パリにいらっしゃる方はどうぞご覧になってみてください。
Musee de la Monnaie de Paris 11 quai de Conti(6区)

画像上:「ハウルの動く城」公開前の新聞など。表紙に取り上げられたり、カラーで紹介されたりと、アニメーション映画としてはかなり大きな扱いに。見出しには、「宮崎の詩的な幻影」「宮崎の魔法のような空想」「宮崎、生ける至宝」等々の文字が。
画像下:フランスで販売されている宮崎監督のDVDの一部。上映に使われたフィルムをカットして通し番号をつけたプレート(下段)を封入したコレクター版も人気。左から、「Princesse Mononoke(プランセス・モノノケ/もののけ姫)」、「Le Voyage de Chihiro(ル・ヴォワイヤージュ・ドゥ・チヒロ/千尋の旅)」、「Le Chateau dans le Ciel(ル・シャトー・ダン・ル・シエル/天空の城)」。


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