■Apéroに来ない? 2004.8.2 update

7〜8月はテレビのプライムタイムも夏休み向けの番組に入れ代わり、馴染みのニュースキャスターが「それではみなさん、よいバカンスを。お仕事を続ける方々、頑張ってください」と言って休暇に入る頃にはバカンスも本番。人口の半分はバカンスに出ない、という統計がありますが、パリの交通量はぐっと減り、商店街には「夏季休業」の店が目立ちはじめます。

7月上〜中旬にバカンスをとったジュイエッティスト達(Juillet=7月)は、地中海へ行った人々を除き、気の毒なことに何度も雨に降られ、曇り空を見上げながら肌寒い夏休みを過ごす事になった今年のフランス。去年の酷暑は夢か幻のようです。4月のうちから夏の猛暑に備えてと、扇風機やクーラーなどが飛ぶように売れましたが、今のところ活躍の機会はない様子。それどころか7月の上旬にはヒーターを入れる始末で全くうんざり。これは日頃から思っているのですが、日本が暑い時にはこちらが涼しく、日本が涼しい時にはこちらが暑いという感じですね。シベリアの寒気団の位置等々が関係しているのでしょうか?

そんな天気を吹き飛ばし、一気に夏へ!とばかりに、今年もパリ・プラージュ(パリ・ビーチ)が開催されます。7月21日から8月20日までの1ヵ月間、シテ島とサン・ルイ島を向こう側に眺めるセーヌ川の右岸が海辺に早変わり。去年は300万人もの人々が訪れ、セーヌのビーチを楽しみました。砂浜はもちろん、芝生や簀の子風の板敷きスペースが設けられ、今年はプールも新登場。シャワーや着替えのためのキャビンも設置されています。開園時間は朝の7時から深夜0時まで(プールは8時から20時)。連日の催し物の他、金曜日と土曜日の19時からはコンサートも開かれるそうです。詳しくはビーチに3ケ所あるインフォメーションでどうぞ。

バカンス中の神聖なる儀式(笑)「アペリティフ」、略して「アペロ」。食事の前に飲み物と軽いスナックをつまみながらお喋りする、いわゆる食前酒タイムのことです。食前酒のある食事というと大袈裟な感じがしますが、実際はまったく気軽で簡単な集まりです。バカンスでなくても、ちょっと友人達と集まるのに食事を準備するのは面倒、でもコーヒーとお菓子類だけではちょっと物足りない、という時にうってつけなのがこのアペロなのです。正しいマナーの本などには、「白ワインとロゼワインは、昼食前のアペリティフのみ」だとか、「ディナー前のアペリティフには、果物のジュースはNG」等々と書かれていますが、それは1年に何回あるか知れない(全くないかもしれません!)正式な食事会にまかせ、普段はみんな好きなものを飲みます。

キリリと冷えたシャンパーニュや上等のポルトー、クレーム・ド・カシスを白ワインで割った定番のキールなどは時期を選ばずに好まれますし、暑い夏の盛りには南仏名産のパスティス(アニス風味の褐色のリキュールで、水を加えると白濁する)が人気です。水割りにする前にミントのシロップを加えると「ペロケ(オウム)」、グレナディン(ザクロ)のシロップを加えると「トマト」と呼ばれて親しまれています。それから日本ではほとんど見かけないと思いますが、"Picon(ピコン)"という名のリキュール。これはビールで割って飲むもので、夏のアペリティフとして人気があります。

お酒が苦手な人や、暑すぎて強いアルコールはちょっと避けたいという時には、好みの果物のクレーム(リキュールにシロップを加えたもの)をペリエなどの炭酸水で割ると風味のよいさっぱりとした飲み物に。夏休みの子供たちは、果物のシロップを水でうすめたものを手にして、大人の仲間入りをした気分でご機嫌なようです。アペロのおつまみの定番としては、オリーブ、薄切りソーシソン(サラミ)、ナッツ類、ドライフルーツを小さく切ったもの、塩味のスナック類で、これらはスーパーなどでも種類が豊富に取り揃えられています。「アペロに来ない?」と誘い誘われて、木陰のテラスでお喋り三昧、2時間くらいはあっという間に経ってしまうのは、時間を気にせずにすむ、バカンスならではの愉しみなんですね。

画像上:田舎の家に常備してあるアペリティフ類のほんの一部。アペリティフ専用のカラフとグラスのセットもあって、アンティークショップや蚤の市でよく見かけます。
画像下:わが家のクレーム(リキュールにシロップを加えたもの)勢揃い。壜が可愛いので、いつもキッチンに出してあります。フレーズ・デ・ボワ(野イチゴ)やペッシュ・デ・ヴィーニュ(桃の一種)は、アイスクリームやソルベに少しかけても美味です。
手前は自家製のアペリティフとシロップ類の本。カクテルだけではなく、アルコールやワインに好みの果物やスパイスを漬け込んでつくる本格派アペリティフの作り方も載っています。

【短信】1年を通して観光客の多いパリですが、7月に入ってその数がぐっと増えてきました。よくホテルのフロントに置かれている百貨店提供の地図を手に歩いている人々をみかけますが、この地図、載っていない道も多々あるのです。
先日もこの地図を持っている観光客に、「この近くの○○通りを探しているんですが」と尋ねられましたが、その道は載っていませんでした。パリを無駄なく歩き回るには、小さく折り畳めるタイプの地図をキオスクや書店で買うのがいちばん確実です。バスやメトロをフルに活用したい方は、各区のバス停やメトロ駅がページ別に掲載されている小冊子タイプの地図が便利でしょう。(7/22)


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