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先日(2月11日)「Podium(ポディウム)」というタイトルのフランス映画が公開になりました。公開以来5日間の観客動員数は、パリとその近郊だけでも20万人を超え、近年にない大ヒットとなっています。これは今から約25年前に亡くなった、国民的歌手クロード・フランソワのそっくりさんが主人公の映画ですが、観客はその頃を懐かしむ世代だけではなく、小学生からお年寄りまで幅広いことが、彼の普遍的な人気の証しです。撮影の間中、スタッフ達はセットの周りで知らず知らずのうちに歌ったり踊ったりをくり返していたそうで、「耳に入ると歌ったり踊ったりせずにはいられないのがクロード・フランソワ」なのだそうです。
このクロード・フランソワ、今も結婚式後や誕生会のパーティーでかかる歌手としては一番人気ではないでしょうか。高めの歌声でリズム感あふれる曲やメロディアスな曲を、クローデットと呼ばれる数名の女性ダンサーと共に歌い踊るスタイルは、当時とても斬新に受け入れられたのでしょう。彼の死後もまったく人気が落ちず、今でもベストアルバムが出ればすぐにチャートインしますし、歌って踊れるカラオケのDVDが大人気だそうです。また、昨年末には彼の歌を30曲ほど取り入れたコメディー・ミュージカルが連日満員御礼を掲げ、あまりの人気に期間を延長して上演されていました。フランスにいらした際には、fnac や virgin megastore などのレコード店に立ち寄って、クロード・フランソワのベストアルバムを一枚、お土産にするのも面白いかもしれません。
日本ではあまり知られていないかもしれませんが、フランク・シナトラで有名な「マイウェイ」は、クロード・フランソワの「Comme d'habitude/コム・ダビチュード(いつものように)」という曲がオリジナルです。たまたまフランスに来ていたアメリカ人歌手のポール・アンカがラジオでこの曲を耳にして、アメリカで歌うことを思いついたのが世界的ヒットの始まりだそうです。それによって世界でもっとも多くの歌手によってレコード(CD)化された歌になりましたが、元の歌詞は、最近少しすきま風がふくカップルの女性の方が、いつものように過ぎていく味気ない日々を語る、というもので「マイウェイ」とは全然違うものなんです。また、クロード・フランソワ本人は最初この歌が気に入らず、レコーディングはしたものの発表を渋っていた、というのも面白い逸話ですね。
シャンソン、という言葉はいかにもフランス語らしい響きの単語で「愛の讃歌」「枯れ葉」「雪が降る」・・・などのタイトルと共に独特な雰囲気を連想される方も多いと思います。でも、フランスでシャンソンと言えば、単に「歌」という意味で、歌謡曲もポップスもレゲエもラップも、みんなシャンソンなんですね。
フランス人は老いも若きも特に「ヴァリエテ・フランセーズ」と呼ばれるフランスの歌謡曲が大好きです。2002年に発売された人気歌手パトリック・ブリュエルの「entre deux(2つの間)」というアルバムは、第一次と二次の2つの大戦の間に流行ったシャンソンをデュオで歌ってベストセラーになり、それ以降昔のシャンソンのアンソロジーが多く発売されています。
また、数多いFM局の中でも、アメリカの最新ヒットチューンを流す局より、フランスの歌謡曲を流す局の方が多いのではないかと思います。それも最近の新譜ばかりではなくて、昔のヒット曲などもよくかかることです。ずばり、ノスタルジー、という名の、懐メロがメインのFM局まであり、かなりの高聴取率をあげているのにも驚かされます。昔のヒット曲といえば、フランスの曲ばかりではなく、70年代のディスコミュージック、80年代のボーイ・ジョージ(カルチャークラブ)やシャーデー、クリストファー・クロス等々、今の日本では知らない人の方が多いようなアーティストの曲が普通にかかります。
画像上:映画「podium」の上映館ポスター。「僕らはみんなクロード・フランソワなんだ。特に僕は!」というセリフは、フランス人なら誰でも口ずさんだり踊ったりしてしまう事実をよく表している。
画像下:公開直前の新聞や雑誌には特集が組まれ、内容も好意的なものが多い。同時にサウンドトラックも発売され、ジャケットに書かれている氏名:ベルナール・フレデリック、職業:クロード・フランソワ、の文が笑いを誘う。
【短信】今回は映画の話題ですが、フランスでは外国映画を上映する際、吹き替え版が圧倒的に多く、字幕付きの原語版は少ないのが現状です。「字幕を読んでいると映画に集中できない」という理由で、吹き替え版に足を運ぶフランス人が多いようです。(2/19)
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