■猛暑、酷暑、日照りの8月 2003.9.1 update

先々月、6月は記録的な暑さと書きましたが、その後もずっと暑い夏が続いているフランスです。日本のニュースでも報道されたようですが、今年の夏は暑さに関する全ての記録を塗り替えてしまいました。国内の多くの町で日陰でも35度(南西部では40度)を越す日が何日も続き、暑さのために亡くなる高齢の方々が続出という非常事態にまで発展してしまったほど。

暑いといっても、一般家庭でエアコンが必要なほど室内が暑くなるのは例年数日しかないため、エアコンが普及していないフランスでは、室内で熱射病になってしまうケースが多発したようです。特に高齢になると喉の乾きを感じ難くなるそうで、水分補給を心掛けないと身体の水分量が激減してしまい、乾燥した暑さは大変なダメージになるということです。

フランス南部のニースやマルセイユが、札幌と同緯度ということを考えると、ヨーロッパは緯度的に見て、かなり暖かいのですが(これは学校でも習うメキシコ湾海流のお陰なのですが)、それでもこの文字どおり殺人的な暑さは異常としか言いようがありません。

暑いばかりではなく、全国的に雨もほとんど降らないため、乾燥しきった野山では大規模な山火事が相次ぎ、地域の自然体系にも影響が出るのではと心配されています。たまに雷雨があっても、短時間に大量の雨が降るので、水は硬く乾いた地面の上を流れてしまい、土壌を潤すにはほど遠いのです。

このため多くの畑では、麦やトウモロコシその他の作物が育たず、またこの時期青々としているはずの牧草地は茶色やベージュ色に乾いてしまい、酪農家の人々は牛に秋冬用ストックの干し草を与えなければならない有り様です。

多くの県で取水制限が行われたり、洗車や水撒き、草花への水やりが禁止されたりして、先月ご紹介したジャルディナージュ(仏語でガーデニング)の愛好家達は大変苦労をしています。木々も葉先が茶色く変色してしまったものが多く、葉が大きくて薄いマロニエは強い日射に葉を焼かれ、根を浅く張る白樺は水分を取れず、特にダメージを受けているようです。

この異常な暑さの中で、ひとつ朗報と言えば、ワイン用の葡萄の出来栄えでしょうか。葡萄は根を深く張り、乾燥を好むので、この暑さによって被害を蒙ることがなかったのです。それどころか、充分な日照のお陰で糖度が上がり、長雨による腐敗もほとんどなかったことから、葡萄の質は近年にない素晴らしさとなりました(量的にはそれほど多くないようですが)。

発育を遅らせる低温の日々もなかったので、ほとんどの葡萄畑では例年より3週間も早く葡萄が熟し、それに伴って収穫の時期もぐんと早まっています。お馴染みのボージョレでは8月の半ばから既に葡萄の摘み取り作業が始まっていますし、ブルゴーニュでも8月の最終週には始まるようです。何年後かにこの年のワインを飲む時、人々は「あぁ、あの年はすごい暑さだったな」と思い出すことでしょう。

画像上:茶色く乾いた牧草地。木々の葉先も茶色く変色している。
画像中:放牧地の牧草も枯れ果ててしまい、動物達はわずかに残った雑草や枯れ草を食べている。
画像下:ここだけは目に沁みるような緑が広がる葡萄畑。そろそろ収穫が始まる。


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