■スワンナプーム・バンコク新国際空港のその後 2007.6.19 update

2006年9月28日に開港したスワンナプーム・バンコク新国際空港。開港日の翌日のレポートを2006年10月にお届けしてから早8ヶ月。その間に、二転三転した挙句に国内線の一部の路線専用でドンムワン空港(旧バンコク国際空港)が再開されたものの、事前のすり合わせが十分でなかったためにあまり多くの航空会社が移転せずに、毎月大きな赤字を生んでいるという話や、旧政権が空港の入札がらみで色々な汚職をしたとか、滑走路・誘導路にひび割れが入って大規模な補修が必要だとか、色々なニュースが飛び込んできている。

肝心の空港の使い勝手のほうは、新しい軍事政権が前政権の作った空港を非難しつつ、予算を積んで徐々に改善しつつあるけれど、まだまだやっぱり機能的な空港とは言いがたい状態。今回はそんなスワンナプーム新空港の「その後」をお届け。

開港時の問題点だった「分かりにくさ」は随分改善。「空港の美観を損ねるから」という理由で殆ど道案内の看板がない奇妙な空港だったのが、大きな縦看板が立つようになり、最近になってようやくきちんとした案内板がたった。これで、ゲートに行くにも迷いにくいようになっている。そもそも最初から分かりきっていたことのはずなのだけど、、、という疑問はさておき、改善は評価したい。「圧倒的に足りない」と言われていたトイレは随分増え、行列もなくなってきている。

でも、未だに搭乗開始案内や、ファイナルコールの案内、到着時の荷物レーンのアナウンスは一切ない。これは「静かな空港を目指すため」らしいが、毎日空港で働いている職員以外は、きっと誰も空港に静けさに対する優先度は高くないし、ボーディング(搭乗)開始に気がつかずに乗り遅れるほうが問題では…と突っ込みたくなる。噂では、時間になっても現れない客は容赦なく荷物を降ろしておいて行くらしい。

使えない空港の象徴のような、出国手続きを終えてすぐ正面の、お世辞にもセンスがいいとは言えない巨大なモニュメントは未だ健在。近くの土産屋では、そのモニュメントの絵を描いた「誰が買うんだ」というTシャツまで販売中。

このモニュメント、半月ほど前に読んだ当地の英字新聞によると、軍政の運輸大臣が「これはすばらしい作品なのは理解できるが、あまりにも通行の妨げになっている。まずはこれを近く撤去しよう」と言っているとか。新聞曰く、「問題は、このモニュメントを移設するような広いスペースが他に見当たらないことである」とあったけれど、余りにも最初から分かっていたはずのことでは、と絶句してしまう。

この空港のほかの問題点としては、キングパワーという免税店が全てのテナントの権利を数年間買い上げていることで、そこがすごい値段で又貸ししているという理由で、どこもかしこも非常に高いということがある。真ん中の一番いいエリアは、シャネル、グッチ、コーチ、エルメスといった高級ブランドと、こじゃれたバータイプのタパスカフェとか、寿司バーみたいなので占拠されている。こういうレストランは市内の2−3倍の価格で、成田でももっと安いんじゃないか、、、と思えるほど。

では、リーズナブルに食事が出来るところは全くないかというと、一番端っこに行けばあるのである。たぶん、テナント料が端っこのほうが安いから、そっちじゃないと商売が成り立たないのだと思われるけれど、ターミナルの右端エリア、左端エリアにはハンバーガーチェーンやコーヒーチェーン、手ごろな民芸品を置いた土産物店、ドラッグストアなどがあり、重宝する。

一番の問題は、そういった「大半の旅客が必要としそうなリーズナブルなサービス」が端っこに追いやられていて、免税店面積の7割くらいを一般の人はあんまりしょっちゅう縁のない超高級ブランドで締められていることにあるんだろう。何しろ、ドンムアンの時には沢山あったコーヒースタンドやスムーシースタンドが端の端まで行かないとないのだから、喉が渇いても水の1杯飲むのに苦労してしまう有様。

最近の報道では、このキングパワーの入札に問題があったということで、契約を破棄していくつかの免税店会社に振り分けるという話もある。そうなれば、こんな異常な状態も解決されるのかもしれない。

そうそう、このリーズナブルエリア、先日通りかかったら、「タイ伝統工芸の実演」をやっていた。空港ってのはデパートじゃなくて、次のスケジュールへ急いでいる人が大半なのだから、こんなものに立ち止まる人は殆どおらず、「やる場所を間違ってるんじゃないの? そもそも、こんなこと考える前にやることは一杯あるでしょう!!!」と突っ込みどころ満載。

さて、機能面の問題としては、やはり巨大な空港に見えるものの、第1、第2、国内線を全部合わせた統合をした割にはキャパが小さいというということもあげられる。なんだかごみごみしているのだが、そういうときにちょっとむっとするのが、贅沢に取ってある吹き抜けスペース。なにしろこの常夏のタイで3−4階分の吹き抜けをいたるところに配置して、上をガラス張りにしたら、冷房代だけでも相当なものだと思うのだけれど、妙な中庭とか、異常に大きな吹き抜けとかを見ていると、もっとスペースを有効に使うすべもあったんじゃないか…と疑問に思ってしまう。

まあ、建て直すことも出来ないし、できる限りの改善をしていくしかないとはいえ、利便性と機能性の限りを尽くしたシンガポール空港をちょっとは見習って欲しいと思う今日この頃。

というわけで、少々飛行機の搭乗まで時間がある方は、自分の搭乗口に近い右端か左端のエリアを目指し、リーズナブルにリラックス、さらに時間があればその左右両方のエリアにあるスパでマッサージでも受けてリラックスするのがイチオシ。繰り返しになるけれど、搭乗アナウンスはないので、搭乗券に記載されたボーディングタイムには搭乗口へ向かうのをお忘れなく!


画像上段右上:新しく設けられた道案内の看板。昔は、奥に見える妙なモニュメントの右下と左下に、申し訳なさそうにCゲート、Dゲートなどと書かれていて、見過ごしやすかった。
画像上段左上:未だ健在!出国審査を終えて最初に目にする巨大モニュメント。
画像上段右下:そのモニュメントがプリントされたTシャツ。
画像上段左下:値段が高くて、こじゃれたタパスバーみたいなレストラン。
画像下段右上・左上・右中:コーヒーチェーンやタイの土産物店エリア。同じようなエリアが一番右端と左端にある。
画像下段左中:伝統工芸の実演。誰が見るんだ!
画像下段右下:巨大な吹き抜けと、単なる美観のために作られた中庭の図。
画像下段左下:空港内のスパ。


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