■タイ人大フィーバーの歴史大作映画「King Naresuan」 2007.2.20 update

1月中旬、満を持して公開された、歴史超大作「King Naresuan」。私の周りのタイ人もこぞって見に行っている。このKing Naresuwanは、首都バンコクから北へ1時間ちょっといったアユタヤ遺跡の「アユタヤ王朝」時代(1351年〜1767年)のタイをビルマ(現ミャンマー)の支配から取り戻し、アユタヤ王朝繁栄の礎を築いた、タイ人に絶大な人気を誇る歴史上の人物。いまや世界的にも有名な、キックボクシングスタイルのタイの武術「ムエタイ」も、このナレスワン王の特技だったとか。

このナレスワン王を題材にした映画、シリントーン王女の72歳の誕生日を記念して製作されたとか。タイでは、日本で言う60歳の還暦のように、72歳を長寿としてお祝いするならわしがあるのだけど、この映画もそのひとつか。今年はプミポン国王の80歳のお誕生日年というほうが注目されているけど、やはり72歳はおめでたいことらしい。

さてさて、この映画。一瞬、ハリウッド映画かと見紛うほどの迫力あるシーンや当時の時代をイメージできる映像の数々を映す宣伝だけみていても、制作費がタイ映画史上最高の7億バーツ(25億円弱)なのは、まあ、そうだろうなぁ、と思える(その金のかけ方といったら、ちょっと「Last Samurai」を彷彿とさせるかんじ)。3時間の大作ときいていたので、タイ語の映画を英語字幕そんなに長くみたら疲れるだろうなぁと思い、躊躇して、先に見てきた同僚に「どうだった?」と聞くと、「知ってた?あれって三部作なのよ!私知らなくて…。2時間たってもナレスワン王がまだ若いからおかしいなぁと思っていたら、途中で終わっちゃった!」とのこと。

聞けば、第二部は今月中、第三部も今年中には封切られるとか。全部で10時間近く? やはり見るのはちょっと疲れそう。それにしても、マトリックのように三部作の映画ってハリウッドなどでもそんなに珍しいわけじゃないけれど、全三部作の公開が一気に1年のうちに終わっちゃう辺り、のんびりしてそうで意外にせっかち(というか待つのが嫌い)なタイ人っぽい?

第一部は既に3億バーツ(10億円超)の興行収入だそうで、制作費の7億バーツも三作で取り返せるのかな、と思いきや、さらに仰天ニュースが。この興行収入、全額王室に寄付されるらしい…。さらにはこの監督、王族だそうで、なんでも「王室に関係する映画は王族しか撮れない」習慣があるようで…。スタッフは1,000人以上、タイ国軍の全面的協力を得て、セットの設営からエキストラ、戦闘シーン、はたまた主要な俳優さんまで現役の軍人さんがいるとか? 映画完成まで3−4年費やしたそうだし、クーデター起こす陰でこんなことやってたのかとおもうと、ある意味すごいぞ陸軍。しかし、この映画、時期が時期だけに、政変で揺れるタイの愛国心をあおるというか、なんか国策映画という感じがなくもない。

まあ、とにもかくにも、タイ産映画というと変なB級ホラーばっかりなことを考えれば、こういう国を挙げてのフィーバーも悪くないのかな。ちゃんと指定すれば英語の字幕がついたスクリーンも選べるし、3時間は長い!という人にはファーストクラス並みの席で1,800円くらいで見られる「VIPシート」なるものも大きな映画館には備え付けられているし、今年タイに来る方はちょっとトライしてみては?

映画「King Naresuan」の公式ページ

画像右上:公開中の映画の宣伝ポスター。
画像左上:実際に使われたらしい衣装セット。ショッピングモールに飾られている。
画像右下:アユタヤ王朝はチャオプラヤー川を臨む地で14世紀から400年以上栄えた。


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