■“嗚呼、無常…ロイカトーン祭り”レポート 2006.11.21 update

毎年旧暦12月の満月の夜、タイでは「Loi Krathong」(ロイカトーン)祭りがある。ロイ=流す、カトーン=灯篭で、まあ直訳すれば「灯篭流し」なのだけど、日本のそれとタイのロイカトーンはちょっと違う。日本では亡くなった方のために流す灯篭だけれど、タイではお願い事が叶うように祈って流すらしい。

このロイカトーン、インドから伝わったという説、豊作をもたらしてくれた水の神様に感謝を捧げ、川を汚したことへの謝罪のためのものという説、スコータイ時代に王妃が12月の満月のお祝いに王様の船から見えるようにバナナの葉で蓮の花を模った灯篭を浮かべたのがはじまりという説など、諸説あるらしい。

灯篭はバナナの葉を使って、上に色とりどりの花とロウソク、お線香を挿したものだけれど、最近は発泡スチロールを台に使ったものも多い。一般的なのは川だけれど、運河、ひいては池にまで、水のあるところにはこの灯篭を流す。運河はともかく、池じゃあ何だかご利益が薄れそうな気が…?

さて、ロイカトーンの起源はさておき、このお祭り、タイの若者の間では「カップルのためのお祭り」、「カップルで行くお祭り」という風に定着している。日本で言えば、クリスマスイブとか、バレンタインデー並の大騒ぎ。どこどこで流すとカップルが別れるんだとか、今年のロイカトーンは誰といくんだとか、私はロイカトーンも一緒に行く人が居ないわという嘆きだとか、色んな声が聞こえてくる。

タイに住んで丸5年にもなるのに、このロイカトーンに一度も行ったことがないというと、タイ人の友人はみんな押しなべて、「えーーーー、どうして? あなたダンナさんいるじゃない!」、「今年こそ行くべきよ!!! カップルはみんないくのよ」といい、うちの主人に「どうして連れて行ってあげないの?」と噛み付く。もともと朝型人間で夜はめっぽう弱いうえ、人ごみが嫌いなうちの主人が連れて行ってくれないのももっともなのだけれど、周りの友人達の非難に負け、今年11月5日のロイカトーンは一緒に行こう!ということに。

無難に、バンコクを貫いて流れているチャオプラヤー河へ行ってみようということで、高架鉄道BTSの川岸の駅「サパーン・タクシン」駅へ。18時に家を出て、18時半頃到着。駅から川に向かう道すがらは、カトーン売りの屋台でびっしり埋まっている。きっとぼったくりで高い値段で売っているのだと思いきや、競争が激しいせいか、カトーンは小さいもので1つ20バーツくらい(約60円)から。お線香とロウソクに火をつけなくてはいけないので、なるべく川に近いところで購入。

それにしても、川は防護壁の下にあるし、どうやって流したらいいんだろう?と思いながら人ごみを掻き分け川べりに近づいていくと、納得の珍商売発見。「カトーン流し屋」である。柄の長〜いザルをもったおっちゃんが火をともしたカトーンを載せ、丁度2階建ての窓から地面に下ろすくらいの距離をそぉ〜っと運び、川に離すのだ。どうやら、料金を徴収されるわけではなく、脇にある募金箱にチップを気持ちで入れるらしい。

下を見ると、人が沢山いる割りにあんまりカトーンは流れてない。代わりになにやら浮き輪をつけた子供やら大人がバチャバチャ泳いでいる。夜だから見えないけど、昼見るとまっ茶色で臭いあの川で何やってんだろ。。。

とにかく、これでどうやって流せばいいのか分かったので、ロウソクと線香に火を灯したところに、主人が「コインを載せるといいんだってよ」と5バーツをカトーンに入れこむ。よし、準備万端! 流し屋さんに頼みに行くと「オッケー」とのこと。チップ箱に10バーツ投入。

ザルに乗せられ我が家のカトーン号が川に近づいていく。川に放たれた〜! 行け行けカトーン号! 灯篭が左に流れ、視界から消えたのでどこいったかな、と駆け寄った瞬間、われらがカトーン号に、浮き輪をつけた子供がダイビングキャッチ! その間およそ5秒。ぁ……!!!!! 手馴れた手つきで線香とロウソクをむしり、残りを上に待っている仲間に渡している。再利用かよ?!

まー、エコ的観点からは資源の再利用、いいかもしんないけど…なんか「願いをこめて流す」とかいういわれがあるだけに脱力感が漂う。それにしても、カトーン売り屋、流し屋、回収屋の連携プレー、恐れ入りました。「気が済んだ?もうロイカトーンに行ったことないとはいわせないぞ。これまで誘われても行かなかった理由が分かったか」と言いたげに勝ち誇った顔の主人を横に、しょんぼり家路に着いたのだった。

チャオプラヤーではちょっと期待はずれだったロイカトーンだけれど、発祥の地といわれるスコータイや、地方ではなかなかロマンチックらしい。北のほうでは、紙風船みたいなのにロウソクを灯して、空に灯篭を放つロマンチックなロイカトーンもあるようなので、来年の旧暦の満月時期に旅行の予定がある方はチェックしてみては?

画像右上:これがタイ版「灯篭」。ロウソクとお線香を抜いて火をつけて戻す。
画像左上:サパーンタクシン駅から川に向かう途中のカトーン売り屋台。こんなお店が左右にずらーっと並んでいる。
画像右中:屋台の所々に大きなロウソクが置いてある。それを使ってカトーンのロウソクとお線香に火をつける。
画像左中:「流し屋」のおっちゃん。乗っているのは我が家のカトーン号。
画像右下:旅に出た、我が家のカトーン号。
画像左下:旅立ちからわずか5秒、子供にキャッチされたカトーン号。南無

【短信】戦車もみかけなくなり、道に立つ軍人もいなくなり、通常の暮らしに戻った最近のバンコクですが、未だ戒厳令は解除されていません。まだタクシン前首相を帰国させたくないのがその理由らしいですが、日常生活に支障がないとはいえ、早く通常に戻って欲しいものです。(11/9)


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