■台湾・春の鐵路便當(駅弁)フェアー 2007.4.24 update

台湾で「弁当」は中国語で“便當”(ビェンタン)、または“飯包”(ファンパオ)という。駅弁はというと一般的に “鐵路(ティエルー)便當”とか、“月台(ユエタイ)便當”などと呼ばれている。“月台”はプラットフォームという意味である。そう、あれは数年前。東京新宿の某デパートの「駅弁祭り」で台湾の駅弁が特別に販売されるというので張り切ってチラシ片手にデパートへダッシュしたものの、すでに売り切れ。泣く泣く他の駅弁で妥協したことがあった。

そんな悔しい過去の思い出を胸に、台湾へ来てから三大駅弁といわれる「福隆」「奮起湖」弁当を制覇した。しかし一番有名な池上駅の駅弁はまだ未体験。池上は台湾全国にチェーン展開しているお弁当屋『池上飯包』のルーツでもあり、米どころとしても有名である。チェーン店のお弁当もなかなかおいしいが、やっぱり池上駅で本場の池上弁当を食べてみたい!

ところが、この池上というのがとてつもなく遠いのである。台湾中部(西側)に住んでいる私が池上へ行くには、北回りの台北経由でも8時間、南回りの高雄経由でも7時間はかかる。とはいえ最後の大本命はなんとしても制覇しなければ!と東部幹線の列車に乗り込んだ。情報によると東部幹線には駅弁のホーム売りがある駅が多いらしい。

さて、台北から自強號(特急)で約1時間。まもなく「福隆」駅に到着しようとしていた。1年前この駅でホーム売りしていた『郷野飯盒』(50元)の味が未だに忘れられない私は、50元硬貨を片手にスタンバイ。以前は途中下車して購入したのだが、今回はわずかな停車時間の間に買わなければならない。駅が近づくにつれ緊張が高まる。果たして無事に駅弁を買うことができるだろうか? 近くに座っているおばさんたちもスタンバイしている。

と、そこへ車掌さんが乗車券の確認にやってきた。おばさんたちが興奮気味に、車掌さんに「次で駅弁買うのよ〜」と言うと、「今日は売り子がでているかどうか分からないよ」との返事。「え?もしかしたら買えないかも」との不安を抱えつつとりあえずドアの方へ。列車はゆっくりとホームに滑り込んだ。

しかし肝心の売り子さんの姿が見えない。列車が到着するやいなやドアから顔を出してホームを見渡してみたが、やっぱり今日は売り子さんが出ていない。私と同様、他の多くの乗客もドアから顔を出し、みんな一斉にキョロキョロやっていた。間も無く発車のベルが鳴り「あ〜あ」という失望の声とともに、一斉に頭が引っ込んだ。すごすごと席にもどると、絶妙のタイミングで車内販売のお兄ちゃんが「お弁当はいかが〜?」とだるそうにワゴンを押しながらやってきた。

しかし、このお弁当はどこにでもある「台鐵便當」(60元)である。ご飯が隠れるほどの大きな肉がドーンとのり、野菜がほとんどなく、脂ぎったこの弁当はすべてが茶色で決しておいしいとは言えないが、お腹が空いていたのでとりあえずこれを購入。大きすぎる肉にてこずっていると、まもなく温泉で有名な「礁渓」駅に到着・・・おや?駅にはなんと売り子さんの姿が! しかし私のひざの上にはすでに妥協した油ギトギト特大肉弁当が・・・早まった!

立つことさえままならず、またもや悔し涙にくれる私に追い討ちをかけるように前方から駅弁をゲットした学生風のカップルがキャッキャと歓声をあげながら隣の席に戻ってきた。彼らが手にしていたのはまさに“勝者の駅弁”であった。彼らが隣でお弁当のふたを開けるとき、私はあえて弁当の中身をチラ見することを避けた。いや、正確にいえば直視することができなかったのである。とはいえ大本命はやはり「池上」、これだけは逃すわけにはいかない! 途中の瑞穂温泉で一泊し、翌朝、闘志に燃えて池上に向かった。

本数の少ない東部幹線の駅では二度と失敗は許されない。結局、地味に安全策をとって池上駅で途中下車することに。やっぱりここでも売り子は出ていなかったのだ。駅員さんに聞いてみると最近販売権の問題で、ホーム売りがなくなったらしい。しかし前もってお弁当屋さんに注文しておけばホームまで届けてくれるそうだ。

売り子さんのいない池上駅は、がらーんとしていてなんだか寂しい。ホームの向こうには鮮やかな緑の田園風景がどこまでも広がっていた。さすがブランド米「池上米」の産地だけはある。

さっそく駅のまわりを散策してみるが米屋と弁当屋以外は何も無い。駅前に大きく店を構えた「全美行」という店がどうも本家らしいので、そこで念願の『池上鐵路月台便當』(70元)を購入。ホームには椅子がなかったので待合室の椅子に座って食べることに。期待に胸をふくらませながらふたを開けてみると・・・11種類もの色とりどりの具がご飯を覆いつくしている! 美しい!・・・そして、もちろん台湾駅弁の王様にふさわしい味だったことは言うまでもない。

* NT$(台湾ドル)1元=約3.60円(2007年4月現在)


画像1段目右:阿里山森林鉄道(登山鉄道)の奮起湖駅の様子。-2007年3月に撮影-
画像1段目左:奮起湖名物、奮起湖大飯店の『奮起湖便當』(100元)は、レトロなアルミの弁当箱に入っている。容器は回収。-2007年3月撮影-
画像2段目右:福隆駅にて。ホームの弁当売り。-2006年5月撮影-
画像2段目左:福隆駅にて。『郷野飯盒』(50元)は忘れられない味。-2006年5月撮影-
画像3段目右:肉がデカイ!「台鐵便當」(60元)。私にとっての“負け犬弁当”である。肉好きには食べごたえのある一品。列車の中や駅の売店ならどこでも買える。
画像4段目上:池上駅の様子。ホームの向こうには青々とした田園風景が広がる。
画像4段目下左:『池上鐵路月台便當』(70元)のふた。ちょっとポップな感じ。
画像4段目下右:駅弁の美!『池上鐵路月台便當』(70元)は味も大満足!!


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