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10月7日(土) 快晴
日もとっぷり暮れてから到着した天祥。夜が明けると、周囲は山、山、山、ぐるりと高い山に囲まれた場所であることが判明。中秋節だった昨晩はきれいな満月だったらしいがここでは全く月が見えなかったのも納得、山が高すぎるのだ。登り始めた太陽も山にさえぎられてすぐには顔を出さず、カーテンのような光だけが山と山の間から差し込み、それが淡い白いもやのように辺りに広がって美しい山の朝を演出していた。
バイク天国台湾の排気ガスで汚れきった町の空気を忘れさせてくれるような新鮮な空気は、何度も深呼吸をしたくなるほど。昨日は10時間近くもバスに揺られ山道をくねくね走ってきたので、まだ体が揺れているような気がする。しかし今日は太魯閣(タロコ)国家公園の一番の見どころ太魯閣渓谷を見るためにまた花蓮客運バスのお世話にならなければならない。
8時45分、天祥発花蓮行きのバスを待つ。太魯閣渓谷を見に行くといっても、この花蓮客運の路線バスは渓谷の中を通るバスなのでわざわざタクシーをチャーターしなくてもOK。天祥から長春祠という名所近くのバス停まででもわずか50元という安さだ。
バスはいつものように遅れてやってきたが、走り出すとあっという間に渓谷に入り、風景は一変した。このミニ島国・台湾には似つかわしくない壮大なスケールの大渓谷は大理石でできている。高い山が長い年月をかけて侵食された結果できた深い谷底には川が流れ、水が溜まっているところには自然の大理石風呂ができていた。
実は天祥の近くには有名な「文山温泉」という有名な温泉地があり谷底から湧く天然の大理石露天風呂なのだが、残念ながら落石のため今は進入禁止になっている。地元の原住民の人は「内緒で入ればだいじょうぶ!」といっていたが、大理石の落石は重くて痛そうなので断念した。
路線バスはひたすら切り立った断崖の縁に作られた道路を行くのだが、谷底に近いところなのでそれほど高くはない。しかし谷底から写真をとろうと思ったら普通のカメラでは空まで入らないので、ただの壁写真になってしまう。グレー一色の大理石の渓谷に、台湾名物派手な大型観光バスが映える。その大型バスが前方に列をなしていると思ったら、出発して30分もたたないうちに大渋滞になった。原因は案の定前の観光バスが大きすぎて、九曲洞というくねくねとカーブが連続しているトンネルで曲がりきれずに立ち往生しているのだ。こんなにカーブが続く狭いトンネルがあるのに、国家公園の入り口で大型バスの規制を行わないこと自体おかしいのだが、台湾人はあまり気にならないらしい。
カーブの連続にすぐ前のバスのみならず前方の数台のバスも大苦戦。そこでさっそうとバスを降り、すぐに慣れた様子で誘導を始めたのはわれらのヒーロー花蓮客運バスの運転手である。路線バスだけあってこの道は熟知しているのだ。トンネル付近で待つこと1時間。ようやく動き始めたと思ったらまた次の見どころで立ち往生。また観光バスが曲がれないのかと思いきや、今度は一般の車が何台も勝手に路上駐車してそのまま車を離れ、散歩か写真を撮りにでも行ってしまったらしい。それも路肩ではなく車道にそのまま車を放置しているものだから、後続車は立ち往生。あきれてものも言えない。これも台湾人は気にしないらしい。
ようやくバイクでやってきた警察が交通整理を始め、一車線になってしまった道を両方向からの車を交代で通過させるようにしたと思ったら、今度はしびれを切らした観光バスの乗客が次々とバスを下りてあちこち散歩し始めたからますます大混乱。全く勝手なもんである。違法駐車や車輌規制が全くないこの国家公園はまさに無法地帯。普段の街中でも路上駐車が当たり前の台湾では、国家公園だろうがおかまいなし。道路交通法が厳しくなって、路上駐車の車が一掃された日本とは対照的な光景がここにあった。これではすばらしい風景も台無しである。2日目は、この花蓮客運バスで長春祠まで行き、途中遊歩道などを散策してまた天祥まで戻ったのである。
10月8日(日)晴れときどき曇り
昨日と同じく8時45分、天祥発のバスで今日は花蓮駅へ向かった。やはり今日も途中渋滞はあったが昨日ほどではなかった。ようやく渓谷を抜け出すといきなり海が見えてきた。高い山が海岸ぎりぎりまで迫っている風景は台湾東海岸の特色でもある。時刻表では天祥〜花蓮間は1時間50分ぐらいとあるが、結局3時間近くかかってようやく駅に到着した。
いよいよ東部を花蓮〜台東まで縦断するのだが、これにはいくつかの方法がある。一つは山線の電車またはバスで山側をいくか、海線のバスで海岸線を下っていくかのいずれかである。ずっと山の中にいた私達はちょっと大理石にも食傷ぎみだったので迷わず海線を選択。そり立つ壁のような渓谷から一転、きれいなエメラルドグリーンの海を横目にゆっくりと南下していった。あまりマリンスポーツが盛んではない台湾では、こんなにきれいな海なのに全然人気がない。ちょっとさびしいビーチが続く。
途中「三仙台」という海岸から小島まで橋がかかっている観光名所で途中下車して、眼下に海を見下ろした。ゼリーのような太平洋の海はさまざまな色に変化してどこまでも続いていた。ああこの先には日本があるんだなあと思った。
夕方6時半ごろ台東に到着。所要時間は約6時間、その間ずっと視界の中には海があった。長い長いバスの旅はここで終わりのはずだが、実はこの翌日、私達はさらに台東から船で緑島という離島へ渡ったのである。(おわり)
□かかった費用(まめな友人のお小遣い帳から引用)
(1)台中〜大禹嶺(実際は梨山までの料金)300元(埔里〜190元)(豊原客運)
(2)大禹嶺〜天祥 164元(花蓮客運)
(3)天祥〜花蓮 135元 渓谷内(天祥〜長春祠 50元)(花蓮客運)
(4)花蓮〜成功 333元(鼎東客運)
(5)成功〜台東 159元(鼎東客運)
※NT$(台湾ドル)1元=約3.57円(2006年12月現在)
□お薦め情報源「台湾特捜合同掲示板」
台湾をバスで巡ってみたい人は必見! 台湾に関する情報交換の場なので、バス以外にもマニアックな情報が満載です。
画像右上:台湾全図。花蓮と台東を結ぶ黄色い線が海線バスルート。
画像左上:天祥の朝。周りは全部山です。
画像右上中:太魯閣渓谷の道。前を行くのは台湾名物ハデハデ観光バス。
画像左上中:空は全くみえません。すべて大理石の壁。
画像右下中:大型観光バスにとっての最大の難所。狭いトンネル。
画像左下中:海線バスからの風景。エメラルドグリーンの海が広がる。
画像右下:東部海岸の名所「三仙台」。太鼓橋をいくつもつなげたような橋。
画像左下:「三仙台」の橋の上からみた太平洋の海。
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