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パン屋の朝は早い、というのは日本だけの常識なのだろうか? 朝食に焼きたてのパンをと早朝町中を走り回っても、開いているパン屋はどこにもない(むろん外国人が多く住む大都会・台北は例外だが)。ちょっとイマ風のおしゃれなパン屋でさえ午前10時過ぎにのぞいてみても棚はガラガラ。「何?ケーキの予約?え、パン?ないわよ、午後からね」というやる気のなさ。たいてい台湾のパン屋に焼きたてのパンが並び始めるのは午後3時過ぎ、ほとんど夕方だ。そして夜型の台湾人の生活にあわせてか、かなり遅い時間まで営業している。台湾名物の夜市にパン屋の屋台が出ていても、台湾人にとっては何の違和感もない。夜にパンを買い、夜食か翌朝の朝食にするというのがこちらの人のスタイルだからだ。今回は「台湾パン事情」について調査してみることにする。
日本のパンのレベルの高さといえば欧米人も絶賛するほどで、とにかく美味しい! いやあれはほんとうに美味しかった・・・といつも台湾のパンをかじりながら目頭を熱くする。なぜかといえば、台湾のパンはなぜかすべてが甘いのだ。食パンやサンドイッチまでが甘く、口にした途端せつなくなる。しかし同時に子供の頃食べた菓子パンっぽいチープな感じもあって憎めない。懐かしい味といえば、日本には定番のパンというのがある。例えばあんパン、メロンパン、クリームパンといった類のものだ。それなら台湾の定番パンにはどんなものがあるのだろうか? 早速、「定番パン」を求めて夜のパン屋巡りに出発!
“麺包”(ミェンパオ)とは中国語でパンのこと。よって“麺包店”はパン屋ということになる。一口にパン屋といっても日本と同様、“昔ながらの町のパン屋”と“イマ風のこじゃれたパン屋”が存在する。両者の違いは一目瞭然。ズバリ扉があるかないかである。“イマ風”パン屋は店の入り口が奥まったところにあり、扉を開けると店内には冷房がきいており、値段が異常に高い。一方、“昔ながら”のパン屋はオープンエアで、外の気温と照明の熱でパンが溶けそうになっている。そして値段が異常に安い。
まずは台湾人が子供の頃から食べているという定番パンを求めて “昔ながらのパン屋”へ行ってみた。ずらりとパンを並べた長テーブルは道路にまでのびていて、まるで屋台。パンの上にはハエよけのビニールひもがブンブン回っている。早速店のおにいちゃんに「定番パン」をセレクトしてもらうことに。定番中の定番は“菠蘿”(ポーロー)、つまりパイナップル・パン! といってもパイナップルが入っているわけではなく、なんてことない日本のメロンパンの台湾版である。日本人は網目をマスクメロンに見立て、台湾人はパイナップルに見立てたというわけ。これが堂々の第一位。その他、台湾版クリームパン“女乃(女へんに乃)油”(ナイヨウ)や細長いガーリックトースト “蒜頭”(スワントウ)、ラグビーボール型の“炸弾”(ザーダン、爆弾という意味)などが続く。かわいい顔パンはこちらでは“銅鑼焼”(ドラやき)と呼ばれている。
驚くべきはその値段! なんと全部10元。長年台湾人に親しまれている理由はやはりこの安さだろう。ただし台湾らしいド派手なカラフル食パン“三色吐司”(三色トースト)は一斤(14枚切り)22元。この食パンでサンドイッチを作ったらかなり怖い。そして予想通り、この定番パンは(ガーリックトーストでさえも)すべて甘かった!
さて、懐かしい味の次は「新しい味」! イマ風のパン屋で新作パンを聞いてみると・・、あった! 真っ黒いシュークリーム! この謎の「黒シュー」の正体はなんと竹炭。日本同様台湾でも竹炭グッズや竹炭食品は大流行。シューに竹炭とはなんとも大胆! ちなみに1個15元、ごまクリーム入り。皮はかなりパリパリでこげパンを食べてる気分。もちろん足元には焦げのような黒いくずが散乱・・・ある意味ブラックな味わい。
最後に、この夜のパン屋巡りでおもしろい物を発見したのでついでに紹介させていただこう。台湾のパン屋に併設されているケーキ売り場では、普通のケーキ以外に注文ケーキも受け付けている。そのサンプルが笑えるものばかり。全く似ていないドラえもんやピカチュウといったキャラクター物から、女の子のためのバービー・ケーキ、オジサン向けのお尻ケーキ、ギャンブル好きの人のための麻雀ケーキなど傑作ぞろい。是非一度オーダーしてみたいものだ。
※NT$(台湾ドル)1元=約3.56円(2006年9月現在)
-文中の画像-
画像右上:見た目も楽しい台湾の定番パンシリーズ。すべて10元(食パンを除く)。左上の網目があるパン二つは“菠蘿”(ポーロー)」、パイナップル・パン。左下の渦巻き模様は台湾版クリームパン“女乃(女へんに乃)油”(ナイヨウ)。中央上は、爆弾パン“炸弾”(ザーダン)、乾燥肉(肉デンブ)が入っている。中央のかわいい顔パンは、なぜか “銅鑼焼”(ドラやき)と呼ばれている。一番下は、細長くてほんのり甘いガーリックトースト “蒜頭”(スワントウ)。右は、これぞまさに台湾! ド派手な“三色吐司”(三色トースト)。
画像左上:ブラックな味わい。イマ風のパン屋で売られている、新作「竹炭シュー」(1個15元)。
画像右下:“昔ながらのパン屋”にて。暗い道路にまではみ出すパンを並べたテーブル。
画像左下:“昔ながらのパン屋”にて。傑作ぞろいのオーダーメイド用ケーキ。
□オーダーメイド用ケーキ三種
 
画像右:これでギャンブル運もアップ!? サイコロや、「中」「一萬」「東」「發」などの牌が並ぶ麻雀ケーキ。
画像中:本物のバービーがささっています。バービー・ケーキ。
画像左:上司の誕生日にギャグで注文したい!? お尻ケーキ。
【短信】8月中旬に台北で行われた「大相撲台湾場所」は、のべ2万人を動員し大盛況となった。朝青龍関のインタビューには台湾のマスコミが殺到した。あまりの暑さと熱気にしきりに汗を拭いている力士達の姿が印象的だった。NHKが気軽に見られる台湾では、根っからの大相撲ファンも少なくない。一方で、70年ぶりの“台湾場所”を特別な思いで見る日本時代のお年寄りも多かったのではないだろうか。(9/5)
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