■阿里山で御来光を見よう! 2006.2.20 update

台湾は旧正月のため、12月末〜1月初旬の日本で言う年末年始はなく、全く普段どおりの生活である。しかし最近は外国の影響で、31日の夜に各地で「跨年晩会」(カウントダウン・パーティー)が開かれるようになり、花火をあげたり、コンサートを開いたりとずいぶん賑やかになってきている。

その他、台北の101ビル(現時点で世界一の高さを誇る101階建てのビル)から初日の出を見るイベントなども開かれ、なかなか盛り上がったようだ。ビルから見る日の出もよいが、台湾の御来光見物なら、なんといっても阿里山(アーリーシャン)が一番! 台湾の有名な観光地のひとつだが、今回はその阿里山への旅を駆け足で紹介する。

阿里山へ行くには、まず台湾の西側を南北に走る西部幹線の嘉義(ジャーイー)駅からスタート。台北からなら自強號(特急列車)で約3時間半の台湾中南部に位置する嘉義には北回帰線が走っている、つまりここから熱帯になるのでかなり暑い。さて、阿里山へ行く前に腹ごしらえ!と思ったら嘉義名物の「火鶏肉飯」(30元)を食べるべし。七面鳥の肉(おそらく蒸したもの)を細かく裂いて白いご飯の上にのせたミニどんぶり。甘辛だがサッパリしたタレが日本人好みの味。

一方、同じく嘉義名物の「方塊酥」というクラッカーは、旅のお供にもってこい。何しろ嘉義駅から阿里山駅までは3時間半の長い道のりなのだ。観光列車として有名な片道399元の“阿里山森林鉄道”は、なんと一日に2本しかない(土日は臨時列車あり)ので、“無座”(座席)なしでもかまわず乗り込もう。

この登山鉄道は、かつて日本統治時代に伐採した木材を運搬するために設計、建設されたものでなんとなく懐かしさが漂う。この赤くて小柄な車両は日本製で、平地の嘉義駅から海抜2,000メートルを越える終点まで、ぐるぐるまわったり、スイッチバックで前後したりしながら、ぐんぐんと山を登る。“森林鉄道”の名前の通り森の中を走りぬける鉄道なのだが、熱帯の嘉義から亜熱帯、温帯へと登って行く間に車窓の風景もどんどん変化していくのでおもしろい。

最初はパイナップルやサトウキビの畑、ヤシ、ビンロウ、バナナの木などまさに南国だが、半分を過ぎると、気温も下がり杉などの針葉樹が多くなり、日本の森の風景になる。列車の中には日本の演歌の他、リチャード・クレイダーマンなどよくわからない選曲の音楽が流れているため、「世界の車窓から」気分にはイマイチ。

さて途中の奮起湖(フェンチーフー)駅では、短い停車時間の間に名物の「鉄路便當」つまり駅弁を買うべし。ご飯の上に具がぎっしりのこの駅弁は80元、揺れる登山鉄道の中で食べると雰囲気倍増。もし途中下車するなら阿里山の特産品、こんにゃく芋に似た天然の愛玉から作られた「愛玉ゼリー」(35元)を出してくれる店がある。レモン風味でさわやかなこのゼリーは乾いた喉を癒してくれる。また奮起湖飯店ではオリジナルの丸いアルミの弁当箱入りの駅弁も販売している。終点の阿里山駅に着くころにはお腹も満足しているので、急激に下がる気温にも耐えられるかも?

終点・阿里山駅付近にはホテルや民宿がいっぱい。台湾人が大好きなお土産屋もたくさんあり、特産品のわさびや阿里山茶の他、マフラーやカイロまで購入可能。また森林散策コースもあり、アニメ映画「もののけ姫」のような森の中で森林浴も楽しめる。秋から冬にかけては雲海にゆっくりと沈む夕日を見ることもできる。あったかい火鍋などを食べて、翌朝は祝山線の列車に乗り祝山から日の出を見るので、早起きに備えて夜は早めに就寝。ホテルのフロントで翌朝の日の出の時刻と始発の電車の時刻をチェック。

さて、旅はいよいよクライマックス。まだ暗いうちにホテルを出て大勢の観光客の後についてぞろぞろと阿里山駅または沼平駅(いずれも宿泊施設に近い)へと向かう。暗い森の中を祝山(ジューシャン)へ向かって登るこの列車の中は20分間といえども東京のラッシュなみの大混雑。祝山駅に着いたら、さらに上の観日楼へ向けてダッシュ!

祝山の上には、まさに御来光見物のために作られた広場があり、前方には台湾の最高峰、かつて富士山より高いため新高山(にいたかやま)と呼ばれていた「玉山」(ユーシャン)を主峰とする中央山脈の山々のシルエットが180度の大パノラマで出現する。アリーナ席を陣取ったら、サングラスとカメラを準備しつつ、じっと日の出を待つ。その間、地元のガイドさんがなまりたっぷりの中国語と台湾語でいろいろと説明してくれる。

山の稜線からわずかに光がのぞくと、みんなが歓声をあげる。光線はあっというまに周囲に広がり、山々を明るく照らし出し幻想的な風景が広がって行く。遠くの山々は青みがかって、まるで水墨画のよう。さらに運がよければ雲海を見ることもできる。この感動の御来光見物は実は天気によって見られないことも多く、私は今のところ1勝2敗。それでもまた行きたくなる阿里山。特に日本人にとっては懐かしさを感じさせる観光地かもしれない。

*NT$(台湾ドル)1元=約3.57円(2006年2月現在)

-文中の画像-
画像右上:赤くて小柄な森林鉄道の列車。車両は日本製。
画像左上:雲海に沈む夕日。
画像右中:早朝の祝山駅の様子。大混雑です。
画像左下:天候に左右され、なかなかみられない御来光。
画像右下:山々の夜明け。まるで一幅の水墨画のよう。

-文中で紹介した食べ物-

画像左:嘉義名物の「火鶏肉飯」。火鶏とは七面鳥のこと。甘辛だがサッパリしたタレで、日本でも売れそうな味。
画像中:具がたっぷり、奮起湖の鉄路便當(駅弁)。揺れる登山鉄道の中で食べると雰囲気倍増。
画像右:天然素材の愛玉ゼリー。さわやかなレモン風味が、乾いた喉を癒してくれる。

【短信】NHKワールドでは日本の大晦日にリアルタイムで「紅白歌合戦」を見ることもできるが、こちらは旧正月なのでいまいち盛り上がらない。しかし、台湾のテレビ局では旧正月にあわせて全字幕つきでこの「紅白歌合戦」を数回再放送してくれるので、早朝紅白、午後紅白といろいろな時間帯で紅白を楽しむことができる。(2/8)


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