■暖房代わりに「火鍋」はいかが? 2006.1.16 update

冬の台湾には暖房がない。観光客が多く比較的寒い台北を除いて、一般的に建物の中に暖房設備がないので日本よりやたら寒く感じる。台湾の人が家の中でもダウンなどを着ているのもそのせいだ。住宅も当然南国仕様なのでクーラーしかなく、風通しがいいのかすきま風が吹き込み、床はタイルやコンクリートなので常につま先立ち?というけっこう厳しい環境。小型ヒーターは電気代がかかるので、寒い夜はただひたすら布団にくるまって寝るしかない。そのくせ「空気が悪い」といっては窓を開けたがる台湾人の気が知れない。

さて暖房のない台湾の寒さ対策といえば、やっぱり食! 「火鍋」(フォーグォー)、いわゆる鍋料理を食べることだ。意外と過ごしにくい南国の冬はこれが唯一の楽しみといってもよい。数ある鍋料理の中で、冬の火鍋の王様といえば「薑母鴨」(ジャンムーヤー)。直訳すると「生姜ダック鍋」! 値段は300元から。

なぜこの鍋が王様かというと、この鍋が“帝王食補”と言われているからだ。中国では古くから皇帝の“食補”として知られている料理らしい。“食補”とは医食同源の考え方から“体に欠けている部分を補う食事”という意味。冬特有の冷えや乾燥などの症状を和らげる効果があるという。

また、この「薑母鴨」の店の前には必ず特定の看板がある。冬になると台湾のあちこちで見かけるこの赤面ダックマークのこの看板は、いまやすっかり台湾の冬の風物詩。ロゴも含めて登録商標になっているため台湾じゅうどこにでもあるのだが、チェーン店というわけではない。つまり同じ看板でもおいしいお店とそうでない店があるので注意しなければならない。もちろん店の込み具合を見れば一目瞭然というわけで、さっそく近所の“行列のできる”「薑母鴨」の店に行ってみた。

早々にスープが入った鍋が運ばれてきた。生姜とダックのぶつ切りをごま油で炒めたところに米酒が加えられている。続いて注文した具が運ばれてきた。てんこもりのキャベツ、えのき茸、豆腐、米血(豚の血をもち米で固めたもの)などをどんどん鍋の中に入れていく。また白いご飯ではなく、麺線(そうめんのような細い麺)を一緒に食べるのが普通らしい。生姜とお酒の効果で体もぽかぽか。薄味なので「豆腐乳」(発酵した豆腐)をつけて食べる。これで店が暖かければなおいいのだが、台湾のこういった店はだいたい扉がなく半分外で食べているような感じ、背中が寒いのでやっぱり上着は脱げません。

さて満腹になったところで店の中をあらためて見回してみると、中も満席だが、行列しているのはどうも「お持ち帰りコーナー」らしい。スープと具がセットになったお持ち帰りセットは、自宅で鍋をするのにとっても便利なんだとか。隣のテーブルで店のおばさんが米血を豪快にザクザク切って仕込みをしているところなどはいかにも台湾らしいおおらかさ。

それともう一つ台湾の冬の鍋の定番といえば「羊肉爐」(ヤンロウルー)。その名のとおりヤギ肉鍋。値段は300元からで、ヤギ肉には体を温める効果がある。濃い目のスープにヤギ肉のかたまりがゴロゴロ、キャベツ、とうもろこし、大根、などを入れて食べる、臭みもなく日本人好みの味。骨付き、皮付きのヤギ肉はコラーゲンもたっぷり。これまた冬の乾燥を防ぐ効果がある。またこれを食べると夜よく眠れるという人もいる。

台湾の鍋料理はこれだけではない。四川料理の「麻辣火鍋」(マーラーフォーグォー)(マーラー鍋)も人気のメニューだ。値段は400元からと少々高めだが、大勢でわいわいやるにはもってこいの鍋だ。特に鍋が二つに分かれている鴛鴦(おしどり)鍋は “酸白菜”という酸味のある白菜スープと、赤くて辛い“麻辣”という羊血(ヤギの血を固めたもの)入りスープの組み合わせになっており、飽きない味。紅白の鍋は見た目もおいしい。味は「大辣」「小辣」など辛さの指定もできるので辛いのが苦手な人も安心だ。

その他番外編として、1年中食べられる火鍋が「一人鍋」。なんとこれがカフェのメニューなのだ。台湾のカフェに入ったら是非この鍋を注文すべし。値段は200元からで、量もたっぷりでお腹も満足。食後のコーヒーも忘れずに。

最後にアイディア賞をあげたいのが「火車情火鍋」。これはなんと回転寿司の火鍋版! 回転ベルトの上を模型機関車(火車)が走り、続いて小皿に乗った鍋の具(野菜や練り物、麺)などが流れてくるのが笑える。基本の鍋(170元から)を選んだら、客は好きな具の皿を取り放題。手元の鍋で“しゃぶしゃぶ”するという楽しい鍋(肉と海鮮は別料金)。しかも特急列車なので素早く取る必要アリ(笑)。これは鉄道ファンも要チェック!? ただし車両には触れないでください(請勿触摸)。

  *NT$(台湾ドル)1元=約3.53円(2005年12月末現在)

-文中の画像-
画像右上:赤面ダックの「薑母鴨」の看板。登録商標です。
画像左上:“帝王食補” 「薑母鴨」。豪快に食べよう!
画像右中:安くておいしい「羊肉鍋」。
画像左下:辛さでぽかぽか「麻辣火鍋」。画像は二色の鴛鴦(おしどり)鍋。
画像右下:台湾カフェの定番「一人鍋」。右側にあるのは巨大な揚げ湯葉です。

画像左:「薑母鴨」の店内では、隣のテーブルで仕込み中。奥の行列はお持ち帰りのお客様。
画像中:「火車情火鍋」具が来た〜。
画像右:「火車情火鍋」特急なので素早く取って!

【短信】12月上旬、日本に大雪を降らせた寒気団は、沖縄の南にある台湾にも少なからず影響を及ぼし、今年最初の寒波が押し寄せ、一気に冬がやって来た。昨日までTシャツだったのが、今日はもうセーターを着て、夜は厚い布団にくるまって寝るという変わりよう。あまりにも急な冬の到来に、今年もまた秋服の出番はナシ。(12/28)


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