■台湾は選挙が熱い! 2005.12.19 update

ババババババンッ!、このところ毎日、地響きがするような爆竹の音で目が覚める。

普段でもほぼ毎日どこかで爆竹の音が聞こえる台湾だが、ここ1〜2ヶ月はいつもの10倍ぐらいの爆音があちこちで鳴り響いている。香港映画もびっくりの火薬の量だ。それもそのはず、4年に一度の地方選挙が近いのだ。邪気をはらうといわれる爆竹は、お正月や、開店、結婚式などの時によく鳴らされるが、候補者を乗せた選挙宣伝用の車が走る時にも、必ず爆竹を鳴らすのがこちらの習慣のようだ。町のあちこちで爆音が鳴り響き、煙が上がっているのもそのせいだ。

この爆竹に代表されるように、台湾の選挙はとにかくにぎやかでおもしろい。今回の選挙では、台湾の23の縣市(台北市・高雄市を除く)の縣長(県知事)、市長、鎮長・郷長(日本での町長、村長に該当すると思われる)、県議会議員、市議会議員が新たに選出されることになっている。候補者の広報活動は投票日の1ヶ月前からと決まっているらしいのだが、それは建前で、実際にはもう2ヶ月ぐらい前から選挙運動は始まっている。今回は特に与党・民進党と野党・国民党の熾烈な選挙区争いが予想され、国民の関心も高かったせいかいつもより激しい選挙となったようだ。

まず候補者はかなり早い時期から選挙用のポスターならぬ幟(のぼり)等を選挙区内に設置し始める。日本では規定の場所にすべての候補者が同じ大きさ同じ枚数のポスターを貼るものだが、台湾の場合はとにかく自由! 建物の壁一面に巨大な候補者の写真を見た時には驚いた。台湾ではポスターもあるが幟の方が一般的で、電柱、壁、柵、歩道橋、橋の欄干、ロータリー、中央分離帯、街路樹、ビンロウの木どこに貼っても、立てても、結んでも、なんでもOK! 大きさも形も自由だ。巨大なものから、細長いもの、ポスターサイズ、背景や子供の写真入り、文字のみでもOK! しかしこれは同時にお金をかければそれだけ大きく、多量に作れるわけで、幟を見れば候補者の資金力が一目瞭然というわけだ。

さらにユニークなのは選挙宣伝用のグッズだ。候補者たちは「拉票」(ラーピャオ=票集め)のために、せっせと選挙区内の公民館や会社や学校などをまわって、これらのグッズを配りまくる。うれしいことに実用的なものが多く、メモ帳、卓上メモ、ミニカレンダー、ボールペン、ふた付きプラスチックコップ、キャップ、ティッシュ、風船は子供も大喜びだ・・・・これらは一つ30元以内に決められていて、それぞれ工夫をこらしてバラエティ豊かなグッズを作っている。なぜか選挙権のない私もたくさんもらってしまった。

投票日が近づくと、候補者の写真付きのトラックが町を走るようになる。「拜託(バイトー)、拜託(バイトー)」(日本語で「よろしくお願いします」の意味)を連発しながら、これらのトラックは候補者の声を録音したテープを音楽入りで流している。その音楽も演歌から童謡、ロックまでさまざまだ。同時に候補者を乗せた車も走り始めると、町は一気に騒がしくなる。なぜなら候補者を乗せた車は一台ばかりではない、候補者のポスターを貼ったり、幟をつけた車、楽隊を乗せた車が延々と20台近くも続き、バンバン爆竹を鳴らし、プープーとラッパを吹き、ドンドンと太鼓を打ち鳴らし、ピューンピューンとロケット花火を上げ候補者は「拜託、拜託」を連呼する。これを「拜票」(バイピャオ=票をお願いする)という。まるでお祭りのようなにぎやかさだ。

しかも、日本なら夕方までと決まっている車による選挙運動も、台湾では朝の8時から夜の10時までだからたまらない。気の早い候補者は7時ぐらいからバンバンやるから、目覚まし時計なんていらない。とにかくこのバンバン、プープー、ドンドン、ピューンピューンとバイトーバイトーのせいで落ち着かない毎日を過ごすはめに。

さてこの騒ぎも投票日前夜にはピークに達する。夕方から各候補者のパレードが始まるのだ。それまで町中にあった幟が一瞬にして消えたかと思うと、候補者を乗せた車に続き、楽隊、そして候補者を支持する大勢の人たちが幟や風船をもって町を「当選!当選!」と叫びながら行進し、住民は外に出て手を振り、子供たちも風船をもらって大喜び。「当選!当選!」といって飛び跳ねている。町全体が熱を帯び、興奮状態といった様子だ。

やがて投票日を迎えた今日、町はようやくいつもの静けさを取り戻した。ところで、地元の人にあの大量の幟の最終的な使い道を聞いてみたところ、田んぼに立てて案山子にするのだそう(笑)。意外と地球にやさしい(?)台湾の選挙だった。 

*NT$(台湾ドル)1元=約3.57円(2005年12月現在)

-文中の画像-
画像右上:巨大な候補者のポスター(南投縣)
画像左上:幟は重ねてもOK?(南投縣)
画像右下:ビンロウの木に結んでもOK?(南投縣)
画像左下:名前が気に入って採用!「林美男」さん、残念ながらタレント候補ではなかったようです(雲林縣)
画像左下:選挙宣伝用のグッズの数々。実用的なものが多い(南投縣)

画像左:候補者の写真入りの車(台南市)
画像中:大きな太鼓を乗せたトラック(南投縣)
画像右:たくさん幟をつけたトラック(南投縣)

【短信】今回の統一地方選挙の結果(12/3投開票)、野党・国民党が大きく票を伸ばし過半数を獲得した。また今回の選挙では、敵対する候補者の収賄を暴露するCD、誹謗中傷するビラなどがずいぶん出回った。台湾ではまだまだ「買票」(票をお金で買う)悪習が残っていると批判する人も多い。


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