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台湾には厳密に言えば三つの市場が存在する。早朝から昼までの「早市」と、夕方から夜までの「黄昏市場」、そして、「超市(超級市場)」いわゆるスーパー・マーケットだ(superを超級というあたり、中国語の翻訳センスにはいつもながら脱帽)。
早ければ早朝5時から開く「早市」は固定した場所を持たず、毎朝、ある程度決まった通りの両側にたくさんの業者や農家が集まって、思い思いに店を広げている形態のものが多い。ほとんどが露天のため、雨が降ったりすると店もお客も少なくなる。売られている物は野菜が大部分だが、洋服やカバンや日用品などの店も出るのが特徴だ。
ピーク時にはバイクや自転車で集まった買い物客が入り乱れ、さらにそこを無理やり車が走り抜けるので毎日混乱状態だ。客層はというと専業主婦はもちろんだが、お年寄りがとても多い。お昼近くなると値下げが始まり、商品を売り切るやいなや業者はさっさと荷物をまとめて引き上げてしまうため、周辺の店もそれに合わせて店じまい。午後には人影もなく、すっかり寂しい通りになってしまう。
それに対し「黄昏市場」は東京の築地のように看板を掲げ、きちんと独自のスペースを持っており、場所によっては駐車場も完備されている。市場の裏には事務所があり、市場に出店するテナントを管理している。“黄昏”の名前で分かるように業者は早ければ2〜3時ぐらいから準備を始め、だいたい4時前後から入り始めるお客を待つ。
「早市」と明らかに違う点はその客層。主婦も利用するが、客の多くはズバリ働くお母さんたちだ。台湾では日本よりもるかに共働きの家庭が多い。そんな忙しいお母さんたちが買う物といえば"お惣菜"。なんと市場の売り場スペースの8割がお惣菜や、火を通せばすぐ食べられる半加工品で、残りの2割はスタンダードはな野菜、果物、肉、魚といった具合。この"お惣菜市場"は、まさに働くお母さん達の強い味方だ。
早速その中を巡ってみると、ここは屋台街かと思うほどなんともいえないいい匂い! 最初にのぞいたお店には、何種類もの色とりどりの炒め物や和え物が紙皿に盛られてきれいに並んでいる。その隣にはおいしそうな鰻の蒲焼やレモン付きの焼き秋刀魚などがあり、これを買って帰ればそのまま食卓に並べられるし、お皿を汚す必要もないので非常に便利。
次はとり肉のお店。ニワトリやガチョウなどが部位ごとに切り分けられおり、お客さんが欲しい部位を自由に選んで買っている。蒸し鳥が食べやすい大きさに切って紙皿に盛りつけてある商品もあるので、これをそのまま買ってもOK。薬味やタレまでついているところはなかなかポイントが高い。
それから圧巻なのが揚げ物のお店。その量といったら半端じゃない。から揚げ、いもフライ、えびフライ、野菜のフライ、フライドポテト、胡麻だんご、米血(豚肉の血ともち米)を揚げたもの、・・それらを豪快に揚げて、まるで大きな魚でもすくうような大きな網で油から一気に引き上げると、バサーッと大きなバットの上に広げる。その瞬間周囲に広がる揚げ物特有の香ばしい匂いが、いやおうなく買い物客の胃袋を刺激する。
そんな重そうな網をバサーッとやっているのはなんと女性の店員さん。ふと市場内を見渡すと、店の店員はほとんどが女性、加えて買い物客も女性ときた。また働く彼女たちはみな元気で、血色もよく、なんだかとっても楽しそう。買い物客の女性もてきぱきと効率よく買い物をしている。黄昏市場はまさに女性の天下だったのだ。
さらに奥へ入っていくと、大きなセイロに入ったカラフルな創作点心を発見。中華風茶碗蒸し、マントウや肉まん等もアツアツを買うことができる。その他、台湾式お寿司やお刺身、パンやお菓子のお店もあるから、明日の朝食も子供のおやつだって調達できる。
また台湾らしい売り場といえば、火鍋(鍋料理)の種コーナー。十数種類の練り物がバイキング方式で取れるようになっているので、これを買って野菜と一緒に鍋に放り込めば鍋料理もあっというまだ。また、餃子をその場で包んでいるお店を発見! 冷凍や作り置きではなく、“包みたて”というのが主婦にとってはうれしい。ちなみに水餃子用は20個入り3パックで100元、焼き餃子用もある。その場で調理してくれるお店もあり、至れり尽くせり。
この黄昏市場のピークは4時半から6時半ぐらいで、たいへんなにぎわいを見せる。店じまいは夏なら8時、冬なら7時ぐらい。ちょっと残業になっても間に合いそうだ。それでも間に合わなかったら、「超市」へGO! 台湾のスーパーはほとんどが24時間営業の年中無休、コンビ二よりも便利かも? これら女性にやさしい市場が、台湾の毎日の食卓を支えている。
*NT$(台湾ドル)1元=約3.47円(2005年11月現在)
-文中の画像-
画像右上:お惣菜の屋台
画像左上:とり肉のお店、好きな部位が選べます
画像右下:揚げ物のお店、豪快に揚げて、豪快に並べる
画像左下:創作点心はいかが?とってもカラフルです。
画像左下:餃子はその場で包みます
 
画像左:色とりどりのお惣菜
画像中:大量のから揚げ
画像右:鍋料理の種バイキング
【短信】今年は大型台風が三度も上陸したために、収穫量が著しく減少した野菜や果物の値段が高騰している。特にひどいのは「長ネギ」。普段なら市場で買い物をするとおまけで1本つけてくれるほど安価だったが、一時は価格が10倍以上にも跳ね上がり、街からネギ料理が消えたほど。現在は少し落ち着き、スーパーで一束40元ぐらい。これでもまだ高いと地元の主婦はなかなか手を出さないでいる。(11/3)
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