■魅惑のフルーツ・茘枝(ライチ)の季節 2005.7.18 update

茘枝(ライチ)の季節がやってきた。この果物にあまり馴染みのない日本人でも、楊貴妃が好んで食した果物だという話は知っているという人は多いだろう。その昔、中国は唐の時代、玄宗皇帝が楊貴妃のために唐の都長安から遠く離れた南方まで馬を走らせ、新鮮なライチを運ぶよう命じたという有名なエピソードからしても、このライチがおいしくないわけがない。さらに、絶世の美女とうたわれる楊貴妃の美の秘訣がこのライチだったと聞けば、これはもう食べるしかない。

そんな魅惑のフルーツ・ライチは原産国である中国南部、ベトナム・ミャンマーの他、ここ台湾においてもかなり広い地域で栽培されており、特に台湾産はおいしいと評判だ。うれしいことに私の住んでいる南投縣がこれまたライチの産地で、実を言うと台湾に来てから一度もライチを買ったことがない。というのも、ライチは専門の果樹園なんかで栽培しているのかと思っていたら、道端にライチの木がずらりと並んでいるばかりでなく、民家の庭にも生えている。ちょうど日本の民家の庭に柿の木があるのと同じ感覚だ。

そんなわけで、毎年この時期になると「自宅でとれたライチです」といって大量にいただくことが多いのだ。そして、今年も冷蔵庫の3分の2がライチで埋まるという状態になっている。それならライチをわざわざ市場で買う人はいないのではないかというと、そうでもない。ライチ農家が作るライチはやはり見た目も味もよく、庭のライチとは全く違う。またライチにはいくつかの品種があり、専門家でなければ作るのが難しい品種もある。これがまたかなりおいしい。というわけで台湾ライチの主要3品種を紹介しよう。

早ければ5月後半ぐらいから市場にポツポツと姿を見せるのが“玉荷包”という品種である。ハート型で大粒のこの品種は、数が少ない時期だけに珍重され、値段はちょっと高め。今年は5月の早い時期に1斤(600g)100元ぐらいの高いものもあったが、一般的に6月中旬を過ぎると値段は30元ぐらいに一気に下がる。味もなかなかよい。

6月に突入すると、道端に並んだライチの木になっていた青い実が赤く色づき始め、ライチの季節の到来を感じさせる。この道端に並んでいるストリート系ライチと民家の庭系ライチは“黒葉”という品種である。これが病気になりにくく、手間もかからないため育てやすいことから、大量に出回ることになる。市場で籠に山盛りになって1斤10〜30元の安値で売られているのがこの品種で、いわゆるフツーの味。お酒などに加工されたり、海外に輸出されるのもこの“黒葉”で、皮は赤くまん丸で種が大きいのが特徴。日本の中華レストランのコース料理のデザートに出てくる冷凍ライチは黒っぽいが、実は鮮やかな赤い色をしているのだ。

毎年、この “黒葉”を大量にいただくのだが、産地ならではのお楽しみがもうひとつ、それは「ライチ狩り」! とかく余剰気味の“黒葉”を夏の太陽の下で「狩り」させてもらうのだが、もぎたての新鮮なライチを味わうことができる。皮にプチッと切れ込みをいれると皮は簡単に剥けて、中からあふれんばかりの果汁とゼリー状の白い半透明の果肉が顔をだす。新鮮なライチにはさわやかな香りがあり、まさに台湾の夏を感じさせる味。・・・楊貴妃にも是非「ライチ狩り」を体験していただきたいものだ。

さて最後に、楊貴妃が気絶するかもしれない注目の品種を紹介したい。その名は“糯米”。台湾3年目の私も相当この味にハマっている。虫がつきやすく、病気になりやすいこの品種は収穫量が圧倒的に少ないので、最盛期でも1斤80元以上はする。皮はとげとげしていて、“黒葉”よりも明るい色をしている。小粒だが種もかなり小さく、甘さと酸味のバランスが絶妙! 私個人の意見ではヨーグルトのような風味がある、すっきり系のライチだ。この“糯米”は当然「狩り」など許されない。地元の人でさえ自宅の庭の“黒葉”に見向きもせず、市場でわざわざこの高いライチを買い求めるのだから・・・。

※NT$(台湾ドル)1元=約3.49円(2005年7月現在)

-文中の画像-
画像右上:ストリート系の鈴なりライチ
画像左上:産地の直売所の様子
画像左下:市場で見かけたまるくてかわいいライチ
画像右下:ライチ狩りにて、収穫したてのライチ

画像左:ハート型で大粒なのが玉荷包。5月後半ぐらいから市場にポツポツと姿を見せる。
画像中:黒葉は、皮は赤くまん丸で種が大きいのが特徴。日本の中華レストランでデザートとして出てくるのがこれ。
画像右:注目の品種、糯米。黒葉よりも明るい色をしており、小粒だが種もかなり小さく、甘さと酸味のバランスが絶妙。


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