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メキシコの国の収入は、なんと言っても、石油である。中東やベネズエラほど、石油に関して、知られていないかもであるが、メキシコも今のところ石油輸出国である。そして、メキシコの経済も石油の値段に伴って揺れるとも言える。そんな重要な石油であるが、今、その石油で与党と野党が地震状態にガタガタ揺れている。
1870年代からのポリフィリオ・ディアス大統領[1884-1911年在職]の独裁政治時代、外国の石油会社に石油利権を許したために、メキシコの大地の石油はアメリカやイギリスなどの外国の石油会社が掘り、利益を得ていた。当時、石油だけでなくいろんな面で、メキシコの一部特権階級だけが富を享受し、国民のほとんどは虐げられていた。そして大衆が、1910年、武器を持ち立ち上がったのだ。メキシコ革命である。
そして革命後、(不完全ではあったが)農地解放が行われ、また、1938年3月18日、ラサロ・カルデナス大統領(いろいろと批判される過去の大統領が多いなかで、ベニート・ファレス大統領[1861-1863年在職]と並びメキシコ人に最も尊敬されている大統領)[1934-1940年在職]によって、米英石油会社の資産接収が断行された。その後70年、ペメックス(PEMEX)という国営石油会社が、メキシコの石油を掘っている。ところが、国営化の70年後の今、石油問題で、国中がガタガタ言い争っている。
政府に言わせると、「もう簡単に掘れる大地の石油は枯渇して、もう無くなる。このままだと、メキシコも数年後には石油輸入国にならざるを得ない。今大事なのは、メキシコ湾の海底に眠っている石油を掘る事だ。ところが、メキシコにはその技術もないし、金もない。だから、外国の技術も金も持っている会社と提携する事である。それは、決して外国に、外国の会社に、民間会社に国営石油会社を売る事ではない」と。政府は、そう、じゃんじゃんテレビで宣伝する。
他の野党の一部は、「政府は、国営石油会社の民営化ではないと言うが、実際はそうであり、売国行為だ!」と反対する。3月18日、“米英石油会社の資産接収(1938年)”の記念日に、与野党、三者三様のイベントが各地で行われたのである。
フェリペ・カルデロン大統領[2006年- ]は、石油の産地、タバスコ州で記念日のイベントを行い、「メキシコは金もないし、技術もない、外国の企業と提携して一刻も早く掘らないと、メキシコ湾の石油は外国に盗られてしまう。これは国営石油会社の民営化では決してない」と演説。
一方、二重集計や集計漏れなどで多いにもめた2006年の大統領選挙で、0.5%の僅差で対立候補のフェリペ・カルデロンに敗れた(ことにされた?)ロペス・オブラドールは、メキシコ市のソカロ広場で、「メキシコの石油は、メキシコのメキシコ人のためのものである。政府がしようとしている事は、売国行為である。技術は学ぶ事ができる。国営ペメックスの会社の運営が問題である。これを正していく必要がある。政府がしようとしていることをあくまでも平和的大衆運動で阻止して行こう!」と大衆の前で訴えた。
そして、70年前に米英石油会社の資産接収を行ったラサロ・カルデナス大統領の息子であるクアウテモック・カルデナスは、カルデナスの出身地であるミチュワカン州で、やはり演説を行った。演説のなかで、「政府の言う、外国の会社と提携しなければやって行けない、それが唯一の方法であるというのは、嘘である。ほかにやって行く方法はある。今、アメリカとメキシコ湾の石油について、しっかり、取り決め、交渉をする必要がある(メキシコ湾はアメリカと接している)」と訴えかけた。
ちなみに、クアウテモック・カルデナスは元大統領の息子という七光り的効果もあって、過去二回、左派の大統領候補として出馬した。とりわけ1988年の選挙では、実際の得票数では彼が勝っていた(集計途中でコンピューターが停止、復旧後の得票数が停止前とは一変していた)というのが通説であり、当時の与党PRI政党の違反選挙というところで、ついに大統領になれなかった。政治家として、まだまだ影響力がある人物ではあるが、左派の中では前述のロペス・オブラドールが人気のために、三回目の大統領出馬はできなかった。同じ左派ながら、ロペス・オブラドール派とは袂を分かっており、問題は、互いに相容れないというところである。
さてさて、メキシコの石油、どうなる事か? 気になるところである。外国石油会社接収から70年後の今年、メキシコ石油会社の未来はどうなるか?
画像上右:カルデロン大統領の演説の模様(テレビのニュースの映像)
画像上左:ソカロ広場(メキシコ市の)でロペス・オブラドール氏の演説を聴く人々
画像下右:ソカロ広場に集まってくる人々
画像下左:クアウテモック・カルデナス氏の演説の模様(テレビのニュースの映像)
【短信】ただいま、メキシコはイースター(復活祭)のバケーション真っ最中です。人々は、みんな海などの泳げる観光地を求めて出かけて行きます。真っ黒に焼けて帰ってきた知り合いに、どうだった?って聞いたら、「暑くって、暑くって。よかったのはよかったけど、暑いのは・・・」との事。メキシコシティーも暑くなり始めたけど、メキシコシティーの暑さは、まだいいかあ! 我慢できるし、冷房もいらないし。。ですねえ。(3/24)
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