■ポポカテペテゥルとイスタシワトゥルの悲恋 2008.2.5 update

人々は高い山を畏敬の念で見る。時に、親しみを持ち、時には、神のように崇め恐れる。メキシコで二番目に高い山ポポカテペテゥル(5,452m)と、三番目に高い山イスタシワトゥル(5,286m)は、メキシコ中央高原のメキシコシティー、モレロス州、プエブラ州の間に聳える山である。

平地に雪の降らないこの地で、常に根雪をいただくその山のその雄姿は、過去も現在も人々に愛され、文学に芸術に描かれている。そして、伝説となり語り継がれている。それは、日本人が富士山を愛で、日本人として富士山に誇りをもつように、メキシコの人に愛され、崇められ、恐れられていると思う。

裾野に住む人々は、その山をドン・ゴーヨ、ドニャ・マヌエラと隣のおじさん、おばさんを呼ぶように親しみを込め呼ぶと同時に、山を神として崇め、農業の豊作を山に願ってきた。確かに山は周辺の大地を豊かににする水を人々に与えている。

ポポカテペテゥルは、その名の意味(煙を吐く山)どおり、1万4千年前、山ができた時から何度も大きな噴火をして、今なお、常に煙を上げる活火山である。そして、時々、バカァ!バカァ!と火も溶岩も吹き上げ、周辺の住人に避難生活を強制させている。

私の住むメキシコシティーからも、その高い山は常に見えるはずの山であるが、現在、スモックのため、めったにお目にかかれない。本当に空気が澄んだ日、一年に何度か、その姿がメキシコ盆地の東に見られる。その姿を見られた日は、なんとなく、本当に嬉しい気分になるのは、私だけではないだろう。

ポポカテペテゥルは男山、イスタシワトゥルは女山と言われ、二つの山には、悲しい恋物語が伝えられている。それは、当に、メキシコのロミオとジュリエットか? その悲恋バージョンはいろいろあるらしいが、そのひとつを紹介しよう。

ポポカテペテゥルはアステカの戦士であった。イスタシワトゥルはお姫様で、二人は恋仲であったが、身分違いで、王は、その恋仲をよく思っていなかった。そこで、王はポポカテペテゥルに、戦いで、敵の主将の首を見事に射止めてきたら、娘との結婚を許そうと約束する。それは、激しい戦いで、ポポカテペテゥルが生きて帰れないだろうという見込みの約束であった。

戦いは激しく、何年も何年も続く。お姫様は、ポポカテペテゥル戦死の知らせを聞き、悲しみ嘆き、死んでしまう。

だが、ポポカテペテゥルは勇敢に戦い、王との約束の敵の首を持って帰還する。これで、恋人と結ばれる事を思って勇んで帰ってきたのに、イスタシワトゥルはすでに死んでしまっていた。嘆き悲しむポポカテペテゥルはその亡骸を横たえ、自分はそのそばに座り、お姫様を見守り、永遠の愛を誓う。イスタシワトゥルとは、眠れる美女である。

メキシコシティーからはあまり見られる日がないが、プエブラへ行く街道で、二つの山の雄姿がきっと迎えてくれる。

画像上右:プエブラ市内のサラゴッサ将軍(フランスの侵略戦争の時の英雄)の銅像の後ろに見えるポポカテペトゥルの山
画像上左:プエブラ市内の丘から、二つの山が見える。
画像中右:手前の丘に見えるのが、世界一大きなピラミッドと言われるチョルーラのピラミッド。チョルーラ遺跡のピラミッドの後ろに見えるポポカテペテゥル。
画像中左:メキシコ=クエルナバカ旧道からの画像
画像下右:雪が降った翌日、メキシコシティーから見えた山
画像下左:飛行機からみえた雲の上の二つの山

【短信】メキシコは今年になると同時にガソリンの値上がり、そして、最低賃金はたったの2ペソの値上げ。今年は、インフレの厳しい年になるのかもしれません。


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