■異端、死神聖人(Santa Muerte)を祭る人々 2004.6.7 update

メキシコはカトリックの人々が、ほとんどであると、前に書いた。カトリックは、キリストや聖母を祭るほかに、多くの聖人を祭る。たくさんの教会にも、それぞれの保護聖人というのがあって、その教会の特別の聖人を祭っている、いわゆる、サント、サンタというのである。最近、メキシコ経済も、世界経済と足並みを揃えてというか、大変厳しいのであるが、この厳しい経済、失業率が高い時代になると、人々は希望のなさを宗教に頼るという事もあるらしいか? 最近、一般の人々を含めて、変わった聖人を祭る人々が増えていると言う。それが、死神聖人(Santa Muerte)である。

前に、ペセロ(個人経営バス)に乗ったら、そのバスのところに、変なガイコツの顔をして、黒いマントを被り、長い黒い服を着て、大鎌を持った人物の絵が描かれていたのを見た。「なんだ、死者の日でもないけど、ガイコツの絵か?」と思ったのだが、また、ティオティワカンの太陽のピラミッドの頂上で、やはり、ガイコツの顔をしたこの像を置いて香をたいて、お祈りしている人を見かけて、あれって何だろう?と思った事もあった。それから、大分経って、テレビでこの死神聖人が、多くの人々の信仰を集めていると知った。そして、仕事仲間のメキシコ人がこの死神聖人のキーホルダーを持っているのに気づいた。

さて、大変ご利益があるというその死神聖人信仰とは?これは1950年代頃から、信仰され始めたと。そして、特に、泥棒、殺人者、囚人、麻薬犯罪者、政治家などに信仰されていた聖人なのだそうだが、最近は、一般の人々にもその信仰が、広がりつつあると。

一般の人々は、仕事を求めて信仰するのだと、仕事を授けてくれる聖人はSan Judas Tadeoという聖人がいるのだが、あまり効き目がないと言うのか?この経済不安、希望のない、不安定な時代に死神聖人信仰がはやるらしい。この聖人は悪魔的根性を持っていて、お願いを叶えてもらったら、そのお礼をしないとバチが当る怖い聖人なのだという噂(死神聖人教会の説明書には、噂のような怖い聖人ではないと書かれていたが)。

ローマカトリック教会には認められていない聖人で、ローマカトリック教会では、コンドームや堕胎を認めないが、Santa Muerteは、それを認め、ホモさえも認めるという。時代の風潮に合った教義を持っている死神聖人といえるか? でも、ちょっと恐ろしげな聖人、なんせ、顔がガイコツの死神、持っている大鎌は、なんのため? それから、天秤ばかりも持っているけど、それは、何を計る?

ここに載せる写真がないので、メキシコシティーのセントロにある死神聖人を祭る教会を訪ねる事にした。他の人に話したら、そんな物騒そうな場所に、カメラを持って行かない方がいいと言われたが、物騒という雰囲気はなかった。そこは、普通の家を改造した小さな教会で、キリストや聖母などいわゆる普通のカトリック教会と同じ像も祭ってあったが、中央に大きな死神聖人の像が祭ってあった。

教会の入り口の所に、死神聖人グッズの露店があった。死神聖人像やお守り、本、悪から守る為の香水、儀式を行う為のエッセンスなどを売っていた。そこで、死神聖人の御利益を得るためのレシピ本を一冊買った。

教会や神社、お寺でも、人々が熱心に信仰している場所で、パチパチ写真を撮るのは、なかなか、気が引けて出来ないもので、どうしょうかと、困っていたら、壁に写真は5枚で50ペソ、ビデオは150ペソと書かれた紙が貼り付けられたのを見つけた。早速、事務所らしいところへ行って、写真を撮りたいとお金を払った。男の子が、制限枚数以上撮らないか監視についてきた。うーん、死神聖人教会も、ちゃんと、お金取って、儲かるように商売、商売らしい。



画像右上:町で見かけた。車に書かれた漫画チックな死神聖人の絵
画像左上:死神聖人教会の祭壇の死神聖人
画像右下:教会の横の壁には、キリスト像や聖母像も飾られている。
画像左下:死神聖人の御利益がある為に、色んな方法が書かれた本。


<<もどる