■モッツアレッラ(MOZZARELL) 2004.11.1 update

モッツァレッラと言えば、世界中で愛されているチーズの1つですが、私の住むイタリア南部カンパーニャ州の名産です。今では北海道産のモッツァレッラまであるようですし、日本でもとてもポピュラーになりましたが、今回は私がこちらの人間のモッツアレッラに対する拘りのお話をさせていただきます!

材料への拘り…これは本場ではスゴイ! 外国、いや、他のイタリアの都市で売ってるモッツァレッラは、こちらではモッツァレッラとは決して呼ばれません。MOZZARELLAと言えるのは水牛の乳から作ったものだけ。単なる牛の乳で作ったものは Fior di latte(フィオル・ディ・ラッテ)とキチンと区別します。産地への拘り…これまたスゴイ! カンパーニャ州全般で作られているのですが、水牛を育てる環境の問題もあり、ナポリ郊外とカセルタ郊外の数ヵ所が一番とされています。

一番美味しい食べ方…モッツァレッラを生で食べる時、他の地域ではカプレーゼと呼ばれる、オリーブオイルをたっぷりかけたトマトとのサラダが登場することが一番多いのですが、本場では、そのまま! 格式高いレストランでもそのまま丸ごとドンとお皿に盛られます。水牛の乳だけのもので産地も限定されている、本当に美味しいものは余計な付け合わせや味付けが必要ない…ということですね。

それから作られてからの時間への拘りもあります。生で食べるには、当日か、せいぜい翌日。作られてから2日以上たってしまったモッツァレッラは生で食べては美味しくないので、調理用に使います。そうそう、出来たてのモッツアレッラは水分が多いから…という理由で調理には使われません。買う当日に調理するなら、水分量の少ない、牛の乳のフィオル・ディ・ラッテを使います。

他イタリアでは個別にパック売りもされているモッツァレッラですが、本場ではスーパーであれ、大きな容器の中のお水に浸ったモッツアレッラが販売されていて、欲しい分だけビニールに入れてもらいます。チーズ専門店に行くと産地からのモッツアレッラ到着時間もちゃんと決まっているんですよ。他にもいろいろな加工品を売っているけれど、メインはモッツァレッラ。巨大な容器の中からモッツアレッラをオバサンが取ってくれて。今ではビニール袋に入れてくれるけれど、以前は日本の昔のお豆腐屋さんのようにお客さんが容器を持ってきて「モッツアレッラ3丁ください!」と言っていたとか…(本当は『丁』じゃないですけど、そんな感じなのです)。

いい加減で、あまり働かないと言われるナポリの人間でも、美味しいモッツアレッラに関しては、態度が正反対! 手軽だからと言ってパック入りを買うなんて事は絶対にしませんし、例え本式の水牛モッツァレッラであっても「あそこはマズイんだよ」といいながら、美味しいものを売る遠くの店まで車に乗ってでも行きます。新しいお店で購入すると、家族全員で品評会。固いだとか味がきついなど、みんなが真剣に評論しあいます。それまで評判のお店でも質を落とせば、もう誰も購入しなくなってしまいます。

たった1つの食材に対して、みんなが喧々ごうごうする。作る方も一生懸命、買う方も妥協せず……こんな市民の根底の拘りがあるからこそ、本場のモッツアレッラは昔と変わらぬ味を保っているのじゃないかな…と思います。単なるチーズの1種類ですが、カンパーニャ州の人間にとっては、拘り続けていたい、欠かせないソウルフードなのです。


-文中の画像-
画像上:丸ごとドン! 極上のモッツアレッラに飾りは必要ありません。
画像中:自宅兼店舗になっている住宅街のチーズ屋さん。
画像下:届いて数時間のモッツアレッラ。当日に食べるのが一番美味しい!

画像左:お店の入り口。看板もないので、知らない人は素通りしちゃいます。
画像中:店内は、日本のお豆腐屋さんみたいな感じ。
画像右:本場では、モッツアレッラは水に浸った状態で販売されており、欲しい分だけビニールに入れてもらいます。

【短信】イタリアは日本と同じ南北に長い国。北の友人と電話で話すと 、「寒いわよ」、「暖房いれた」と聞きますが、南のナポリはまだまだ。我が家のテラスは日当たりがいいのですが、日中は真夏のように暑いです!(10/24)


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