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イタリア国内には3千を超える美術館、博物館があります。いつも感心させられることは、そこには美術と教育とをきちんと融合させる仕掛けが息づいていることです。小学生、中学生が先生に引率されて見学に訪れるといった光景は、もちろん日本の美術館にもあります。が、イタリアではそれに加えて美術館の一角で粘土をこねたり、フレスコ画の体験をしたりと、実践を交えた子ども向けの講座が盛んに開かれているのです。
また作品の展示の仕方にもひと工夫があります。ローマ国立博物館には紀元前2世紀から紀元前4世紀にかけてのモザイク画、彫刻フレスコ画等が所蔵されていますが、主だった彫刻の側には荘厳なる彫刻を敢えて親しみやすくイラスト化して、その彫刻の持つ物語、彫刻に関連したクイズ等が書かれたプレートが掲げられています(クイズの答は、同プレートの片隅に逆立ち文字で記載されている)。芸術品の前を素通りさせることなく、子ども達にその位置づけをしっかり認識してもらうという、博物館側の狙いのようなものが感じられます。たとえばディオニソス像では「彼の頭にある水玉状のものは何?」との問いがあります。それで正しい問いを得るために、意識的に作品と向き合うことになるという按配(正解は、ぶどう)。
また興味深いのはローマ文明博物館です。ここは写真、フラッシュ、ビデオOKという、文化保護には力を入れるイタリアにしては不思議なくらい寛大な博物館ですが、女性スタッフが茶目っ気たっぷりに「それに、ここの作品はお触りもOK」と教えてくれます。この博物館にはローマの王政時代に始まる時代別の支配者の彫像等が集められていますが、実はそれらはすべてレプリカなのです。
コンセルヴァトーリ美術館で厚いガラスの内に飾られている有名な母狼像(ローマの始祖、ロムルスとレムスを育てた狼の像)。ここ文明博物館では、それとそっくりのレプリカが鎮座していて、思う存分なでることが可能です。ここでもたくさんの子ども達が作品群とたわむれていました。またミラノのレオナルド・ダ・ビンチ博物館は、手稿に描かれた天才的デッサンをもとに、各種の模型を作り展示しています。それらは実際に触ることができます。腕と足を使って翼を羽ばたかせる飛行機を私も試してみましたが、それはレオナルドの偉業を実感する素晴らしい機会でした。
赤といっても、様々な赤があるというのがイタリア人の感性だと聞いたことがあります。そういえば、イタリアの人気ブランド・プラダの色見本では赤は赤でも種々あります。濃い赤、ルビー、朱赤、チェリー、鮮やかな赤・・・。
こうした感性を下支えしているのは、超一流の作品が国内に溢れかえっていて、またそれらとのアクセスを容易にする仕掛けに横溢した美術館、博物館があるからかもしれません。
画像上:カラカラ帝もレプリカだから触っても怒られない(ローマ文明博物館)
画像中:子ども向けの作品案内掲示(ローマ国立博物館)
画像下:博物館で行われている子ども向けの美術実習
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