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イタリア、特にローマやナポリなどの大都市は紀元前から綿々と続き、歴史の堆積の上に街が位置するがゆえに、わざわざお金を払って博物館に行かずとも、少し歩けば遺跡、遺物に遭遇するという面白さに満ち溢れています。車がバンバン走る街中に突如、円形競技場が、ピラミデ(ピラミッド)が、エジプトから持ち込まれた巨大オベリスクが現出。都市から遠く離れた山中ではなく、スモッグとネオンの光に包まれた大都会に古代の巨大オブジェが存在するのだから驚嘆に値します。しかし一方で、そうしたことが決定的に人々の生活に影響を与えていることを知る必要があるでしょう。
たとえば街中でよく見かける二重駐車の違法駐車の数々、酷い交通渋滞、少ない地下鉄の路線(開通している地下鉄が東京だけで13本もあるのに比べ、首都ローマにはA線とB線の2本しかない)日本に比べて怠惰すぎる、近代化から取り残されている・・・とつい思ってしまいがちなのですが、私たち観光客をド迫力で喜ばせてくれる遺跡、それこそが便利さとの別れを余儀なくさせているのです。
なにしろイタリアの古い街は街全体が遺跡みたいなもので、掘り返すと古代ローマ時代の遺跡にぶつかり、工事は一向に進展しないのです。かなり前にメトロに乗っていたとき、車内広告に確か地下鉄C線のことが華々しく予告されていたように記憶しています。やっと3本目が開通するのかと少し嬉しく思ったのだが、どういうわけかその後そういった広告は一切見かけなくなり、そして今もあいかわらずローマには路線は2本しかありません。たぶん掘り返してみたら、何かイニシエの遺物が顔を覗かせたのでしょう。
そんなこんなで地下鉄もつくれない、地下を活かした駐車場もつくれない、建物も簡単には取り壊せない。内装はいじれても外装はそのまま保持しなくてはならない。一時の開発のために数千年の歴史を刻んだ輝かしい遺跡を壊してはいけないという約束事が厳然とあるのです。
知合いのGは、改築のために地下を少し掘ったら遺物発見で工事は頓挫。あれほど楽しみにしていたリフォームが頓挫した訳ですが、古代の人の息吹を足許に感じると言って、どこか誇らしげです。
イタリアの街はいつ行ってもさして変わらない。不便さも克服されない。しかしそれゆえ古代ローマの建造物をリストランテとして利用するという贅沢を味わえます。ナボーナ広場の近くにあるレストラン「パンクラッツィオ」がそれ。テルミニ駅では駅構内の一部を陣取る遺跡にもたれて待ち合わせ。遺跡まみれのゴージャスさは自由によっては支えられませんが、イタリア人はそれでも古代ローマ人の末裔としての誇りに支えられ不便さに耐え忍んでいくことでしょう。
画像上:小ぶりながらも街中に出現するピラミデにはビックリ!
画像中:このアーチのレンガが、紀元前・・・(リストランテ・パンクラッツィオ)
画像下:ローマのテルミニ駅構内を一部占拠する古代遺物。
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