■20点のポイント制(イタリアの交通事故対策) 2003.12.1 update

イタリア旅行中、私は自分で運転することはまずない。レンタカーを利用しようにもAT車は皆無に等しいし、右側通行のカルチャーに適応することもできない。しかし何よりもイタリア人のF1ドライバー並みの運転に、ついていく自信が全くないからだ。イタリアでは自分が運転せず、また知り合いが運転していないという状況に、いつも感謝している。それほどイタリアでハンドルを握るのは何とも恐ろしいのである・・・。

タクシーや高速バスの運転手、観光客相手のドライバー達。信号は無視、走る車の間を人が横断し、ヴェスパが突然眼前を蛇行していく。それでも彼らは臆することなく、全速力で疾走する。高速道路では160キロなんぞ当たり前。逆行する車を目撃したこともある。後部席でシートベルトを着けようとすると、バックミラーにしっかりそれを捉えて「ノー・プロブレム」と言って制する。この傾向は南に行くほど強くなる。 世界保健機構(WHO)によれば昨年の統計では、10万人あたりの自動車事故による死亡者数は日本で8.3人のところ、イタリアでは12.4人。

イタリア人は車を輸送のための一手段とは捉えていない。自分と一体化するもの。自分のアイデンティティーと一致する。だから、安全に走るというよりも、皮膚感覚で運転する。喜怒哀楽はそのまま運転に反映される。AT車なんて死んでも乗りたくない。交通規制から離れてミッション車で常に「自己表現」に出る。それがゆえにフェラーリ、マセラッティ、アルファ・ロメオといった、単なる車という枠組を超えた色気のある車が生まれる所以だとも言える。

とはいえ、おびただしい数の死亡者数に追いつめられた運輸省は、ついに日本と同様にポイント制度を5月1日から導入したのである。20点ある持ち点が違反の度に減点される。そして0になると免許取消し、教習所で再び試験を受け直さなければ車の運転はできないという仕組である。減点は飲酒運転、スピード違反、信号無視、シートベルトの無着用、交通規則違反・・・。イタリア人ドライバーは今回の改正により模範的な運転を強いられ、8月の死者数はなんと23パーセント減!

そうは言うものの、高速道路の最高速度が時速130kmから150kmへと緩和され、駐車違反について罰金はあるものの依然として適用外とくる。ローマで交通渋滞の緩和のためか、無免許OK(14歳以上なら誰でも)の軽量四輪車が登場したが、いくらポイント制が導入されても、そんな融通性は依然健在なのがイタリアらしい。もっとも今回のポイント制度についても「そう、長くは続かないさ」とつぶやくイタリア人は少なくないようだ。あんな非日常的な運転に付き合わされるのは大層なストレスではある。しかし私自身、実のところイタリア風運転術には毎回魅了されているので、規制はほどほどに・・・とも思ってしまうから複雑である。

画像上:渋滞だけで終わらない。突然物売りの人間までもが現れ・・・
画像下: ローマで見かけた、”無免許OK”の軽量四輪車


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