■「日本ブーム」が到来! 2003.1.6 update

元気のない日本にいて、長く続くイタリアブームに身を浸していると、自国の魅力よりもイタリアへの憧憬ばかりが強まる。とはいえイタリアに行く時には日本情緒に溢れた品々をスーツケースに詰め込むことは、最近では欠かせない習慣となった。なぜならばイタリアでは今、日本ブームだからだ。

これまでのイタリア人の日本理解と言えば、「奇異」なる物に対する情報と「優れた製品」への憧れといったものに代表されていた。彼等と現地でコンタクトをとると、私という日本人への礼節から当然日本の話になるわけだが、「奇異」系としては芸者、腹切、働き蜂、金持ち日本・・・、「優良製品」系ではソニー、ホンダ、トヨタ・・・。「奇異」系の話をイタリア人から聞かされると、タイムトリップしたようで何だか実感がわかない。また、街を歩いていると、子どもやバイクの若者からいきなり「オンダ、オンダ」(イタリア人はHを発音しづらい)と本田技研のことを挨拶代わりにされることがあるが、こうしたことはまさに日本が「製品」面から理解されていることの好例だろう。「奇異」系、「製品」系として語られてきた「イタリアでの日本」。それはかなり以前からの見慣れた現象だが、どうもピンとこない。そんな中、ここ数年イタリアを席巻している日本ブーム。そこにはもう少し突っ込んだ「精神性」、「文化」みたいなものが感じられ、かなり期待できそうなのだ。

たとえば2000年の1月までミラノで開催された北斎展なのだが、ここには連日イタリア人による長蛇の列ができたと聞く。また盆栽、寿司、布団が今大変な人気で、これらのものを売る店が激増しているらしい。醤油をキッチンに常備する主婦も増えてきている。また「物」ではなく「人間」としては、現役に活躍する日本人−中田英寿、北野武、吉本ばなな、塩野七生などのことがタクシーのおじさんとの会話でも飛び出すほどなのだ。

こうした日本ブームの中でも特に特筆すべきなのは、漢字ブームだろうか。「愛」「人生」・・・・・、少し変わったものでは「邪道」「活路」などと漢字で書かれたシャツを着る若者をよく見かけるようになった。美術館でカタログを購入すると、何度か「日本語の表示をしたいのだが、“引く”とか“チケット完売”というのを書いてくれませか?」と頼まれることがあるのだが、最近この依頼とともに自分の名前を漢字(当て字)で書いてほしいと頼まれる始末。またカプリのみやげ物屋では差し出された紙に「美人」「美男」と書いてくれないかという執筆依頼をいただいた。その文字を練習し、日本人観光客に書いて見せて、それで「いい気分」にさせて商売繁盛に繋げたいのかもしれないが・・・。

イタリアっぽくてイタリアには存在しないスパゲッティ・ナポリタンが生まれたように、何らか変わり種の「日本」が発明されイタリアで定着してくれれば、その時こそ日本ブームも本物となる。そんな日が来るのが今から楽しみである。

画像上:カターニャで見かけた「京都ジャズ」(?)公演の宣伝ポスター
画像下:ローマのボルゲーゼ公園の売店にはポケモン風船が・・・


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