■イタリアの犬猫事情 2002.9.2 update

イタリアの遺跡を歩いていると野良犬、野良猫に遭遇することが多いが、どうも植生ならぬ「棲み分け」みたいなものがあるようで、ナポリ近郊のポンペイには犬、ローマのコロッセオには猫、というのが定番である。

観光客が歩き回るウォーキング型の遺跡(ポンペイ)には必ず犬が出没するという傾向があって、それは観光客の歩く方、歩く方へとひたすらついていけば何かしらの食べ物をいただけるというメリットゆえだろう。一方猫が遺跡を好むというのは食べ物というよりは、暗い空間でひとり静かに過ごしたいという個人主義的欲求からのことであり、したがって隠れ場所となる屋内型の遺跡(コロッセオ)に居つく猫たちというものが生まれてくる。もちろん猫にしたって遺跡で瞑想にふけているばかりではない。誰かしら心ある人がくれるスパゲッティなんかをクチャクチャと食べていることもあるのだが。

現在イタリアには、600万の犬と800万匹の猫が人間と暮らしていると言われる。猫に関して言えば、日本のそれとほぼ同数。日本人は猫好きな国民として知られるが、イタリアの人口が日本の半分弱ということを考え合わせると、イタリアは「超」猫大国ということになるだろう。スーパーマーケットに行けば、なるほどそのことを裏づけるように何種類ものキャットフードが棚にぎっしり。全体的にはドックフードよりはやはりキャットフードが売場の棚のより多くを占めている。ただしミラノではどういうわけかペットでは犬に人気が集中しているようなのだが。

イタリアといえば夏になれば長いながいヴァカンスとなる。足手まといなペットたちを捨ててしまう(それも旅先に向かう車の窓からポイすることも)不届き者が後を絶たない。そしてその捨て場としてどうやら遺跡が選ばれやすいらしい。

シーザーが殺されたローマのアルジェンティーナ広場の遺跡には、ボランティア組織によって世話をされている野良猫たちがたくさん住んでいるという。遺跡に捨てられていた猫の世話を2人の女性がしていたのがことの始まりで、今では国内外からの寄付金で、7人のスタッフが食事や予防接種、けがの治療に努めているときく。

フェリーニの名画「甘い生活」で主人公扮するマルチェロ・マストロヤンニが、「ローマは猫だらけなんだ」と言い放つシーンが印象的である。映画の上映から40年近く経った今日も、ローマはいまだに猫だらけ。いやいやローマだけではない。遺跡も野良猫たち飼い猫たちも、世紀をまたいでも、やはりイタリアには変わらずに存在し続ける。

ちなみにイタリアでは、黒猫が目の前を横切ることが縁起の悪いものの最たるものらしい。黒猫を飼う私にとっては、どうも気になる迷信である。毎日が縁起悪い、なんてことはないのだけれども。

・・・と、猫中心に話をすすめたが、ピアッツァ(広場)には大きな野良犬たちが惰眠をむさぼるという牧歌的な風景がイタリアでは展開されている。猫にとっても犬にとってもイタリアはなかなかいい国である。

画像上:オープンエアで食事をしていれば、猫がおねだりですり寄ってくる
画像下:キャットフード満載のスーパーの陳列棚


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