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ドイツに来た頃、車窓からの牧歌的な風景に心が和ごみ、いつまでも眺めていたものでした。その中に、郊外を中心にいくつも見かける、一風変わったものがありました。広い敷地がいくつかに区画され、その各々に小屋が建っているのです。そこでは、りんごやさくらんぼといった木が植えられたり、花や野菜が育てられたりと、それぞれ趣きも異なります。人が住むにはちょっと手狭なこの小屋と区画。これは、実はクラインガルテンと呼ばれる、「小さな(klein)お庭 (garten)」だったのです。
ある統計によると、半数以上の世帯が庭を所有しているほど、ドイツ人はお庭好き。都心部ではほとんどが集合住宅のため、自宅から離れた郊外に個人の庭を所有することが多いのです。日本ではさしずめ共同農園といったところでしょうか。
このクラインガルテンはドイツでは19世紀に入って見られるようになりました。劣悪な環境下の作業で病気になった工場労働者の健康回復のため、自然を提供することを目的の一つとして作られていったのです。現在、私設のクラインガルテンはなく、運営はクラインガルテン協会が非営利で行っています。庭を所有したければ、協会員として登録し、空きがあれば誰でも安く(日本円で1〜4万円程度)借りることができるのです。クラインガルテン区画内の小屋はラウベ(Laubeあずまや)と呼ばれています。物置きとして用いるだけでなく、まるで別荘のようにテレビや家具を備え付けたり、飾りつけをしてくつろいでいる人もいます。この小屋に住むことは出来ませんが、毎日のようにやってきては庭の手入れをし、夏には家族でバーベキューを楽しむ人たちも見かけます。
都心を離れれば庭付きの戸建て住宅が並んでいます。こまめに芝を刈り、大きなバーベキューセットを置いているお庭も多いです。ちなみに、庭造りにもブームがあるようです。昔は、「我が家で食する野菜を育てる」といった感じの実用的なものが中心だったらしいのですが、最近ではちょっと様相が変わりつつあるのだとか。おしゃれでかわいいテラコッタを集めて趣向を凝らしたり、池付きの日本庭園を造ったりと様々です。テレビ番組で、BONSAI造りが趣味のドイツ人青年が紹介されていたこともありました。
また、ドイツ人はお花が大好きです。なんでも花の売上げは世界一だとか。今の季節ですと、戸建て住宅のベランダや集合住宅のバルコニーや出窓は色とりどりの花で飾られてとてもきれいです。余談ですが、ドイツ人の良い奥さんの条件のひとつに、お花を上手に育ててバルコニーや家を飾ることができる、というのがあるそうですよ。日曜大工センターのガーデニング部門の売上げは、今年も好調らしいです。素朴で暖かなドイツのお庭。クラインガルテン同様、家庭の憩いの場としても重要な役割を果たしているのかも知れませんね。
なお、クラインガルテンについては「ドイツ環境情報のページ」を参照させていただきました。
画像上:筆者の住む町にあるクラインガルテン
画像下:お花で飾られたバルコニーが美しい、小さなホテル
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