■朝の目覚めは焼立てのパンとともに 2004.3.1 update

平凡な日常生活の中の、平凡だけれども簡単には手に入らない楽しみの1つが、朝食に焼立ての美味しいパンを頂くことです。

ドイツのブロットヒェンとよばれる白い小麦粉で作ったパンの香しさと言ったら、すーっと鼻孔からはいってきて、寝ぼけていた脳の細胞が呼び覚まされるようです。ところがこのパンのほんとに美味しい時期は、はかなくも短くて、半日も経つとその水分が抜けて乾燥してくるのです。前日に買ったパンでは、だめなのです。

美味しいパンが食べたければ、その朝に焼いたパンをパン屋さんに買いに行かなければなりません。パン屋さんは、早いところだと朝6時にはもう開いています。小さな立ち飲みコーナーが設えてあって、朝早い勤労者がコーヒーと一緒に朝食を取っている風景も見られます。

焼立てパンを自宅で朝食に優雅に楽しむ上での問題は、まず第一は、誰がその朝の忙しい時間にパンを買いに行くかということです。そして、第二は、本当に美味しいパンを焼くパン屋さんがドイツでも少なくなって来ていることです。

パン屋さんは、小さな村にも大体は1軒、都会の街角ではそこかしこにあるのですが、大規模チェーン店が席巻してきており、そこの工場大量生産のパンは見た目にも画一的で、食べてみても小麦の香しさが感じられません。マイスターが一人でコツコツやっているようなお店は、腕が良ければいいのですが、手作りではあるけれど技が追いついていないと、これも小麦粉の美味しさが引出されていません。とどのつまりは、家のすぐ近くに納得の行くようなお店を見つけられずに、遠くまでわざわざ車でパンの買出しにいかざるをえなくなります。

そんな訳で、最近は、次善の策で、お気に入りのパンを買って来て冷凍しておき、それをトースターで温めて食べていました。このときの温め方のコツですが、冷凍庫から取り出して、乱暴なようですがそのままざぶんとお水をかけてトースターに3分ほど入れておくと、焦げもせずふんわりと水分を含んで焼立てのような仕上がりになります。

ところが、ごく最近、フランクフルトに画期的なサービスが始まりました。配達会社が、毎朝、我家お気に入りのパン・お菓子屋のハイディンガー(Heidinger)のできたてパンを自宅まで届けてくれるのです。ファックスや電話で注文しておくと朝の6時頃に家のドアノブにパンの包みをぶら下げてくれます。焼きたてでかみしめるとしっかりとした小麦粉の味わいがして、これは朝から良い気分です。1回のお届け料はたった50セントで、月末にまとめて銀行引き落としです。ドイツ人にもこんな隙間産業を思いつく人がいるのでびっくりです。パンなどは単価が安いものですし、我が家のように小人数だと3〜4個ぐらいしか頼んでいません。この粋なサービスが潰れないのをひたすら祈っています。

画像右上:この袋にはいってパンが届けられます。さらにビニールの袋にはいっており、それがドアのノブに掛かっています。ドアを開けて手を伸ばすと、焼き立ての小麦粉が香ります。
画像左上:ブロットヒェンと呼ばれる一番普通の小形白パンの上に、ひまわりの種、芥子の実、白ごまがそれぞれのっています。
画像右下:一般には農民パンと呼ばれている黒パンです。私が買ってきたこのパンは、このあたりの地名にちなんでアルトザクセンパンと呼ばれています。1キロほどもある大きな固まりで、外はしっかりと硬い皮、中はしっとりとした色黒のパンです。精白していない全粒紛、カラス麦、ライ麦などいろいろな種類の粉で焼かれており、ミネラルや植物繊維も豊富です。
画像左下:アルトザクセンパンは、トーストパンよりは薄めに5mmくらいにスライスします。ハムやチーズとの相性もよく、ドイツの昔ながらの居酒屋でおつまみを頼むと一緒にこのパンが出てきます。おなか持ちも良いので、ダイエットにいかがでしょうか?


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