■ドイツ人のお点前 2003.12.1 update
日本の文化が人を引きつけるものがあるとしたら、その正体を見たい。などという下心もありで、今日は表千家代谷宗幸先生の主催なさるお茶のお点前のご招待にいそいそと出かけました。

宗幸先生は、フランクフルト市の近郊の静かな住宅地であり温泉も沸くバート・ゾーデン(Bad Soden)市に「庵」というお茶室を構えており、お茶を通じての日本文化交流に携わっていらっしゃいます。生徒さんは日本人ももちろんのこと、ドイツ人もいらして、今日はドイツ人のお弟子さんによるお茶のお点前でした。先生のお優しいお人柄と優雅さに懐かしい日本の佇まいを感じました。お茶に関しては不調法者なのですが、新発見たくさんで、とても楽しいお茶会でした。

ドイツ人のお弟子さんたちは、日本に駐在したことがある、日本と関係のある企業で働いているという人が、8人中6人でした。そして日常生活では、大部分の人が神経をすり減らす激務についており、その時間の合間をぬってお茶のお稽古を続けています。

代谷宗幸先生を囲んで記念撮影:
2人のドイツ人女性の着ている着物は、日本の標準サイズでは丈が短いので、特別に仕立てたものです。着つけも、最初は先生に手伝ってもらっていたのですが、今では自分で着付けられます。
ご挨拶と説明
ドイツ人にとっては見るのが初めての事ばかりということで、お茶事に関する基本的な説明があります。お点前の間も全体的な説明があるので、とてもわかりやすいです。以心伝心の国と厳密な理論構築の国との出会いにおける解決策です。説明しているのは、ドイツ人のお弟子さんです。最初は宗幸先生に日本語を習っていたのですが、そのうちにお茶も始めたという経歴の持主です。
着物でお茶のお稽古
以前はギャラリーだったところにお茶室が出現しました。一部がガラス張りになっているので、外を通る人が不思議そうに見ていることもあります。手前が平土間になっており、ベンチが設えてあるので、そこでお点前を拝見することができます。 きちんと着物を着付けて、お濃茶をいただきます。
掛け軸拝見
背筋もぴしっと延びた美しい姿です。手前に少しのぞいている着物の袖は、お濃茶の説明をしてくださったドイツ人の生徒さんです。

主客のご挨拶
濃茶のお点前を披露したのは、右側の男性(ダルムシュタットの大学生)。主客のやりとりは、一部日本語です。日本人のお弟子さんのやりとりを見聞きしているうちに自然に覚えたとのことです。
茶花
お教室では茶花の活け方も習います。「西欧式の生花は艶やかに豪華に飾ることをよしとし、お茶室の花は野にあるがままという両極端に位置するので、それをまず分かってもらうことから始めます」と宗幸先生はおっしゃいます。今日のお床の花はトルコ桔梗でした。季節によっては、お茶花として使えそうなものがなかなかないこともあるそうです。
茶杓
私たちも薄茶をいただきましたが、たいへん結構なお味でした。お手作りのカボチャ餡の練きりも用意されていました。画像は、見事な袱紗捌きで茶杓を清めているところです。歩き方も、足袋がぴたっと畳に吸いつくように、するすると進みます。背筋は、背中に1本筋が通っているかのようにぴしっとしています。
生徒さんとの一問一答

(Q):お茶の魅力は?
(A):「とても心静かなときを持てること」と、皆様口をそろえてそれぞれに。

(Q):お濃茶のお味は?と、心配しつつ聞くと?
(A):「美味しいで〜す」の答えに一安心。

(Q):正座は大丈夫ですか?
(A):「足がしびれて立てなくなります」

(Q):お茶にはいろいろな決まりごとがありますが、どう思われますか?
(A):「決まりごとを習うのが面白いし、理に適っています」と。ドイツ人には、お茶を取り入れる素養がほかの欧米人と比べてもあると思いました。

(Q):ドイツ人の方にお点前を披露した時に一番聞かれる質問は?
(A):「今でも日本ではお茶のお点前をしているのですか?」だそうです。とても同じ時間空間の中でしていることには思えないようです。

ドイツ人のお弟子さんたちが、お茶を自分の精神生活の一部として取り入れているのが新鮮な驚きでした。お茶のお稽古が終わったあとは、先生とお料理の好きなドイツ人のお弟子さん心づくしの和食です。日本酒も少し頂きながら、美味しいお寿司や煮物、お漬物をいただきます。純粋な日本食ですが、お弟子さんたちも大好で、料理を習うのを楽しみにもしています。こういう筋の通ったなかにもぬくもりのある茶道教室に、忙しい現代社会で生活しているドイツ人も心引かれるのだと思いました。

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