■アスパラ大農場の後継長男 2003.7.7 update

アスパラ生産地域のまんなかに位置するビューアシュタット市に住む友人のハーク夫妻がとても楽しい週末の催しに誘って下さいました。

4月上旬から6月24日の聖ヨハネの日まで、この時期のドイツの食の最高の楽しみはホワイトアスパラガスです。町のあちこちに、農場直営のアスパラガスのスタンドが立ち、ドイツ人はその日掘りたてのアスパラガスを行列して買っていきます。日本人の私も、もちろん、この春の香りいっぱいの期間限定品を機会があるごとに楽しみます。

ドイツ人にとってホワイトアスパラガスは、日本人にとっての筍や松茸のように季節を感じさせる野菜です。黒い土のマントに包まれたまま、地中のミネラルをたっぷりと溜めこんだホワイトアスパラガスは、茹でてジャガイモとソースであっさりと頂くと、体のなかを春の爽やかさが駆け抜けていきます。

アスパラを真っ白に育てるためには、高い畝(うね)を築き、太陽に当たらないように被いを掛けて大事に育てます。収穫は短期決戦なので、ポーランドや近隣の旧東側諸国から沢山の季節労働者がやって来ます。タケノコ掘りでもイチゴ狩りでもサクランボ狩りでも、自分で収穫するのが大好きな我が家としては、アスパラ掘りも是非やってみたく、あちらこちらの農園にかけあったのですが、アスパラ掘りには熟練と経験が必要とのことで、どこにも体験農園は見つかりませんでした。素人が掘ると、商品にならないような長さに切り取ったり、土中に眠る幼茎や根元までだめにして来年からの収穫に差し障るからです。

今日は特別に、ハークさんの伝手いで、友人のクルーク農園で掘らせてもらえることとなりました。説明係はクルーク家の後継長男のアレキサンダー君です。クルーク農場では、最盛期は200人、現在は120人の季節労働者働いており、労働者住宅、専用食堂、それに携わるポーランド人の賄い婦も3人いて、農場はフル回転です。お父さんは営業、お母さんは会計、アレキサンダー君は農園と加工工場の監督指揮と家族総出です。農家と言っても最新鋭の機械を導入し、高価なアスパラガスを大量に販売しており、とても裕福な一家です。目下の悩みは、29歳になるアレキサンダー君のお嫁さんがなかなか見つからないことです。この時期は、日曜休日もなく、週35時間労働などと言っているドイツの労働慣習からはほど遠い長時間労働など、現代っ子のドイツ人のお嫁さんを見つけるのはなかなか難しいようです。

今日はアレキサンダー君が畠で、アスパラガス掘りのコツを教えてくれました。畠の黒い土のてっぺんからようやく顔を出したばかりのアスパラガスを見つけます。その回りを、手袋をはめて指を2本使って掘り下げていきます。ほぼ手袋の高さまで掘り下げたら、22cmの長さになっているはずですので、そこにのみのような道具を刺しこんで、ぐさっと切り取ります。クルークさんの畑は砂地ではないので、土が水をたっぷりと含んだあと、固くしまっていました。アスパラ掘りは重労働でした。

私達にわか労働者は、収穫量と品質に応じて賃金が支払われる本職には、とても及ばないものの、労働のあとに採れたてのアスパラガス料理のご褒美がありました。町はアスパラ収穫祭で賑わっており、クルーク家もそのお祭にスタンドを出していました。しめは農園で取れた、今がシーズンのイチゴワインを御馳走になって、楽しい体験ツアーの幕が閉じました。

クルークさんは、フランクフルト空港に近いという地の利を生かして、いつの日か日本にも輸出したいと考えています。少しずつ日本に市場にも登場し始めているホワイトアスパラガスですが、ドイツのアスパラが日本の食卓を賑わす日を私も楽しみにしています。日本人をきっと虜にすると思います。

画像右上:ホワイトアスパラが、黒い土の間から、にょきにょきと顔を出しています。
画像左上:市場に出すには、選別作業が重要です。コンピューターが自動的に、色や形から等級を決めて選別していきます。人間はそれのお手伝いをします。
画像右下:この地域では、あっさり茹でる他に、ホワイトソースで煮込んで付け合わせとしていただきます。
画像左下:春を告げる果物のイチゴから、ワインも作られます。円内は、笑顔が素敵な、クルーク家の長男アレキサンダー君(29歳)


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