| ■熊ニラの小道 |
2003.6.2 update |
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我が家のすぐそばから始まっているフランクフルト市の市有林には、森の散歩道がきちんと整備されており、家は一軒も建っていませんが(正確に言うと「密猟小屋」という名前のレストランが森のまんなかに1軒だけあります)、森の中の道には名前がつけられており、散歩やジョッギングをする人たちが迷子にならないように、十字路にはその道の名前を書いた道標が木に打ちつけられています。「兎さんの最後のひとっ飛びの道」、「ゲーテ小道」、「泉の小道」などなど。「熊ニラの小道」というのは、実は実在する名前ではなくて、私の好きな散歩道につけた名前です。
5月の上旬に、ほんの短い間だけ、池のそばの湿った一帯が可愛い白い花に被われます。そしてあたりには、ニラのようなニンニクのような匂いがふわっと漂います。すると、ビニール袋を持った人が現われて野草を摘み始めます。これが熊ニラで、野の草花を食卓にのせる習慣のあまりないドイツ人ですが、自然愛好家の間ではまだ根強い支持を得ています。日本人の私達にとっては、わらびもご馳走なのですが、こちらでは野鹿の大切な食料とされているようで、わらび狩りをせっせとしていると自然保護のお婆さんに鹿に食べ物を残してあげなさいとお説教されてしまいます。
熊ニラには自然の競合相手はいないようです。食べられるのは、まだ地面から生えはじめたばかりの柔らかい若芽です。若芽はそっと抜くと下についた小さな球根がくっついてきます。小さな球根も、髭根をとって一緒に刻み込んでいただきます。やわらかい若葉も美味しいので、茎からそっと外します。
料理法は、色々あります。微塵に切って、フィラデルフィアのようなクリームチーズに混ぜ込み、塩コショウをして、パンに塗るスプレッドを作ります。とてもしっかりした味わいなので、ドイツの黒パンやライ麦パンに合わせると調和が取れます。オリーブオイルと合わせてペーストにして、スパゲッティなどのソースやサラダのドレッシングに使うこともできます。沢山収穫できたら、浮き身用にせん切りを残しておき、残りは、玉葱などと炒めた後にピュレーにして、裏ごしし、それに生クリームを合わせると熊ニラのクリームスープとなります。
春の森の恵を摘みに春の森に入ると、日に日に薄緑色が鮮やかになっていくのを感じます。水気をしっとりと含んだ広葉樹の春の森は、人間にもその元気を少しお裾分けしてくれるようです。
画像上:私が好きな散歩道、名付けて「熊ニラ小道」
画像中:熊ニラの若芽と花
画像下:微塵切りの熊ニラをクリームチーズに混ぜて作ったスプレッド
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